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本編(完結)
ピンク増える
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この状況から当事者の俺が逃げられない訳はお察しだろう。少女の目的が俺だから。そういうわけで兄にドン引きしていた少女だったが、何を言われなくともドン引きされる少女は手強かった。
「そ、そんな恐ろしい考えをする人の傍にクウリ様を置くことはできません!クウリ様を私にお返しください」
初対面の人に俺を自分もの扱いされるとはさすがに思わなかった俺。お前だって人を物扱いじゃないかとは思ったものの、口を聞けばこのピンクの妄想的言動が加速しそうでやめた。
「いつ……いつ、クウリが君なんかのものに?」
「これは決まったことなのです」
兄が聞きたいことを聞いてくれたと思えば返答は答えになってない返し。頭大丈夫だろうか、このピンクは。正直、ゲームのヒロインの方がもう少し賢かったような気がする。ふとそんなことを思う。ただでさえピンクに溢れているだけで、顔は似てないのだから怪しさ満天だ。
ああ、兄が声だけでなく雰囲気から不機嫌さと怒りに満ちていく。こんな人前でここまで兄を怒らせるのはある意味すごい。ピンクは兄が怖くないのだろうか……?俺?俺は普通に怖いですけど?でもそれが自分に向いてないから耐えられるだけで。
二人の手こそ出てないがこの争いに終着点はあるのだろうか?状況が悪いようにしか進んでない気がする。なんて思っていれば天の助けかさらなる波乱か、聞いたことのある声が聞こえた。
「お兄ちゃんを狙う偽ヒロインがあぁぁっ!成敗っ!」
「ぐへっ」
その声の主は周囲を退けて素早い速度でこちらに走ってきたと思いきや、止まることなくピンクたる少女の横腹辺りを跳び蹴り。蹴りを食らった少女は令嬢らしからぬ声で倒れた。うわぁと思いながらちらりと兄の様子を見れば、目を見開いて驚いている。
「ま、待ってよ~!シエルちゃん!」
そして周囲を潜り抜けてようやく追い付いたとばかりに現れるもうひとりの人物。
「え……」
まさにヒロインだった。
イラストよりも幼さはあるが、絶対ヒロインじゃないかと確信できるほどのピンク姿とぶりっ子が似合いそうな可愛らしげな顔が、もうひとりのピンクを跳び蹴りしたシエルに近づく。
っていやいや、つい呆然と見てしまったが何故初等部にいるだろう二人がここに?というか俺の元妹は今じゃ男。頭おかしい令嬢とはいえ、跳び蹴りはさすがにやりすぎじゃないか?
「ごめんね、ハナちゃん。足が滑って蹴っちゃったわ」
さすがにそれは理由が厳しくないか?と思うのは俺だけじゃないだろう。それはともかくハナちゃんとは確かゲームでヒロインに名前をおまかせ選択にするとなるおまかせ名だ。やっぱりあのピンクの子が本当のヒロインと改めて確信する。でもなんでヒロインにシエルが謝るのか、それはわからない。
「気にしないで。お姉様が迷惑をおかけしているのは確実だから……あ、挨拶もなしにすみません。私、ハナ・ピンクです。今回は殿下たるお二人に姉が失礼をしたこと深くお詫びいたします」
まさかの姉。ヒロインの姉。比べてヒロインはちゃんと自己紹介も姉のために謝罪できるちゃんとした子だった。ただ名前はどうにかならないものか。名前までピンクとは……。いや、ゲームでもおまかせだとそうなったけどさ。
まあそれはそれとして、とりあえずヒロインの姉にはヒロインである妹を見習えと言いたい。口も聞きたくないから言わないけど。また妄想の餌食にされてもなぁ……。ただでさえ口聞いてなくてもあれだったわけだし?
ー重要なお知らせパート3-
偽ピンクは職業オカマのシエルに撃退された。シエルレベルアップ!
偽ピンク専用スキル【足が滑った】を覚えた。
職業ヒロインのハナ、シエルとのパーティー経験値によりレベルアップ!
スキル【謝罪】を覚えた。
次回予告
ついにクウリたちが出会った本物のヒロインはちゃんと挨拶のできる子だった!しかし、ヒロインとシエルが何故一緒にいるのか?次回!偽ピンクを足蹴にしながらその謎に迫る!
※次回予告は適当です。
「そ、そんな恐ろしい考えをする人の傍にクウリ様を置くことはできません!クウリ様を私にお返しください」
初対面の人に俺を自分もの扱いされるとはさすがに思わなかった俺。お前だって人を物扱いじゃないかとは思ったものの、口を聞けばこのピンクの妄想的言動が加速しそうでやめた。
「いつ……いつ、クウリが君なんかのものに?」
「これは決まったことなのです」
兄が聞きたいことを聞いてくれたと思えば返答は答えになってない返し。頭大丈夫だろうか、このピンクは。正直、ゲームのヒロインの方がもう少し賢かったような気がする。ふとそんなことを思う。ただでさえピンクに溢れているだけで、顔は似てないのだから怪しさ満天だ。
ああ、兄が声だけでなく雰囲気から不機嫌さと怒りに満ちていく。こんな人前でここまで兄を怒らせるのはある意味すごい。ピンクは兄が怖くないのだろうか……?俺?俺は普通に怖いですけど?でもそれが自分に向いてないから耐えられるだけで。
二人の手こそ出てないがこの争いに終着点はあるのだろうか?状況が悪いようにしか進んでない気がする。なんて思っていれば天の助けかさらなる波乱か、聞いたことのある声が聞こえた。
「お兄ちゃんを狙う偽ヒロインがあぁぁっ!成敗っ!」
「ぐへっ」
その声の主は周囲を退けて素早い速度でこちらに走ってきたと思いきや、止まることなくピンクたる少女の横腹辺りを跳び蹴り。蹴りを食らった少女は令嬢らしからぬ声で倒れた。うわぁと思いながらちらりと兄の様子を見れば、目を見開いて驚いている。
「ま、待ってよ~!シエルちゃん!」
そして周囲を潜り抜けてようやく追い付いたとばかりに現れるもうひとりの人物。
「え……」
まさにヒロインだった。
イラストよりも幼さはあるが、絶対ヒロインじゃないかと確信できるほどのピンク姿とぶりっ子が似合いそうな可愛らしげな顔が、もうひとりのピンクを跳び蹴りしたシエルに近づく。
っていやいや、つい呆然と見てしまったが何故初等部にいるだろう二人がここに?というか俺の元妹は今じゃ男。頭おかしい令嬢とはいえ、跳び蹴りはさすがにやりすぎじゃないか?
「ごめんね、ハナちゃん。足が滑って蹴っちゃったわ」
さすがにそれは理由が厳しくないか?と思うのは俺だけじゃないだろう。それはともかくハナちゃんとは確かゲームでヒロインに名前をおまかせ選択にするとなるおまかせ名だ。やっぱりあのピンクの子が本当のヒロインと改めて確信する。でもなんでヒロインにシエルが謝るのか、それはわからない。
「気にしないで。お姉様が迷惑をおかけしているのは確実だから……あ、挨拶もなしにすみません。私、ハナ・ピンクです。今回は殿下たるお二人に姉が失礼をしたこと深くお詫びいたします」
まさかの姉。ヒロインの姉。比べてヒロインはちゃんと自己紹介も姉のために謝罪できるちゃんとした子だった。ただ名前はどうにかならないものか。名前までピンクとは……。いや、ゲームでもおまかせだとそうなったけどさ。
まあそれはそれとして、とりあえずヒロインの姉にはヒロインである妹を見習えと言いたい。口も聞きたくないから言わないけど。また妄想の餌食にされてもなぁ……。ただでさえ口聞いてなくてもあれだったわけだし?
ー重要なお知らせパート3-
偽ピンクは職業オカマのシエルに撃退された。シエルレベルアップ!
偽ピンク専用スキル【足が滑った】を覚えた。
職業ヒロインのハナ、シエルとのパーティー経験値によりレベルアップ!
スキル【謝罪】を覚えた。
次回予告
ついにクウリたちが出会った本物のヒロインはちゃんと挨拶のできる子だった!しかし、ヒロインとシエルが何故一緒にいるのか?次回!偽ピンクを足蹴にしながらその謎に迫る!
※次回予告は適当です。
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