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そして、僕は周りから恐れられたまま中学生となる。その辺りからだろうか、僕の遺産を使い果たして親戚が辛辣になり始めたのは。
「くそ……っこいつの養育費で金がねぇ」
お酒やパチンコで無駄遣いばかりするからじゃなくて?せめて働いてれば今の時点ではそんなこともなかっただろうにと思うが、正直どうでもよかった。
「どうすんのよ!このままじゃ家も出てかなきゃいけないわよ!」
思った以上に切羽詰まっているようでため息が出る。死神のお兄さんは僕が中学生になっても何一つ変わらぬ姿でいつも通り浮いているだけ。
神様は気楽そうでいいなぁなんて思う。この時の僕は死神のお兄さんを敬意を込めて死神様と呼んでいた。
「死神様、このままじゃ僕は路頭に迷いそうだね」
『………死ぬのか』
「この時代に餓死はしたくないなぁ」
『………?』
「死神様?」
餓死したくないと言う僕に、死神様が少し表情を歪めて胸を抑える姿にどうしたのかと首を傾げる。
『なんでも、ない』
「でも………」
「ま、またあんたは誰にもいないところでしゃべって気味が悪いのよ!」
死神様に声を掛けようとして急な耳障りな声が響く。その声の方に目を向ければそこには親戚夫婦の娘である僕より年下の優愛がいた。僕にしか見えない死神様と話す僕を怖がっているようにも見え、本当に気味悪がっているように複雑な瞳で僕を見る。
「………なら、見なければいい」
「ひぅ……っうわあぁぁん!ママぁ、ゆーまが私を~!」
ああ、面倒だな。優愛はすぐに泣く、生まれたときから今までもずっと。僕を悪者にでもするように。
「また、優愛を泣かしたのね!」
「勝手に泣いただけだよ」
「日に日に生意気になりやがって」
「………」
ここに僕の味方はいない。まあ、味方なんていた試しがないけれど。死神様は僕の支えであり、味方……とは違う気がする。僕が勝手にそう思っているだけだけど。
『………だ』
「死神様?」
気のせいか、死神様から限界だと聞こえた声がした。
「死神様って何を………あっあああ……っ」
「ま、ママ?」
「おい、どうした?」
それと同時にこの親戚の母が苦しみ出す。苦しい、苦しいとばかりに首を引っ掻いて。まるで空気を求めるかのように。
『………見るな』
「え……」
その時が初めてだったと思う。彼が、死神様が、自らの手で僕の目を覆い人の死を隠そうとしたのは。どうやったのかその間は声すらも聞こえなくなり、今更だと思う人の死を何故死神様が隠したのかはわからない。
でも、手を離された時に目にしたのは親戚二人の倒れた姿、そして泣き叫ぶ優愛の姿だった。
「くそ……っこいつの養育費で金がねぇ」
お酒やパチンコで無駄遣いばかりするからじゃなくて?せめて働いてれば今の時点ではそんなこともなかっただろうにと思うが、正直どうでもよかった。
「どうすんのよ!このままじゃ家も出てかなきゃいけないわよ!」
思った以上に切羽詰まっているようでため息が出る。死神のお兄さんは僕が中学生になっても何一つ変わらぬ姿でいつも通り浮いているだけ。
神様は気楽そうでいいなぁなんて思う。この時の僕は死神のお兄さんを敬意を込めて死神様と呼んでいた。
「死神様、このままじゃ僕は路頭に迷いそうだね」
『………死ぬのか』
「この時代に餓死はしたくないなぁ」
『………?』
「死神様?」
餓死したくないと言う僕に、死神様が少し表情を歪めて胸を抑える姿にどうしたのかと首を傾げる。
『なんでも、ない』
「でも………」
「ま、またあんたは誰にもいないところでしゃべって気味が悪いのよ!」
死神様に声を掛けようとして急な耳障りな声が響く。その声の方に目を向ければそこには親戚夫婦の娘である僕より年下の優愛がいた。僕にしか見えない死神様と話す僕を怖がっているようにも見え、本当に気味悪がっているように複雑な瞳で僕を見る。
「………なら、見なければいい」
「ひぅ……っうわあぁぁん!ママぁ、ゆーまが私を~!」
ああ、面倒だな。優愛はすぐに泣く、生まれたときから今までもずっと。僕を悪者にでもするように。
「また、優愛を泣かしたのね!」
「勝手に泣いただけだよ」
「日に日に生意気になりやがって」
「………」
ここに僕の味方はいない。まあ、味方なんていた試しがないけれど。死神様は僕の支えであり、味方……とは違う気がする。僕が勝手にそう思っているだけだけど。
『………だ』
「死神様?」
気のせいか、死神様から限界だと聞こえた声がした。
「死神様って何を………あっあああ……っ」
「ま、ママ?」
「おい、どうした?」
それと同時にこの親戚の母が苦しみ出す。苦しい、苦しいとばかりに首を引っ掻いて。まるで空気を求めるかのように。
『………見るな』
「え……」
その時が初めてだったと思う。彼が、死神様が、自らの手で僕の目を覆い人の死を隠そうとしたのは。どうやったのかその間は声すらも聞こえなくなり、今更だと思う人の死を何故死神様が隠したのかはわからない。
でも、手を離された時に目にしたのは親戚二人の倒れた姿、そして泣き叫ぶ優愛の姿だった。
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