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本編(完結)
拒否
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話したくもないとヒロインの姉、偽ヒロインなる令嬢を嫌がる俺への神様からの嫌がらせか、蹴られて倒れたはずの偽ピンクが起き上がり始めた。倒れてればいいのにと思う俺は冷たいだろうか。
「うぅ……っひ、どいです……シエぐえっ」
なんて言う呻く姿はゾンビでも見ているようで、今日一番に引いていれば、シエルが名前を呼ばれる前に偽ヒロインの腹に大きく振りかぶってのかかと落とし。あれは絶対痛い。骨折れたんじゃないだろうか、さすがに。あまりに容赦が無さすぎて周囲すらも痛々しい表情になっていた。
過剰とも言えるそれに同情したのかもしれない。とはいえ、誰も助けようとまではしないようだが。なんか触りたくないよな……色々勘違い植え付けられそうだし。
「ごめんなさい……また足が滑っちゃったみたい」
「大丈夫だよ、シエルちゃん。あれは殺しても死なないタイプだから」
明らかに狙った犯行だったが、身内に許可されたなら足が滑った犯行で済ますべきだろう。実際起き上がってまたあの調子で来られても困るしな。
「目が覚めてからかなり鍛えてるとは聞いていたけど中々に力強い蹴りだね」
兄も偽ヒロインがボコボコ……は語弊か。あれが静かになって落ち着いたようだ。いつもの兄に戻ってシエルを褒める。元妹が褒められるのは悪い気分ではないが、元は女の子だっただけにゲーム通り身体を強くしなくてもと思わなくもない。
賢いとは前世から言えない子なので脳筋だけは勘弁願う。シエル姿だからゲームでのイメージもあってまだマシとはいえ、その中身が元妹だと思うと……いや、俺の妹だから案外脳筋でも可愛いな、うん。シスコンと言ったやつ前に出ろ。妹の素晴らしさを教えてやるから。
「ありがとうございます。全ては第二王子殿下の騎士になるべく精進してきましたので」
「へぇ……素晴らしい心掛けだね。一度しか会ってないクウリのために」
「………」
兄の言葉に返答したシエルの言葉に兄がまた褒めるように言葉を返したが最後の一言だけをシエルの耳元で囁いたため、俺には何を言っているかそれだけが聞き取れなかった。シエルは無言になり兄を睨む。
なんだこれ、デジャヴ感あるんだけど。あ、でも兄は余裕な感じだ。そう思うと兄は何をあんなにムキになってあの偽ヒロインに怒りを向けたのか、今になって気になってくる俺だが今聞く状況ではないのはさすがにわかっている。
「クウリ、少し三人で話があるから先に教室に行っていて。中等部に何故初等部の子が来れたのかとか聞くことがたくさんあるからね」
「え、それなら俺も……」
そんなことを考えていれば急にそう言い出す兄に慌てて俺も行きたいと言おうとしたが……
「だめだよ。また後で話すから」
拒否された。後で話すなんて嘘だ。そう思いもしたが何故かそれ以上言えずにいればそんな俺を見て兄は俺の頭をひと撫でし、シエルとヒロインハナを連れてその場を離れていった。俺が拒否されたのに周囲もついていけるはずもなくその場にいた人たちはバラバラになっていく。
そんな周囲を見渡してため息ひとつ。ただ二人のことが気になったのもあるが、一緒に話し合いの場に付き添おうとして兄に拒否された。ただそれだけのことに胸がちくりと痛んだ俺はとぼとぼと兄に言われた通り教室に向かうのだった。
~次回予告~
謎を迫るチャンスを逃すクウリと迫りつつあるレウル。あれだけクウリに密着していたレウルがクウリの同行を拒否した理由は?次回レウルの思惑が解き明かされる!
※次回予告は適当です。
「うぅ……っひ、どいです……シエぐえっ」
なんて言う呻く姿はゾンビでも見ているようで、今日一番に引いていれば、シエルが名前を呼ばれる前に偽ヒロインの腹に大きく振りかぶってのかかと落とし。あれは絶対痛い。骨折れたんじゃないだろうか、さすがに。あまりに容赦が無さすぎて周囲すらも痛々しい表情になっていた。
過剰とも言えるそれに同情したのかもしれない。とはいえ、誰も助けようとまではしないようだが。なんか触りたくないよな……色々勘違い植え付けられそうだし。
「ごめんなさい……また足が滑っちゃったみたい」
「大丈夫だよ、シエルちゃん。あれは殺しても死なないタイプだから」
明らかに狙った犯行だったが、身内に許可されたなら足が滑った犯行で済ますべきだろう。実際起き上がってまたあの調子で来られても困るしな。
「目が覚めてからかなり鍛えてるとは聞いていたけど中々に力強い蹴りだね」
兄も偽ヒロインがボコボコ……は語弊か。あれが静かになって落ち着いたようだ。いつもの兄に戻ってシエルを褒める。元妹が褒められるのは悪い気分ではないが、元は女の子だっただけにゲーム通り身体を強くしなくてもと思わなくもない。
賢いとは前世から言えない子なので脳筋だけは勘弁願う。シエル姿だからゲームでのイメージもあってまだマシとはいえ、その中身が元妹だと思うと……いや、俺の妹だから案外脳筋でも可愛いな、うん。シスコンと言ったやつ前に出ろ。妹の素晴らしさを教えてやるから。
「ありがとうございます。全ては第二王子殿下の騎士になるべく精進してきましたので」
「へぇ……素晴らしい心掛けだね。一度しか会ってないクウリのために」
「………」
兄の言葉に返答したシエルの言葉に兄がまた褒めるように言葉を返したが最後の一言だけをシエルの耳元で囁いたため、俺には何を言っているかそれだけが聞き取れなかった。シエルは無言になり兄を睨む。
なんだこれ、デジャヴ感あるんだけど。あ、でも兄は余裕な感じだ。そう思うと兄は何をあんなにムキになってあの偽ヒロインに怒りを向けたのか、今になって気になってくる俺だが今聞く状況ではないのはさすがにわかっている。
「クウリ、少し三人で話があるから先に教室に行っていて。中等部に何故初等部の子が来れたのかとか聞くことがたくさんあるからね」
「え、それなら俺も……」
そんなことを考えていれば急にそう言い出す兄に慌てて俺も行きたいと言おうとしたが……
「だめだよ。また後で話すから」
拒否された。後で話すなんて嘘だ。そう思いもしたが何故かそれ以上言えずにいればそんな俺を見て兄は俺の頭をひと撫でし、シエルとヒロインハナを連れてその場を離れていった。俺が拒否されたのに周囲もついていけるはずもなくその場にいた人たちはバラバラになっていく。
そんな周囲を見渡してため息ひとつ。ただ二人のことが気になったのもあるが、一緒に話し合いの場に付き添おうとして兄に拒否された。ただそれだけのことに胸がちくりと痛んだ俺はとぼとぼと兄に言われた通り教室に向かうのだった。
~次回予告~
謎を迫るチャンスを逃すクウリと迫りつつあるレウル。あれだけクウリに密着していたレウルがクウリの同行を拒否した理由は?次回レウルの思惑が解き明かされる!
※次回予告は適当です。
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