兄を悪役にさせないために全力を出した結果～ヤンデレブラコン化は悪役よりマシですか？～

お礼パロディなる番外編

現代高校生(レウル)と小学生(クウリ)ー心が純粋な方、サンタさんからのプレゼントを毎年楽しみにしている方は読んではなりませんー

俺には年の離れたレウルという兄がいる。本当に同じ兄弟か疑わしくなるほどに誰から見ても完璧な兄が。だからか、両親は基本的に俺を兄にまかせっきりだ。それに不満なんてないけれど、ずっと腑に落ちないことがある。

「うん、正解だ。さすがだね、クウリ」

「いつもありがとう、兄さん」

それはほぼ毎日の日課であり、今では冬休み用のものとしての学校の宿題を兄さんに教えてもらっているとき、明日がクリスマスを迎えるという前日のクリスマスイブ。毎年この日はサンタさんからのプレゼントを楽しみにできる日であり、腑に落ちないなと考える日でもある。

まあそれも去年までの話。

「今日の宿題は終わり？」

「うん！あの、兄さん……」

「ん？」

「サンタさんっていないんですよね？それで……プレゼントっていつも兄さんがくれてたんですか？」

そう、俺はついにサンタさんが存在しないことを知ってしまった。毎年不思議だったのだ。何故サンタさんは俺にくれるのに俺の面倒まで見てくれる兄にはプレゼントがないのかと。それも兄がサンタさんだったと言うならそれも解決する…………が、明らかに毎年値段が上がっていくプレゼントに、いくら親からお小遣いはあれど学生が買えるものなのかと疑問になるものばかり。

去年は最新のゲーム機と俺がしたがってたソフトが10本………小学生の俺だって高いのがわかる。

「ついに知ってしまったんだね。それで？それを教えたのは誰かな？これからは直接渡すにしてもクウリの夢をひとつ潰したんだ。お礼はしないと」

高いが故にサンタさんを信じていた俺に実は親がと思ったがやっぱり兄だったのは言葉からわかった。だが、それ以上に俺に真実を教えた友達の身が危ないようだ。だって兄が怒っているように思えたから。でも、お礼なら大丈夫かな？

「ハナちゃんのお姉ちゃん」

「なるほど？あのピンクおばさんだね」

「ぴ……？」

ピンクおばさんってハナちゃんのお姉ちゃんのことだろうか？確かに兄よりひとつ年下なのに老けて見える人だけど………。兄さんがこうもあからさまに人をよくないように言うの珍しいなぁ。

「まあそれはそれとしてバレたんなら仕方ない。ほしいもの追加であるならいくらでも買うよ？」

「いや、でも兄さんバイトとかしてないのにそんなにお金ないですよね……？」

実際毎日部活すらしてないのか、帰宅が早いし兄さんが待ってるのを知っているから俺も友達と遊ばずに真っ直ぐ帰宅するのが常だ。休日は兄さんがどこでも着いてくるし、バイトをしていたらそんなことさすがに無理だろう。

「株で儲けててね」

「かぶ……？」

よくわからないが、兄にはお金を稼ぐ何かがあることはわかった。さすが兄さんである。

そして翌日、去年とは比べ物にならないプレゼントの量に喜ぶよりも来年部屋に納まるか心配してしまったせいか、兄がハナちゃんのお姉ちゃんへの怒りを爆発させたのか、にこにこ笑顔でどこかへ行ったかと思えば一時間ほどで戻り、冬休み明けハナちゃんからお姉ちゃんが発狂してどうしようもなく、心の病院で入院しているのを聞かされたのだった。

「兄さん、何かしたんですか……？」

「ん？」

あの一時間で何があったのかは聞いても笑顔でかわす兄さんのみぞ知る。

～現代パロディおわり～





ー作者よりコメントー

この度この作品が奨励賞に入りました！荷居人(にいと)にとって初の賞です！皆様本当にありがとうございます！これも読者皆様の応援があったからこそです！

お礼に一日過ぎてしまいましたが、クリスマスにちなんだパロディでの話を書かせていただきました！これからもどうぞ温かく見守って応援してくださると嬉しいです！