44 / 75
本編(完結)
実は一番怒ってる~シエル視点~
しおりを挟む
今現在、中等部まで後一年という頃に初等部にもピンクが増加しつつある。理由はわからない。だけど、今までは中等部だけだったため私とハナちゃん二人でバレないよう隠れながら駆除を繰り返してきた。
それは別にレウル様に命令されたわけでもなく、私がクウリ様の平穏を邪魔させたくない一心で。ちなみにハナちゃんはそれに付き添ってくれているわけでもない。ハナちゃんはハナちゃんで許せないことがあり私と一緒に活動しているのだ。
その原因とも言えるピンクが初等部にも最近増え始めた。その頃からハナちゃんは私よりも積極的にピンク撲滅運動をしていると思う。
「ピンクを汚すものにせいばーい!」
「何ですの、貴女!」
「何様とは貴女様のことですよー!」
「何様なんて言ってません……わ……きゃあぁぁあぁ!貴女何を持って……っ来ないで~!」
話が噛み合ってるか噛み合っていないかわからない偽ヒロインとハナちゃん。ちなみに偽ヒロインがはしたなくもダッシュさせる代物は大量のミミズの入った箱。
一匹も逃げ出そうとしたところを見たことがないピンクを彩るミミズはハナちゃんの宝物のひとつなのだとか。ハナちゃんと親密な関係になって初めて知ったのだけど、正規ヒロインはピンクをこよなく愛し、ピンクを汚すもの、欲に使うものを許せないらしい。
正直基準はわからないけれど、本人いわく勘でピンクへの愛がわかるとのこと。よくわらないけど、これがまた侮れない。偽ヒロイン増殖が察知されてない間、次々と見つけて駆除できていたのはハナちゃんの勘によるもので、ハナちゃんの姉に関しては何度退治していることやら。どんなに離れていても察知し、ピンクが誰かに迷惑をかけているとより勘が働くとか。恋人の私でも理解不能だわ、うん。
まあ言っちゃえばヒロインによる偽ヒロイン察知能力の開花と言うべき?でも今やそれがなくとも出るわ出るわでキリがない。誰かが餌でもやっているかのように。
「ミミズちゃん一号いっけえぇっ!」
「いやぁあぁぁっ!」
そんな思考をしてる間に、ハナちゃん式成敗が始まる。令嬢に一定距離を保ちながら一匹のミミズが投げるだけの成敗。そのミミズはするりと令嬢の首もとから服の中へ。凄まじいピンクの叫び。あれは普通に私も嫌ね。
「とってぇっとって、だれかあぁっ!」
叫びどころか涙も鼻水も気にしないとばかりに泣き叫んでいる。あまりに悲惨。まるでヒロインが悪役になったみたい。悪役なハナちゃんも素敵だけどね。
「とってほしかったらピンクを欲で着るのをやめてください。ピンクはピンクを愛し、好きで着るもの!仕方なくピンクで包まれようなんて許さないですから!」
「わがっだからあぁっ」
「次ピンクを愛さずにして着たらミミズちゃん百匹と遊んでもらいますからね!」
「うわあぁぁんっ」
言っている意味はわからないけれど、とりあえずピンクだらけになるのをやめればミミズに囲まれる未来はなくなるだろう。まだ子どもの令嬢にはきつすぎたのかしばらく泣き叫ぶ声は止まなかった。
ちなみにハナちゃんは有言実行の子だから実際同じ子がハナちゃんの勘に障ればミミズ百匹の刑にされる。相手が誰でも。
「ピンクさん!また何かやったのですね!」
「ピンクをバカにするのが悪いんですー!」
そして始まる教師との鬼ごっこ。教師ごときではハナちゃんは止まらないのだ。
「ハーヴェさん!貴方もいい加減ピンクさんに余計なことを教えないでください!」
「今日は何もしていませんよー?」
もちろん巻き込まれた私も一緒に逃げる。そしてちらりと周囲に目を向け………
「ハナちゃん、一気に距離を離すわよ!」
「了解!シエルちゃん!」
その合図で走りながらハナちゃんが少し後ろに下がり私をお姫様抱っこ。そして私を抱いたままハナちゃんが3階の開いていた窓から飛び降りる。
「3階は玄関じゃないんですからねー!」
初等部では見慣れた光景なだけに悲鳴はない。ただただ響くのは教師の怒りの声。
「「知ってまーす!」」
元気よく声をあげ、更なるピンク狩りをしに中等部へ走る。お姫様抱っこをされたままだけど別に構わない。力があるのはハナちゃんで足が速く、剣を扱えるのは私の方。私は無我夢中になると知らぬ間にハナちゃんを置いていってしまうのでこれが一番いいのだ。
男が女に抱っこされて……なんてのは聞かない。だって私、中身は女だもの。
ー作者コメントー
既にピンク退治はクウリたちの知らないところで始まっていたという話。
しかも初等部まで侵略し始め、実はヒロインが一番怒ってる。ピンクを汚されたと。その理由はまた明らかになりますが、実はピンクを愛してやまないヒロインが一番偽ヒロインに他のメインキャラとは別の意味でわかりにくく怒りマックスです。
それは教師に逆らうほど。いつもはいい子なんですよ?ヒロインちゃん。バカだけど。
それは別にレウル様に命令されたわけでもなく、私がクウリ様の平穏を邪魔させたくない一心で。ちなみにハナちゃんはそれに付き添ってくれているわけでもない。ハナちゃんはハナちゃんで許せないことがあり私と一緒に活動しているのだ。
その原因とも言えるピンクが初等部にも最近増え始めた。その頃からハナちゃんは私よりも積極的にピンク撲滅運動をしていると思う。
「ピンクを汚すものにせいばーい!」
「何ですの、貴女!」
「何様とは貴女様のことですよー!」
「何様なんて言ってません……わ……きゃあぁぁあぁ!貴女何を持って……っ来ないで~!」
話が噛み合ってるか噛み合っていないかわからない偽ヒロインとハナちゃん。ちなみに偽ヒロインがはしたなくもダッシュさせる代物は大量のミミズの入った箱。
一匹も逃げ出そうとしたところを見たことがないピンクを彩るミミズはハナちゃんの宝物のひとつなのだとか。ハナちゃんと親密な関係になって初めて知ったのだけど、正規ヒロインはピンクをこよなく愛し、ピンクを汚すもの、欲に使うものを許せないらしい。
正直基準はわからないけれど、本人いわく勘でピンクへの愛がわかるとのこと。よくわらないけど、これがまた侮れない。偽ヒロイン増殖が察知されてない間、次々と見つけて駆除できていたのはハナちゃんの勘によるもので、ハナちゃんの姉に関しては何度退治していることやら。どんなに離れていても察知し、ピンクが誰かに迷惑をかけているとより勘が働くとか。恋人の私でも理解不能だわ、うん。
まあ言っちゃえばヒロインによる偽ヒロイン察知能力の開花と言うべき?でも今やそれがなくとも出るわ出るわでキリがない。誰かが餌でもやっているかのように。
「ミミズちゃん一号いっけえぇっ!」
「いやぁあぁぁっ!」
そんな思考をしてる間に、ハナちゃん式成敗が始まる。令嬢に一定距離を保ちながら一匹のミミズが投げるだけの成敗。そのミミズはするりと令嬢の首もとから服の中へ。凄まじいピンクの叫び。あれは普通に私も嫌ね。
「とってぇっとって、だれかあぁっ!」
叫びどころか涙も鼻水も気にしないとばかりに泣き叫んでいる。あまりに悲惨。まるでヒロインが悪役になったみたい。悪役なハナちゃんも素敵だけどね。
「とってほしかったらピンクを欲で着るのをやめてください。ピンクはピンクを愛し、好きで着るもの!仕方なくピンクで包まれようなんて許さないですから!」
「わがっだからあぁっ」
「次ピンクを愛さずにして着たらミミズちゃん百匹と遊んでもらいますからね!」
「うわあぁぁんっ」
言っている意味はわからないけれど、とりあえずピンクだらけになるのをやめればミミズに囲まれる未来はなくなるだろう。まだ子どもの令嬢にはきつすぎたのかしばらく泣き叫ぶ声は止まなかった。
ちなみにハナちゃんは有言実行の子だから実際同じ子がハナちゃんの勘に障ればミミズ百匹の刑にされる。相手が誰でも。
「ピンクさん!また何かやったのですね!」
「ピンクをバカにするのが悪いんですー!」
そして始まる教師との鬼ごっこ。教師ごときではハナちゃんは止まらないのだ。
「ハーヴェさん!貴方もいい加減ピンクさんに余計なことを教えないでください!」
「今日は何もしていませんよー?」
もちろん巻き込まれた私も一緒に逃げる。そしてちらりと周囲に目を向け………
「ハナちゃん、一気に距離を離すわよ!」
「了解!シエルちゃん!」
その合図で走りながらハナちゃんが少し後ろに下がり私をお姫様抱っこ。そして私を抱いたままハナちゃんが3階の開いていた窓から飛び降りる。
「3階は玄関じゃないんですからねー!」
初等部では見慣れた光景なだけに悲鳴はない。ただただ響くのは教師の怒りの声。
「「知ってまーす!」」
元気よく声をあげ、更なるピンク狩りをしに中等部へ走る。お姫様抱っこをされたままだけど別に構わない。力があるのはハナちゃんで足が速く、剣を扱えるのは私の方。私は無我夢中になると知らぬ間にハナちゃんを置いていってしまうのでこれが一番いいのだ。
男が女に抱っこされて……なんてのは聞かない。だって私、中身は女だもの。
ー作者コメントー
既にピンク退治はクウリたちの知らないところで始まっていたという話。
しかも初等部まで侵略し始め、実はヒロインが一番怒ってる。ピンクを汚されたと。その理由はまた明らかになりますが、実はピンクを愛してやまないヒロインが一番偽ヒロインに他のメインキャラとは別の意味でわかりにくく怒りマックスです。
それは教師に逆らうほど。いつもはいい子なんですよ?ヒロインちゃん。バカだけど。
61
お気に入りに追加
5,171
あなたにおすすめの小説
【本編完結】義弟を愛でていたらみんなの様子がおかしい
ちゃちゃ
BL
幼い頃に馬車の事故で両親が亡くなったレイフォードは父の従兄弟に当たるフィールディング侯爵家に引き取られることになる。
実の子のように愛され育てられたレイフォードに弟(クロード)が出来る。
クロードが産まれたその瞬間からレイフォードは超絶ブラコンへと変貌してしまう。
「クロードは僕が守るからね!」
「うんお兄様、大好き!(はぁ〜今日もオレのお兄様は可愛い)」
ブラコン過ぎて弟の前でだけは様子がおかしくなるレイフォードと、そんなレイフォードを見守るたまに様子のおかしい周りの人たち。
知らぬは主人公のみ。
本編は21話で完結です。
その後の話や番外編を投稿します。
悪役の弟に転生した僕はフラグをへし折る為に頑張ったけど監禁エンドにたどり着いた
霧乃ふー 短編
BL
「シーア兄さまぁ♡だいすきぃ♡ぎゅってして♡♡」
絶賛誘拐され、目隠しされながら無理矢理に誘拐犯にヤられている真っ最中の僕。
僕を唯一家族として扱ってくれる大好きなシーア兄様も助けに来てはくれないらしい。
だから、僕は思ったのだ。
僕を犯している誘拐犯をシーア兄様だと思いこめばいいと。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
弟のために悪役になる!~ヒロインに会うまで可愛がった結果~
荷居人(にいと)
BL
BL大賞20位。読者様ありがとうございました。
弟が生まれた日、足を滑らせ、階段から落ち、頭を打った俺は、前世の記憶を思い出す。
そして知る。今の自分は乙女ゲーム『王座の証』で平凡な顔、平凡な頭、平凡な運動能力、全てに置いて普通、全てに置いて完璧で優秀な弟はどんなに後に生まれようと次期王の継承権がいく、王にふさわしい赤の瞳と黒髪を持ち、親の愛さえ奪った弟に恨みを覚える悪役の兄であると。
でも今の俺はそんな弟の苦労を知っているし、生まれたばかりの弟は可愛い。
そんな可愛い弟が幸せになるためにはヒロインと結婚して王になることだろう。悪役になれば死ぬ。わかってはいるが、前世の後悔を繰り返さないため、将来処刑されるとわかっていたとしても、弟の幸せを願います!
・・・でもヒロインに会うまでは可愛がってもいいよね?
本編は完結。番外編が本編越えたのでタイトルも変えた。ある意味間違ってはいない。可愛がらなければ番外編もないのだから。
そしてまさかのモブの恋愛まで始まったようだ。
お気に入り1000突破は私の作品の中で初作品でございます!ありがとうございます!
2018/10/10より章の整理を致しました。ご迷惑おかけします。
2018/10/7.23時25分確認。BLランキング1位だと・・・?
2018/10/24.話がワンパターン化してきた気がするのでまた意欲が湧き、書きたいネタができるまでとりあえず完結といたします。
2018/11/3.久々の更新。BL小説大賞応募したので思い付きを更新してみました。
母の再婚で魔王が義父になりまして~淫魔なお兄ちゃんに執着溺愛されてます~
トモモト ヨシユキ
BL
母が魔王と再婚したルルシアは、義兄であるアーキライトが大の苦手。しかもどうやら義兄には、嫌われている。
しかし、ある事件をきっかけに義兄から溺愛されるようになり…エブリスタとフジョッシーにも掲載しています。
何をされても起きない僕は弟の友達の美形くんに食われちゃいました
霧乃ふー 短編
BL
ベッドで寝るのが大好きな僕。
いつものようにぐうぐう寝ていると、だんだんと身体にいやらしい感覚がやって来て、、、
弟の友達の美形くん×寝るのが大好きな主人公
【完】ゲームの世界で美人すぎる兄が狙われているが
咲
BL
俺には大好きな兄がいる。3つ年上の高校生の兄。美人で優しいけどおっちょこちょいな可愛い兄だ。
ある日、そんな兄に話題のゲームを進めるとありえない事が起こった。
「あれ?ここってまさか……ゲームの中!?」
モンスターが闊歩する森の中で出会った警備隊に保護されたが、そいつは兄を狙っていたようで………?
重度のブラコン弟が兄を守ろうとしたり、壊れたブラコンの兄が一線越えちゃったりします。高確率でえろです。
※近親相姦です。バッチリ血の繋がった兄弟です。
※第三者×兄(弟)描写があります。
※ヤンデレの闇属性でビッチです。
※兄の方が優位です。
※男性向けの表現を含みます。
※左右非固定なのでコロコロ変わります。固定厨の方は推奨しません。
お気に入り登録、感想などはお気軽にしていただけると嬉しいです!
僕のお兄様がヤンデレなんて聞いてない
ふわりんしず。
BL
『僕…攻略対象者の弟だ』
気付いた時には犯されていました。
あなたはこの世界を攻略
▷する
しない
hotランキング
8/17→63位!!!から48位獲得!!
8/18→41位!!→33位から28位!
8/19→26位
人気ランキング
8/17→157位!!!から141位獲得しました!
8/18→127位!!!から117位獲得
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる