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悪役令嬢として死んだ日から【悪役】から逃げられない
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「お前とは婚約破棄だ!」
「………」
何度この場面を見てきただろう。
「私はこのマリーナ嬢と婚約する!未来の王妃をいじめたから何だとは言わんが、民をいじめるような醜い心の持ち主が王妃などふさわしくはない!」
同じ言葉で私を貶めようとする殿下を。
「殿下……」
私の婚約者に腕を組みながら潤んだ目で殿下を見る令嬢を。
「「寧ろそんなやつは国にいらん!貴様など処刑だ」」
「な……っ」
タイミングを見計らって同じ言葉を言ってやれば驚いた顔をする殿下。これも何度か見てきた。どうせ私が悪さをしようがしまいが、私は何かしら理由をつけられて処刑される人生なのだ。
終わらない、繰り返される人生。
これは私が本当の悪役として反省もせず最後まで足掻こうとした罰なのだと今では理解せざる終えない。理解してもこの結果に変わりはないのだけれど。
この繰り返す人生の意味を理解しても、私は今回は何もしてないと否定しようともどうせだめなのはわかっている。人生を繰り返してはいても違う結果にはやり直せないのだ、これは。どうせ何をしてもしなくても死ぬのだからさっさと殺してくれればいいと思う。
「言いたいことなどわかりきっています。早く殺してください」
「何を………っ」
「処刑するんでしょう?早く、今すぐしてください。大丈夫、抵抗はしませんから殿下のその飾りの剣でちゃんと死にますから」
笑うことなどもう忘れた。絶望しかない人生の繰り返しに泣くことも恐怖すらもない。心が壊れていく度、殿下が離れる日が日に日に早くなっているのも気づいている。
でももはや私は何故殿下に恋したのかすら今じゃ忘れてしまっていた。どうせろくな理由じゃないのだろう。
「それとも悪役らしく貴殿方二人を殺して差し上げましょうか?」
「ひぃ……っ」
「い、いや……っ」
慣れた手つきで隠し持っていたナイフを取り出す。どう隠せば持ち込めるかなんて同じことを繰り返せば嫌でもわかるようになる。そんな私を見て恐怖に歪む男女の姿をもう何度見たかなど忘れた。最初こそいい気味だとは思ったが、今じゃさっさと殺してくれないかしらなんて思える自分が居る。
「ぐ………ふ……っ」
「よ、よくやった!」
「はっ」
ようやく背中から突き刺された剣。ナイフひとつしか持たない私に怯える殿下もどうかと思うけど、たかが令嬢相手に背後から刺す騎士のまあ情けないこと。殿下を守るためなら卑怯な手もという考えならばそれはそれで忠誠に尽くした結果でしょうけど。
ああ、何度死に慣れても痛いものは痛い。だけどこの時だけは何故か解放感がある。死ぬときだけがよく眠れるのを知ってしまったから。
そして次また目覚める時は決まって一人で歩き回れるようになる頃。
「またねむれないひびがはじまるのね」
犯した罪が許される日が来るのかわからないままに私はまた同じ時を歩んでいく。繰り返されずにいるのは壊れていく私の心だけ。
END
あとがき
インフルエンザのせいでしょうか。なんか病んだお話に………。気が向けばハッピーエンド版も書きたい。
「………」
何度この場面を見てきただろう。
「私はこのマリーナ嬢と婚約する!未来の王妃をいじめたから何だとは言わんが、民をいじめるような醜い心の持ち主が王妃などふさわしくはない!」
同じ言葉で私を貶めようとする殿下を。
「殿下……」
私の婚約者に腕を組みながら潤んだ目で殿下を見る令嬢を。
「「寧ろそんなやつは国にいらん!貴様など処刑だ」」
「な……っ」
タイミングを見計らって同じ言葉を言ってやれば驚いた顔をする殿下。これも何度か見てきた。どうせ私が悪さをしようがしまいが、私は何かしら理由をつけられて処刑される人生なのだ。
終わらない、繰り返される人生。
これは私が本当の悪役として反省もせず最後まで足掻こうとした罰なのだと今では理解せざる終えない。理解してもこの結果に変わりはないのだけれど。
この繰り返す人生の意味を理解しても、私は今回は何もしてないと否定しようともどうせだめなのはわかっている。人生を繰り返してはいても違う結果にはやり直せないのだ、これは。どうせ何をしてもしなくても死ぬのだからさっさと殺してくれればいいと思う。
「言いたいことなどわかりきっています。早く殺してください」
「何を………っ」
「処刑するんでしょう?早く、今すぐしてください。大丈夫、抵抗はしませんから殿下のその飾りの剣でちゃんと死にますから」
笑うことなどもう忘れた。絶望しかない人生の繰り返しに泣くことも恐怖すらもない。心が壊れていく度、殿下が離れる日が日に日に早くなっているのも気づいている。
でももはや私は何故殿下に恋したのかすら今じゃ忘れてしまっていた。どうせろくな理由じゃないのだろう。
「それとも悪役らしく貴殿方二人を殺して差し上げましょうか?」
「ひぃ……っ」
「い、いや……っ」
慣れた手つきで隠し持っていたナイフを取り出す。どう隠せば持ち込めるかなんて同じことを繰り返せば嫌でもわかるようになる。そんな私を見て恐怖に歪む男女の姿をもう何度見たかなど忘れた。最初こそいい気味だとは思ったが、今じゃさっさと殺してくれないかしらなんて思える自分が居る。
「ぐ………ふ……っ」
「よ、よくやった!」
「はっ」
ようやく背中から突き刺された剣。ナイフひとつしか持たない私に怯える殿下もどうかと思うけど、たかが令嬢相手に背後から刺す騎士のまあ情けないこと。殿下を守るためなら卑怯な手もという考えならばそれはそれで忠誠に尽くした結果でしょうけど。
ああ、何度死に慣れても痛いものは痛い。だけどこの時だけは何故か解放感がある。死ぬときだけがよく眠れるのを知ってしまったから。
そして次また目覚める時は決まって一人で歩き回れるようになる頃。
「またねむれないひびがはじまるのね」
犯した罪が許される日が来るのかわからないままに私はまた同じ時を歩んでいく。繰り返されずにいるのは壊れていく私の心だけ。
END
あとがき
インフルエンザのせいでしょうか。なんか病んだお話に………。気が向けばハッピーエンド版も書きたい。
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