57 / 75
本編(完結)
目撃者はいない
しおりを挟む
「………とまぁハナちゃんの嗅……いえ、勘で見つけて問いただしたら先生が白状してくれたの」
それ間違ってたら大問題じゃと思うのは俺だけだろうか?しかもこれがあの『君と共に』を作った創造主……。ってあれ?この話兄は理解できないよな?
「催眠術……なるほど。後乙女ゲームの制作者だったんだね」
うんうんと頷く兄を見て………あれ?理解してる?とぽかんとしてしまった俺。
「兄さん、乙女ゲーム知ってるの?まさか………」
「ああ、違うよ、クウリ。私は転生者じゃないからね」
「え、ならなんで……」
「ふふ、後で説明してあげる……ね?」
「うん……」
兄の笑みとウインクを頂いた俺は頷くしかなかった。もしかして俺が前世の記憶があることも兄はずっと知っていてそれでも愛してくれていたんだろうか?そう思うとなんか、それって……物凄く……。
「それでどうしますか?これ」
そんな俺の思考を遮るように話しかけてきたのはピンク嬢。既にボロボロの犯人をどうするか聞かれれば正直話を聞いて改めて本当に俺を振り回した犯人なのがわかったためふざけるなとこの怒りをぶつけたい。兄への気持ちを消そうとすらしただけに創造主と調子に乗るこの教師を許せるかと言えば無理だ。
「クウリを奪おうとする人物はそれだけで許せないから罰を下したいけど犯罪を犯した訳じゃないから大したことはできないんだよね。生徒に催眠かけて意思を曲げる行為ととれば教師あるまじき行為として罪を与えはできるけど。正直教師に暴行に及んだ君たちの方が問題になってしまうね」
兄が冷静に分析した言葉を告げれば不満そうなのはピンク嬢とシエル。
「えー!ピンクを汚した刑は大きいですよ!」
ピンクを汚した刑とは。反論が反論なだけに反応に困る。
「正直令嬢に出来うる限りでピンクを身に付けさせただけだからね、実際。ああでも、クウリの記憶をなくさせようと手を出したのはそれなりの罪にはできるか。ある意味王族に対しての反逆にもとれるし、ね?」
「そうよ!自白ならさせるわ!」
不満そうな顔からよしきたとばかりの輝かしい笑顔になるシエルにストップをかけるのは兄。
「君たちにその権限はないよ。大丈夫、私がクウリを狙ったことを生涯後悔させてあげるから。それとここはゲームでもなければ彼が作った世界でもない現実だということを知らしめてあげよう」
ふふふと笑う兄は冷静に見えて実は一番怒りを抱えていることを察する。でも兄に賛成だ。ここは現実、ゲームじゃない。これのせいで兄に愛の言葉を言わせてもらえなかったのだからしっかり片付けをしないと。
「兄さん、俺も手伝うから俺をひとりにしないで?」
「クウリ……」
困った子を見るように見られたけど引く気はない。ただでさえ結局何もできなかったのだから後始末くらいは兄と一緒にでもいいからしたいのだ。
「共同作業だよ、兄さん」
「ふぅ……仕方ないね。クウリがそういうなら」
最後は二人で片付けることがこの瞬間に決まった。
決まったその瞬間にシエルたちの未来もまた決まった。
その未来の話をひとつだけしよう。その話とは兄の口から出たシエルたちの暴行に関してだ。これは誰も見ていなかった。よって、勝手に先生が転けて大怪我をしたという話になったわけだ。明らかに転けた怪我ではなかったが、仕方ない。証拠もなければ目撃者もいないのだから。
つまり二人が初等部を卒業する前に罪を被ることはないということ。だって初等部の子供が教師に暴行なんて誰も信じないしな。それを見ない限りは。
それ間違ってたら大問題じゃと思うのは俺だけだろうか?しかもこれがあの『君と共に』を作った創造主……。ってあれ?この話兄は理解できないよな?
「催眠術……なるほど。後乙女ゲームの制作者だったんだね」
うんうんと頷く兄を見て………あれ?理解してる?とぽかんとしてしまった俺。
「兄さん、乙女ゲーム知ってるの?まさか………」
「ああ、違うよ、クウリ。私は転生者じゃないからね」
「え、ならなんで……」
「ふふ、後で説明してあげる……ね?」
「うん……」
兄の笑みとウインクを頂いた俺は頷くしかなかった。もしかして俺が前世の記憶があることも兄はずっと知っていてそれでも愛してくれていたんだろうか?そう思うとなんか、それって……物凄く……。
「それでどうしますか?これ」
そんな俺の思考を遮るように話しかけてきたのはピンク嬢。既にボロボロの犯人をどうするか聞かれれば正直話を聞いて改めて本当に俺を振り回した犯人なのがわかったためふざけるなとこの怒りをぶつけたい。兄への気持ちを消そうとすらしただけに創造主と調子に乗るこの教師を許せるかと言えば無理だ。
「クウリを奪おうとする人物はそれだけで許せないから罰を下したいけど犯罪を犯した訳じゃないから大したことはできないんだよね。生徒に催眠かけて意思を曲げる行為ととれば教師あるまじき行為として罪を与えはできるけど。正直教師に暴行に及んだ君たちの方が問題になってしまうね」
兄が冷静に分析した言葉を告げれば不満そうなのはピンク嬢とシエル。
「えー!ピンクを汚した刑は大きいですよ!」
ピンクを汚した刑とは。反論が反論なだけに反応に困る。
「正直令嬢に出来うる限りでピンクを身に付けさせただけだからね、実際。ああでも、クウリの記憶をなくさせようと手を出したのはそれなりの罪にはできるか。ある意味王族に対しての反逆にもとれるし、ね?」
「そうよ!自白ならさせるわ!」
不満そうな顔からよしきたとばかりの輝かしい笑顔になるシエルにストップをかけるのは兄。
「君たちにその権限はないよ。大丈夫、私がクウリを狙ったことを生涯後悔させてあげるから。それとここはゲームでもなければ彼が作った世界でもない現実だということを知らしめてあげよう」
ふふふと笑う兄は冷静に見えて実は一番怒りを抱えていることを察する。でも兄に賛成だ。ここは現実、ゲームじゃない。これのせいで兄に愛の言葉を言わせてもらえなかったのだからしっかり片付けをしないと。
「兄さん、俺も手伝うから俺をひとりにしないで?」
「クウリ……」
困った子を見るように見られたけど引く気はない。ただでさえ結局何もできなかったのだから後始末くらいは兄と一緒にでもいいからしたいのだ。
「共同作業だよ、兄さん」
「ふぅ……仕方ないね。クウリがそういうなら」
最後は二人で片付けることがこの瞬間に決まった。
決まったその瞬間にシエルたちの未来もまた決まった。
その未来の話をひとつだけしよう。その話とは兄の口から出たシエルたちの暴行に関してだ。これは誰も見ていなかった。よって、勝手に先生が転けて大怪我をしたという話になったわけだ。明らかに転けた怪我ではなかったが、仕方ない。証拠もなければ目撃者もいないのだから。
つまり二人が初等部を卒業する前に罪を被ることはないということ。だって初等部の子供が教師に暴行なんて誰も信じないしな。それを見ない限りは。
42
お気に入りに追加
5,200
あなたにおすすめの小説
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。
弟のために悪役になる!~ヒロインに会うまで可愛がった結果~
荷居人(にいと)
BL
BL大賞20位。読者様ありがとうございました。
弟が生まれた日、足を滑らせ、階段から落ち、頭を打った俺は、前世の記憶を思い出す。
そして知る。今の自分は乙女ゲーム『王座の証』で平凡な顔、平凡な頭、平凡な運動能力、全てに置いて普通、全てに置いて完璧で優秀な弟はどんなに後に生まれようと次期王の継承権がいく、王にふさわしい赤の瞳と黒髪を持ち、親の愛さえ奪った弟に恨みを覚える悪役の兄であると。
でも今の俺はそんな弟の苦労を知っているし、生まれたばかりの弟は可愛い。
そんな可愛い弟が幸せになるためにはヒロインと結婚して王になることだろう。悪役になれば死ぬ。わかってはいるが、前世の後悔を繰り返さないため、将来処刑されるとわかっていたとしても、弟の幸せを願います!
・・・でもヒロインに会うまでは可愛がってもいいよね?
本編は完結。番外編が本編越えたのでタイトルも変えた。ある意味間違ってはいない。可愛がらなければ番外編もないのだから。
そしてまさかのモブの恋愛まで始まったようだ。
お気に入り1000突破は私の作品の中で初作品でございます!ありがとうございます!
2018/10/10より章の整理を致しました。ご迷惑おかけします。
2018/10/7.23時25分確認。BLランキング1位だと・・・?
2018/10/24.話がワンパターン化してきた気がするのでまた意欲が湧き、書きたいネタができるまでとりあえず完結といたします。
2018/11/3.久々の更新。BL小説大賞応募したので思い付きを更新してみました。
【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます
猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」
「いや、するわけないだろ!」
相川優也(25)
主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。
碧スバル(21)
指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。
「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」
「スバル、お前なにいってんの……?」
冗談? 本気? 二人の結末は?
美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。
愛され末っ子
西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。
リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。
(お知らせは本編で行います。)
********
上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます!
上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、
上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。
上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的
上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン
上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。
てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。
(特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。
琉架の従者
遼(はる)琉架の10歳上
理斗の従者
蘭(らん)理斗の10歳上
その他の従者は後々出します。
虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。
前半、BL要素少なめです。
この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。
できないな、と悟ったらこの文は消します。
※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。
皆様にとって最高の作品になりますように。
※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア
ある日、人気俳優の弟になりました。
雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。
「俺の命は、君のものだよ」
初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……?
平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる