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好きになったきっかけは
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新入生になってから一年。私清水幸は二年生となった。今日もまたクズ男なる有名人が女を腕にくっつけて歩いている。
その有名人は久住純。至って普通の名前だと思う。それでも本人の噂は最悪で、教師は今日もまた久住くんの頭髪や規定に従っていない制服を注意する。
それをはいはいと流して全く直す気がないのは誰もが知るところ。先生も大変だ。
そんな彼を私は1年の秋から好きでいる。きっかけはなんてことない彼の周りの人たち。
それは久住くんを初めて間近で見た日に遡る。なんてことはない。移動教室で廊下を歩いているときにぶつかったのが久住くんだった。
「おい、何ぶつかってんだ」
「すみません」
最初こそ面倒な人とぶつかったとため息をつきそうになった。
「謝って済むとでも思ってんのか!」
謝らないで済むと思えばいいですか?なんて生意気にも思うのは久住くんの後ろにいるお供………いや、ご友人がよくわからないことを言っているから。
「よし、そのまま落ち着け久住」
どう見ても落ち着いてない。しかもそれ小声のつもりだろうか?丸聞こえである。
「あ、謝って済むとは思ってないようだな!」
そんなこと一言も言っていない。
「今だ!勇気を出して言うんだ!」
何が今だ!なのか、久住くんに何の勇気がいるのか全く検討もつかないのだけど。
「連絡先教えろやぁ!」
なんでやねん。普段無表情、地味なんだから少しくらい笑って明るくしろと友人が色々しても動かなかった表情が思わず崩れそうになるくらいには意味がわからなかった。
まあ、崩れた感じはなかったけど。
「携帯持ってないです」
「「なんだとぉ!?なんでだ!」」
息ぴったりの仲のいい二人である。
「私、親もいなし祖母と祖父二人との暮らしで友人もひとりだし、いらないかなって」
「ぐぅっなら、固定電話教えてくださいっ」
「よく言った!久住!」
何故に敬語。噂の久住くんは実際喋ると不思議な人なのだなと思う。そしてさっきから後ろのご友人は何がしたいのか全くわからない。
「20時には寝ているのでそれ以降はかけないでくださいね。祖母たちを起こしたくはありませんので」
「えっはやっ!」
ご友人が叫ぶ。自分もそう思うが暮らしの基準が祖母と祖父なのだから仕方がない。クズ男と言われる久住くんが守ってくれるかはわからないが一応言うに限る。
「…………」
「え?久住何満足しちゃってんの?ちょ、待ってー!」
なんだかよくわからないままにその日の久住くんは電話番号を教えると去っていった。
その翌日から久住くんではなく、友人1人の私に久住くんをいつも囲んでいる人たちによる久住くんアピールが始まるのだった。
「くずみん口は悪いけどいいやつだから!」
「約束はよくドタキャンされるけどいいやつだから!」
「女取っ替え引っ替えだけどいいやつだから!」
とりあえず久住くんが口悪くて約束ドタキャンする上、女の人を取っ替え引っ替えなのがわかった。いいやつとは一体………。
でも、なんだかんだ久住くんは周りの人たちに慕われているのはわかる。見た目こそ私が絶対関わらない人たちとは思うけど久住くんのいいとこをあげようと必死なのが丸わかり。
全く言えてないけど、こんなにも慕われる久住くんがどういう人なのかは気になった。
その内気がつけば目で追っててときたま目が合うと、目を逸らすのは必ず彼で耳が赤いのがわかる。なんだか面白くて可愛くて気がつけば好きになっていた。
きっとあれだけ久住くんについて話そうとするご友人たちがいなければ私はそこまで久住くんを気にしなかったし、好きにもならなかった。
結局家に電話は一度も来なかったのだから。
その有名人は久住純。至って普通の名前だと思う。それでも本人の噂は最悪で、教師は今日もまた久住くんの頭髪や規定に従っていない制服を注意する。
それをはいはいと流して全く直す気がないのは誰もが知るところ。先生も大変だ。
そんな彼を私は1年の秋から好きでいる。きっかけはなんてことない彼の周りの人たち。
それは久住くんを初めて間近で見た日に遡る。なんてことはない。移動教室で廊下を歩いているときにぶつかったのが久住くんだった。
「おい、何ぶつかってんだ」
「すみません」
最初こそ面倒な人とぶつかったとため息をつきそうになった。
「謝って済むとでも思ってんのか!」
謝らないで済むと思えばいいですか?なんて生意気にも思うのは久住くんの後ろにいるお供………いや、ご友人がよくわからないことを言っているから。
「よし、そのまま落ち着け久住」
どう見ても落ち着いてない。しかもそれ小声のつもりだろうか?丸聞こえである。
「あ、謝って済むとは思ってないようだな!」
そんなこと一言も言っていない。
「今だ!勇気を出して言うんだ!」
何が今だ!なのか、久住くんに何の勇気がいるのか全く検討もつかないのだけど。
「連絡先教えろやぁ!」
なんでやねん。普段無表情、地味なんだから少しくらい笑って明るくしろと友人が色々しても動かなかった表情が思わず崩れそうになるくらいには意味がわからなかった。
まあ、崩れた感じはなかったけど。
「携帯持ってないです」
「「なんだとぉ!?なんでだ!」」
息ぴったりの仲のいい二人である。
「私、親もいなし祖母と祖父二人との暮らしで友人もひとりだし、いらないかなって」
「ぐぅっなら、固定電話教えてくださいっ」
「よく言った!久住!」
何故に敬語。噂の久住くんは実際喋ると不思議な人なのだなと思う。そしてさっきから後ろのご友人は何がしたいのか全くわからない。
「20時には寝ているのでそれ以降はかけないでくださいね。祖母たちを起こしたくはありませんので」
「えっはやっ!」
ご友人が叫ぶ。自分もそう思うが暮らしの基準が祖母と祖父なのだから仕方がない。クズ男と言われる久住くんが守ってくれるかはわからないが一応言うに限る。
「…………」
「え?久住何満足しちゃってんの?ちょ、待ってー!」
なんだかよくわからないままにその日の久住くんは電話番号を教えると去っていった。
その翌日から久住くんではなく、友人1人の私に久住くんをいつも囲んでいる人たちによる久住くんアピールが始まるのだった。
「くずみん口は悪いけどいいやつだから!」
「約束はよくドタキャンされるけどいいやつだから!」
「女取っ替え引っ替えだけどいいやつだから!」
とりあえず久住くんが口悪くて約束ドタキャンする上、女の人を取っ替え引っ替えなのがわかった。いいやつとは一体………。
でも、なんだかんだ久住くんは周りの人たちに慕われているのはわかる。見た目こそ私が絶対関わらない人たちとは思うけど久住くんのいいとこをあげようと必死なのが丸わかり。
全く言えてないけど、こんなにも慕われる久住くんがどういう人なのかは気になった。
その内気がつけば目で追っててときたま目が合うと、目を逸らすのは必ず彼で耳が赤いのがわかる。なんだか面白くて可愛くて気がつけば好きになっていた。
きっとあれだけ久住くんについて話そうとするご友人たちがいなければ私はそこまで久住くんを気にしなかったし、好きにもならなかった。
結局家に電話は一度も来なかったのだから。
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