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本編(完結)
ピンク現れる?嵐の始まり
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決意の日から相変わらず毎日似たような日常だったからだろうか?油断していた。ついに俺は見つけてしまったのだ。ピンクを……。ちなみに俺の料理の話じゃない。
ピンクの髪にピンクの制服、ピンクの靴下に、ピンクの靴……。制服はその形さえ損なわなければ色染めが許されるとはいえ何故あそこまでピンクなのか、改めて思わされる姿はあの兄ですら引き気味のご様子。
何故ヒロインがここにと思った。だが、顔を見れば彼女はヒロインではないのは明らか。いや、瞳もピンクだからやっぱりヒロイン?と考えるが前世のゲームイラストではもっときゃぴきゃぴ感ある可愛らしい顔つきではあったはず。
彼女の通る道はみんなが関わりたくないとばかりに空いていく。そして行く先は俺らの向こうにでもあるのだろうか、だんだんとこちらに近づいて来てふんすふんすと鼻息を吹かすピンクレディは本当に中等部の学生?と思うほどに老けているように見えて仕方ない。
身長こそ成長途中とばかりに小柄だから、恐らく年齢に見合うまでは老けて見える外見を耐えなければいけない不憫な少女なのだろう。
俺も兄もこれは関わりたくないという気持ちが上回った。互いにアイコンタクトで彼女を通る道を譲ろうとして……失敗に終わる。残念なことにピンクレディたる彼女は俺たち目当てらしい。
「どうもお初お目にかかりますわ、クウリ様」
「………」
初対面なのに名前呼び……顔が引きつる。とりあえず返事をしなければ貴族の決まりとしては知り合いでないとなるはずだ。何故兄に挨拶しないのかと思いながらも、やはり気になるのはピンク。やはり顔こそ似てないがもしかして彼女が?
なんてもう流れのまま諦めてくれるだろうことを期待していた俺がだめなのだろうか。一行に去る様子のない俺を見つめるピンクは自己紹介すら忘れて俺をじっと見続ける。それに痺れを切らしたのは隣にいた兄だった。
今思えば、何故こうなった!とは思うものの確実にこうしてればなんとかなるだろ精神で何も考えずに行動をした自分のせいであることは理解している。
今俺の目の前には痺れを切らした俺の兄と邪魔するなとばかりのひとりの少女が睨み合い、周囲がそれを何事かとばかりに視線を向けている状況だ。
「クウリに近づかないでくれるかな」
とても低く冷たい声で言葉を放ったのは兄で、クウリとは間違いなく俺の名前。兄はまるで俺を庇うようにして腕で俺を前に進ませまいとしながら少女を睨み付けている。
「まあっ酷いですね!クウリ様は殿下のものではないのですよ?将来一国の王になる方がいくら兄弟とはいえ物扱いとはあんまりです!」
負けじと返す姿には感心するものの、俺は名前で呼ぶことを許可したつもりはないし、その意味も含めつつただの男爵令嬢が王太子である兄を説教なんて不敬にも程があることに少女は気づいているのかいないのか。まあヒロインなら男爵令嬢なわけだから勝手にそう思ったが、ヒロインかどうかわからない今実際はわからない。
でも自己紹介しない令嬢が高位な貴族とは思いたくないが……。
まあ少女のある意味の立場を考えれば許されたのかもしれない。ただここはゲームではなく現実。それを理解しないことには少女の行く道は破滅しかないだろう。
あくまでよくあるヒロインは転生者で自ら破滅するだめタイプで例えるならだけど。転生者でもなく、最初からこれなら元から救いようがないと言える。どんな育ち方をしてきたのかと呆れるしかない。まだ転生者でヒロインだとテンションあがりすぎて自滅のが可愛らしいだろう。
『君と共に』のヒロインで喜ぶ転生者がいるかどうかはわからないが。人気なかったからなぁ、あのゲーム……。なんて考えていれば兄がとんでもないことを言い出した。
「物扱い?私がクウリをかい?愛してやまないクウリを物扱い?君は何を言っているんだろうね?私がクウリを物扱いなんてするはずがない。私はクウリがクウリであるからこそクウリに近づくものは許せないし、邪魔だと感じるし、クウリに触れたものは指だろうと肩だろうとクウリの触れた部分の皮膚を剥がしてやりたいくらいに愛しているんだよ?本当はクウリを見た人の目はくり貫いて潰したいくらいなんだ。だけど私は将来のこの国の王で彼らは私の国民だからね。クウリを見るくらいは許してるし、我慢しているんだ」
いやいやいや、怖いよ!そんなこと聞いてないし、目をくり貫く辺りでみんな俺を見ないように一斉に顔を真っ青にしながら少女に視線をやったぞ?まあ兄を見ていれば自然と俺が視界に入るしな!
ちなみに聞かされていた少女も若干引き気味である。これが将来の王って先行き不安だよね!いや、まあ優秀であることに間違いはないから大丈夫だとは思うけど………。
俺自身なんでこんな兄になってしまったんだと後悔してももう手遅れなのはわかっている。まだ犯罪に走ってないだけ正直いいはずだ!うん!
優秀な兄がこうなった訳はもちろんある。何故かと疑問は尽きないが恐らくは俺のせい……と言いながら原因はよくわかってない俺。兄のことだから訳はあるはずだと思っているだけに過ぎない。どちらにしろゲームにない展開は確実に俺が前世の記憶を持つが故だろう。
記憶取り戻してから気を失う時間の方が長かったが。本当記憶引き継ぎしている間何があったんだろうな?本当。
どちらにしろ原因はあってほしい。訳もなく急にあんな恐ろしいこと言われたら余計怖いしな!とりあえず俺の未来は独身どころかぼっち確定だ。誰かが俺に触れることどころか、目に入れるのも許せない兄を押し退けて他人と仲良くなれる気がしないし。
覚えてる限りの過去を思い返してみたけど、やっぱり兄がなんでそんなクウリクウリになってるの?と思う。知らぬ間に寂しがり屋を俺が拗らせてしまったんだろうか?なーんて……と思考に集中して目の前の出来事を見てない、聞いてないフリをしたいけど当然ながら当事者の俺には無理だった。
ー作者よりコメントー
ようやくプロローグ場面に!少しばかり場面内容訂正しておりますが、だいたい同じ言葉で形成しております。
次回予告
老けたピンク少女はヒロインなのか?次回その姿に迫る!
ピンクの髪にピンクの制服、ピンクの靴下に、ピンクの靴……。制服はその形さえ損なわなければ色染めが許されるとはいえ何故あそこまでピンクなのか、改めて思わされる姿はあの兄ですら引き気味のご様子。
何故ヒロインがここにと思った。だが、顔を見れば彼女はヒロインではないのは明らか。いや、瞳もピンクだからやっぱりヒロイン?と考えるが前世のゲームイラストではもっときゃぴきゃぴ感ある可愛らしい顔つきではあったはず。
彼女の通る道はみんなが関わりたくないとばかりに空いていく。そして行く先は俺らの向こうにでもあるのだろうか、だんだんとこちらに近づいて来てふんすふんすと鼻息を吹かすピンクレディは本当に中等部の学生?と思うほどに老けているように見えて仕方ない。
身長こそ成長途中とばかりに小柄だから、恐らく年齢に見合うまでは老けて見える外見を耐えなければいけない不憫な少女なのだろう。
俺も兄もこれは関わりたくないという気持ちが上回った。互いにアイコンタクトで彼女を通る道を譲ろうとして……失敗に終わる。残念なことにピンクレディたる彼女は俺たち目当てらしい。
「どうもお初お目にかかりますわ、クウリ様」
「………」
初対面なのに名前呼び……顔が引きつる。とりあえず返事をしなければ貴族の決まりとしては知り合いでないとなるはずだ。何故兄に挨拶しないのかと思いながらも、やはり気になるのはピンク。やはり顔こそ似てないがもしかして彼女が?
なんてもう流れのまま諦めてくれるだろうことを期待していた俺がだめなのだろうか。一行に去る様子のない俺を見つめるピンクは自己紹介すら忘れて俺をじっと見続ける。それに痺れを切らしたのは隣にいた兄だった。
今思えば、何故こうなった!とは思うものの確実にこうしてればなんとかなるだろ精神で何も考えずに行動をした自分のせいであることは理解している。
今俺の目の前には痺れを切らした俺の兄と邪魔するなとばかりのひとりの少女が睨み合い、周囲がそれを何事かとばかりに視線を向けている状況だ。
「クウリに近づかないでくれるかな」
とても低く冷たい声で言葉を放ったのは兄で、クウリとは間違いなく俺の名前。兄はまるで俺を庇うようにして腕で俺を前に進ませまいとしながら少女を睨み付けている。
「まあっ酷いですね!クウリ様は殿下のものではないのですよ?将来一国の王になる方がいくら兄弟とはいえ物扱いとはあんまりです!」
負けじと返す姿には感心するものの、俺は名前で呼ぶことを許可したつもりはないし、その意味も含めつつただの男爵令嬢が王太子である兄を説教なんて不敬にも程があることに少女は気づいているのかいないのか。まあヒロインなら男爵令嬢なわけだから勝手にそう思ったが、ヒロインかどうかわからない今実際はわからない。
でも自己紹介しない令嬢が高位な貴族とは思いたくないが……。
まあ少女のある意味の立場を考えれば許されたのかもしれない。ただここはゲームではなく現実。それを理解しないことには少女の行く道は破滅しかないだろう。
あくまでよくあるヒロインは転生者で自ら破滅するだめタイプで例えるならだけど。転生者でもなく、最初からこれなら元から救いようがないと言える。どんな育ち方をしてきたのかと呆れるしかない。まだ転生者でヒロインだとテンションあがりすぎて自滅のが可愛らしいだろう。
『君と共に』のヒロインで喜ぶ転生者がいるかどうかはわからないが。人気なかったからなぁ、あのゲーム……。なんて考えていれば兄がとんでもないことを言い出した。
「物扱い?私がクウリをかい?愛してやまないクウリを物扱い?君は何を言っているんだろうね?私がクウリを物扱いなんてするはずがない。私はクウリがクウリであるからこそクウリに近づくものは許せないし、邪魔だと感じるし、クウリに触れたものは指だろうと肩だろうとクウリの触れた部分の皮膚を剥がしてやりたいくらいに愛しているんだよ?本当はクウリを見た人の目はくり貫いて潰したいくらいなんだ。だけど私は将来のこの国の王で彼らは私の国民だからね。クウリを見るくらいは許してるし、我慢しているんだ」
いやいやいや、怖いよ!そんなこと聞いてないし、目をくり貫く辺りでみんな俺を見ないように一斉に顔を真っ青にしながら少女に視線をやったぞ?まあ兄を見ていれば自然と俺が視界に入るしな!
ちなみに聞かされていた少女も若干引き気味である。これが将来の王って先行き不安だよね!いや、まあ優秀であることに間違いはないから大丈夫だとは思うけど………。
俺自身なんでこんな兄になってしまったんだと後悔してももう手遅れなのはわかっている。まだ犯罪に走ってないだけ正直いいはずだ!うん!
優秀な兄がこうなった訳はもちろんある。何故かと疑問は尽きないが恐らくは俺のせい……と言いながら原因はよくわかってない俺。兄のことだから訳はあるはずだと思っているだけに過ぎない。どちらにしろゲームにない展開は確実に俺が前世の記憶を持つが故だろう。
記憶取り戻してから気を失う時間の方が長かったが。本当記憶引き継ぎしている間何があったんだろうな?本当。
どちらにしろ原因はあってほしい。訳もなく急にあんな恐ろしいこと言われたら余計怖いしな!とりあえず俺の未来は独身どころかぼっち確定だ。誰かが俺に触れることどころか、目に入れるのも許せない兄を押し退けて他人と仲良くなれる気がしないし。
覚えてる限りの過去を思い返してみたけど、やっぱり兄がなんでそんなクウリクウリになってるの?と思う。知らぬ間に寂しがり屋を俺が拗らせてしまったんだろうか?なーんて……と思考に集中して目の前の出来事を見てない、聞いてないフリをしたいけど当然ながら当事者の俺には無理だった。
ー作者よりコメントー
ようやくプロローグ場面に!少しばかり場面内容訂正しておりますが、だいたい同じ言葉で形成しております。
次回予告
老けたピンク少女はヒロインなのか?次回その姿に迫る!
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