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本編(完結)

二度目のピンクと聖書

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「まあそんなわけで殿下お二人の邪魔から見守る側になった仲間が彼女たちです……腐腐腐ふふふ

うまく行きましたとばかりに笑うルンルン。そしてピンクの代表とばかりに出てきたのは小柄で見えなかったが、俺と兄がよく知るピンクだった。

「お久しぶりです、殿下」

ヒロイン以外にピンクの瞳を持ち、老け顔のヒロインの姉……あいつである。兄も俺も目を見開いて戸惑う。名前も勝手に呼ぶという愚行もなくなっていたが、そんなこと今はどうでもいい。だってこの集いから現れたということは……そういうことだろう?

「彼女は最近仲間入りしたピンクのリーダーだった子です。やはりあのこうりゃ……ガク様を仲間にできたのが大きいですね腐腐腐ふふふ

あれがリーダーだったのか……。そんなのを仲間にして大丈夫なのか?と不安もあるが、気になる言葉がまたひとつ。どうやら兄に丸投げするには気になる点が多すぎる話だ。もう考えたくないってのに。兄以外のことは、だけど。

「そのガク様とやらは今日はいないのか?」

「ガク様は聖書を徹夜でお作りになっており、今も徹夜四日目寝ずに時間ある限りと頑張っておいでです……あのレウクウ魂は誰もが見習うべきですわ」

何故かルンルンに聞いたつもりが姉ピンクが答える。レウクウ魂とは何か、聞くべきではないだろう。とりあえず見習うべきと言う言葉に頷くな、おかしな宗教集団。四日も徹夜する聖書とか意味わかんないから。

「ちなみに聖書って?」

聞くのがなんとなく怖くてスルーしていたのに、黙っていた兄が聞いてしまった。聖書の存在を。そして姉ピンクがよくぞ聞いてくれましたとひとつの本を取り出す聖書腐書。聖書の上に書かれた文字は気のせいだろうか?腐書ってなんだ。聖書が腐ってる?ってこと?だめだろ、それ。

「ご本人様に見られるのは私ですら恥ずかしいですが気になられるというなら是非!私、これで自分の間違いに気づきましたの!」

羞恥のかけらがあったのか、ピンク姉。とは、さすがに空気を読んで言わなかった。でも改めてこのピンク姉に間違いを気づかせた聖書は気になって仕方ない。

渡された聖書を恐る恐る兄と二人で開けば中身は前世でも見た漫画風。ただ俺と兄がリアルに描かれたよくあるアニメを実写化した映画ならぬ漫画みたいな感じだ。聖書が漫画って……と思いながら読み進めて見る。

明らかに主人公は俺で、言ってしまえば少女漫画のような心情を書かれて色々叫びたい気持ちでいっぱいだ。今まで兄とあった出来事も何故か描かれている。それに付け足された俺の心情は明らかに乙女化され、俺じゃない感が半端ない。けど、現実にあった話に続いて口調から絵まで全部が俺に似せているだけに俺こんな風に見られてるのか?と読めば読むほど羞恥に駆られる。

兄は普通にだんだんと病みを見せるイケメンで今まで見てきた兄とそう変わらないのに、なんで俺だけこんな乙女化に?確かに兄は好きだし、大好きだし、愛してますけど……!

見せつけるのは兄は俺の、俺は兄のと牽制できるのでいくらでも人前でできる俺だが、こうも誰かの俺への妄想を絵にされるとどうにも居たたまれない羞恥に駆られることを初めて知った。とりあえずそこの集団!にやにやして俺を見るんじゃない!
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