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1章手始めに食い下がりといきましょう
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「気に入らないものに対して身分を盾に数々の嫌がらせ行為………我慢ならん!貴様との婚約は破棄とする!それだけでなく私の未来の妻、つまりは未来の王妃を傷つけた罪は重い。身分剥奪どころか貴様など処刑だ!」
威勢だけは立派なバカ王子がココローノ・コエデル公爵令嬢である私に向いて叫ぶ。それも人が大勢いて注目された場で。バカ王子の隣には男をたぶらかすと令嬢内で有名なビッチの男爵令嬢。
見た目は清楚で可愛げはあるが、中身が最悪すぎると有名だから知ってはいても私との面識はない。
なのにこのバカ王子は信じられないことに、私があのビッチをいじめたという。何の証拠ひとつなく。証拠はなくて当たり前だ。だってしていないのだから。
「婚約破棄の前にまずは私の罪状をもう一度お聞かせ願えますか?」
「人の話を一度で理解しないとは情けない」
このバカは何を言っているのかしら?何度説明されても理解せず、普段からバカのテストは下から数えた方が早い順位だと言うのに。仮にもこの国の王子よ?終わってるわよね。
とはいえ、ここを言い返してはバカの性格上話が進まなくなる。だってバカだから話を進めるという行為がわからないの。
「先程も言ったが私が親愛するビビッチ・アハーン男爵令嬢にしてきた数々のことを忘れたとは言わせない」
「だから何のことかさっぱりなのですが?」
忘れたも何も、知らぬ存ぜぬことを忘れたとは言わない。忘れることすらできないのだから。だって知らないもの。
きっとバカだから忘れるという言葉を知らないのね。
「とぼけるのもいい加減にしろ!」
「ば………こほん、おバカな殿下?ちょっと頭が弱いと言いますか、ば………おバカな頭が目立ちますので説明いたしますね?忘れるという行為は記憶があってこそ成り立つものです。記憶もないのに忘れたと言わせないも何も私は忘れる行為すらできませんのよ?とぼけるというのは知っていることを知らないふりをするということ。知らないのに知らないふりをするのがとぼけるというのではないですよ?」
「お、俺をバカだと?」
「あらあらそんなこと言っていませんわ」
バカは心の中でしか言っていません。言いかけましたけどちゃんと訂正を…………ん?したわよね?
「貴様!俺をバカにするとはいい度胸だ!」
「度胸の意味は物事に動じない心です。知ってましたか?」
「どこまでも俺を………!不敬罪も追加だな!」
「既に処刑を決められた私に不敬罪を言われましてもねぇ?」
私としたことが話を進められなくしてしまったわ。バカが移ったのかしら?いやね。でも、万が一、万が一にも処刑される未来があるならこれは今までの鬱憤を晴らすべきじゃないかしら?
「殿下、おわかりでしょう?私はああしてココローノ・コエデル嬢様にいじめられてきたのです」
「ああ、よくわかった。不敬を働いてもあの傲慢な態度。全く、ビビッチ嬢の身分が低いからと最低だな」
ざわざわと周囲がざわつく。周囲は王子の味方につくべきか迷いがとれるわね。高い身分を翳しながら迷わせるような王子に敬意など不要に感じるのは私だけでしょうか?
にしてもこの私だけが悪いとする態度腹が立ちますわね。
「アハーン嬢?私は貴女に何をしたのかしら?」
「まあ!何故そこまでして知らないふりをできますの?私のあらぬ噂を広め、私の物を壊し、時に人のいないところで私は叩かれましたわ!」
「なんというやつだ!全く!」
噂が立つのは貴女自身の行いによるもので、物を壊すなんて時間の無駄はしないし、人様を叩くなんて野蛮なことをした覚えはないのだけど。
なるほど、私確かにこの二人に関しては気に入らないようです。私がこの人たちに何を言っても悪役扱い。
ならば今までの王子への鬱憤を晴らすと共に悪役になってみせましょう。そんなちまちまと隠れてする悪役ではなく、堂々とした悪役に。
まあ悪役と言っても貴方たちだけに立ち塞がる悪役としてですがね?
ああ、でも………思い余って私を疑う目を向ける周囲の阿呆たちに飛び火して本当の悪役になってしまうかもしれませんわね。
さて、もう我慢なりませんしバカなことを仕出かしたバカの教育も含めて悪役、始めましょうか。
「よろしい!そこまで言うなら私が悪くないことを証明いたしましょう!」
まあ、こんなバカ王子とビッチな第二のバカがすることなど私にはお見通しでしたので、もしもの時の用意は万全。
まず悪役がすることは自らは何も悪いことはしていないとふんぞり返ることですよね?まあ、本当にしていないんですがね?
「証明?そんなもの必要ない。どうせ貴様の言う証明など信憑性ひとつないのだからな」
「ええ、必要ありませんわ」
「認めるのですね?ココローノ様」
ああ、にやついてはしたない女性だこと。親しくもないのにビッチバカに名前を呼ばれては私の名前が汚れるではありませんか。
「認めませんよ。証明しないことが証明となります。証明すべきは貴方たちの方ですよ?」
悪は証拠があってこそ悪と見なされる。証拠もないのに!と食い下がるものこそ悪役らしくなくて?まあ、証拠があるはずもないのですけどね。
威勢だけは立派なバカ王子がココローノ・コエデル公爵令嬢である私に向いて叫ぶ。それも人が大勢いて注目された場で。バカ王子の隣には男をたぶらかすと令嬢内で有名なビッチの男爵令嬢。
見た目は清楚で可愛げはあるが、中身が最悪すぎると有名だから知ってはいても私との面識はない。
なのにこのバカ王子は信じられないことに、私があのビッチをいじめたという。何の証拠ひとつなく。証拠はなくて当たり前だ。だってしていないのだから。
「婚約破棄の前にまずは私の罪状をもう一度お聞かせ願えますか?」
「人の話を一度で理解しないとは情けない」
このバカは何を言っているのかしら?何度説明されても理解せず、普段からバカのテストは下から数えた方が早い順位だと言うのに。仮にもこの国の王子よ?終わってるわよね。
とはいえ、ここを言い返してはバカの性格上話が進まなくなる。だってバカだから話を進めるという行為がわからないの。
「先程も言ったが私が親愛するビビッチ・アハーン男爵令嬢にしてきた数々のことを忘れたとは言わせない」
「だから何のことかさっぱりなのですが?」
忘れたも何も、知らぬ存ぜぬことを忘れたとは言わない。忘れることすらできないのだから。だって知らないもの。
きっとバカだから忘れるという言葉を知らないのね。
「とぼけるのもいい加減にしろ!」
「ば………こほん、おバカな殿下?ちょっと頭が弱いと言いますか、ば………おバカな頭が目立ちますので説明いたしますね?忘れるという行為は記憶があってこそ成り立つものです。記憶もないのに忘れたと言わせないも何も私は忘れる行為すらできませんのよ?とぼけるというのは知っていることを知らないふりをするということ。知らないのに知らないふりをするのがとぼけるというのではないですよ?」
「お、俺をバカだと?」
「あらあらそんなこと言っていませんわ」
バカは心の中でしか言っていません。言いかけましたけどちゃんと訂正を…………ん?したわよね?
「貴様!俺をバカにするとはいい度胸だ!」
「度胸の意味は物事に動じない心です。知ってましたか?」
「どこまでも俺を………!不敬罪も追加だな!」
「既に処刑を決められた私に不敬罪を言われましてもねぇ?」
私としたことが話を進められなくしてしまったわ。バカが移ったのかしら?いやね。でも、万が一、万が一にも処刑される未来があるならこれは今までの鬱憤を晴らすべきじゃないかしら?
「殿下、おわかりでしょう?私はああしてココローノ・コエデル嬢様にいじめられてきたのです」
「ああ、よくわかった。不敬を働いてもあの傲慢な態度。全く、ビビッチ嬢の身分が低いからと最低だな」
ざわざわと周囲がざわつく。周囲は王子の味方につくべきか迷いがとれるわね。高い身分を翳しながら迷わせるような王子に敬意など不要に感じるのは私だけでしょうか?
にしてもこの私だけが悪いとする態度腹が立ちますわね。
「アハーン嬢?私は貴女に何をしたのかしら?」
「まあ!何故そこまでして知らないふりをできますの?私のあらぬ噂を広め、私の物を壊し、時に人のいないところで私は叩かれましたわ!」
「なんというやつだ!全く!」
噂が立つのは貴女自身の行いによるもので、物を壊すなんて時間の無駄はしないし、人様を叩くなんて野蛮なことをした覚えはないのだけど。
なるほど、私確かにこの二人に関しては気に入らないようです。私がこの人たちに何を言っても悪役扱い。
ならば今までの王子への鬱憤を晴らすと共に悪役になってみせましょう。そんなちまちまと隠れてする悪役ではなく、堂々とした悪役に。
まあ悪役と言っても貴方たちだけに立ち塞がる悪役としてですがね?
ああ、でも………思い余って私を疑う目を向ける周囲の阿呆たちに飛び火して本当の悪役になってしまうかもしれませんわね。
さて、もう我慢なりませんしバカなことを仕出かしたバカの教育も含めて悪役、始めましょうか。
「よろしい!そこまで言うなら私が悪くないことを証明いたしましょう!」
まあ、こんなバカ王子とビッチな第二のバカがすることなど私にはお見通しでしたので、もしもの時の用意は万全。
まず悪役がすることは自らは何も悪いことはしていないとふんぞり返ることですよね?まあ、本当にしていないんですがね?
「証明?そんなもの必要ない。どうせ貴様の言う証明など信憑性ひとつないのだからな」
「ええ、必要ありませんわ」
「認めるのですね?ココローノ様」
ああ、にやついてはしたない女性だこと。親しくもないのにビッチバカに名前を呼ばれては私の名前が汚れるではありませんか。
「認めませんよ。証明しないことが証明となります。証明すべきは貴方たちの方ですよ?」
悪は証拠があってこそ悪と見なされる。証拠もないのに!と食い下がるものこそ悪役らしくなくて?まあ、証拠があるはずもないのですけどね。
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