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本編(完結)

私だけの麻薬~レウル視点~

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あの日ただただ無駄に疲れた二人の相手をした日。最後の忠告をシエルから受け気を引き締めて戻ったというのに、何故かクウリを見ると気が抜けて弱い姿を見せてしまった。

確かに疲れこそあったが、疲れることなんてよくあることで年下である弟に甘えるなんて考えたこともいなかったこと。だけど、まるでクウリはその小さな存在と一致しない包容力で私を慰めるように、今までの頑張りを褒めるようにして認めてくれた。

クウリが訪ねようと何も話さない私を問い詰めることなく私を認める言葉と撫でる手に、涙を流してしまうなんて……自分で驚いたものだ。クウリも鼻を啜る私に気づいているだろうに何も言わずただ私が落ち着くまで傍から離れることはなかった。

それからというものの気のせいかクウリの方が私から離れようとしない。そんな気がした。私が離したくないからクウリがそれを理解した上でそうしてくれているのが今まで。だけど明らかにクウリはまた雰囲気が変わって私との距離が狭まったのは間違いない。

「兄さん、置いてかないで」

「あ、うん、ごめんね」

少し試しに早歩きをしてみれば、引き止められぎゅっと腕を握られる。謝りながらも離したくないと告げるその瞳にぞくぞくと嬉しさが込み上げた。

これは私の片想いではないと。

一方的にクウリを離したくないと思っていたのを理解しながらそうしてきていただけに、クウリも同時に私を離したくないと考えてくれていると思うと気分があがるのが自分でわかる。

何を思ってクウリがそうなったのかまではわからない。けれど、もしあの恥ずかしくも泣いた日がきっかけというならクウリに弱味を見せたことは今になってはよかったとすら思う。

何よりクウリに頑張りを認められたあの日からやはりクウリだけだと私は確信したから余計に。媚びを売ってくる連中とは違い、私を理解してくれているクウリが私を認め、頑張ったねと褒めてくれた。何を?なんて聞かずともクウリは今までのことを言ってくれているのだと思っている。

理由なんてない。クウリだから、ただそれだけ。違ってもクウリに褒められたのは嘘じゃないし、一部でも認められたなら今まで無駄だとすら思うものをやってきたかいさえあったと思える。

無駄な人生を歩んできたわけじゃないとクウリはあの日そう強く思わせてくれた。

本当クウリは、もう十分と思うほどに色々与えてくれているのに、予想を超えてまだまだ与えてくれるのだからどこまで私をクウリ中毒にさせる気だろうとすら思う。

でもそれが嫌なわけではないし、叶うならこのまま麻薬クウリ漬けで笑っていたい。でもなんで望みに反して邪魔は増えるばかりなのかな?私だけの麻薬クウリをどこぞのピンクにあげる気はもちろんないというのに。
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