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本編(完結)

中等部

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あれから信じられないが、兄の言う例の睡眠学習が功を得たのか前世で言うなら飛び級というものをして俺は中等部を無事入学できた。謎なことに俺よりも兄の方が嬉しそうである。

「計画通りこれでクウリは奪われないよね」

この言葉の意味はよくわからなかったけど……。どうにもこうにも無事中等部に入学してよかった……ってあれ?よくよく考えればクウリが兄と入学を一緒にするなんてゲームにはなかったことにふと気がつく。

これヒロインと会うとすれば二年後だけど、関わることがあるかと言われれば微妙だ。

「あ、そうだ。私たちなら勉強の面の進み具合で三年間も中等部にいる必要もないからね。もちろん目的はそれだけじゃないけど他の貴族の子息くらい放ってても寄ってくるから問題はないよ。危険分子は既に調査済みだしね」

なんて考えていれば心を読まれたかのように、もはやヒロインと出会う間を与えないよとばかりの言葉。これ、もはや攻略対象とすら会わないんじゃ……と思っていればそうでもなかった。

腐腐腐ふふふ……お二人とも仲がよろしいですねぇ」

同じクラスにて攻略対象のひとりルンルン・ネクスターがいたのだ。機嫌のよさそうな簡単な名前は人の名前を覚えるのが苦手な妹ですら覚えられた名前である。そういえば兄に負けずの天才キャラだったなというのを思い出す。ゲーム内のレウルの犯罪で一番確信をつくキャラだった。ルンルンなしに犯罪は暴けなかっただろうと言えるほどに。それでもなぜ俺と同じように飛び級を?という疑問は出るが。

あーでも、それとは別にシエルである妹について確認してはみたが、無理だったようだ。シエルは脳筋キャラっぽいところがあったから頭の出来からしてまず無理だったろうし、妹に関してはノーコメントで理解してくれると助かる。

それにルンルンは確か特別な貴族だったはず。それを踏まえてもただの伯爵家の子息でしかないシエルではどちらにしても年齢を無視した中等部の入学は無理だったろう。

気を失った日から会えてないのは残念だけど、シエルの噂は聞いている。伯爵家のシエル・ハーヴェは令嬢のように振る舞うが決してバカにしてはならないと。教師も手に負えない問題児とも。

一体何をしているのか、うちの元妹は。

気にはなるがそれはまた今度だ。何よりルンルンに対しても気になることはある。例えばゲームじゃもっとネガティブキャラだったはずなのに、見た感じ笑い方が変なただの怪しい人でネガティブさが見られない点とか。

「そう見えるなら嬉しいね。でも、クウリにあまり近づかないでくれるかな」

ぐ……っ嫉妬ですね?ごちそうさまです。腐腐腐ふふふ

後は名前を言い合わずして話す二人を見て知り合いなのが伺える辺り、これもまた一体どこで何があったんだろうと気になる。

「あ、そう言えばクウリ様は初めましてでしたね。いつも見ていたので忘れておりました。我が名はルンルン・ネクスターと申します。これどうぞ、入学祝いです。腐腐腐ふふふ

そんな考えを余所にぐいぐいと来るルンルン。さっきの兄の言葉聞いていたんだろうか?それに、いつも見てたって何?俺城にいた記憶しかないし、クウリになってからルンルン目にしたの初めてですけど?とか入学祝いってあなたもですよね?とかツッコみたくなったが、何もないところからポンと出る花に口が閉じた。

そう言えばルンルンは忍術使えるんだったなと。でもこれマジックだよな?なんて思わなくもない。どちらにしろ、そういうのが好きだった俺は素直に花を受け取ってしまい、他に何かできるのかと期待した目でルンルンを見てしまったのがいけないのだろう。気づけば兄が不機嫌そうにこちらを見ていた。

「それくらい私もすぐできるからね?」

笑ってはいるが目も笑ってなければ不機嫌ですという雰囲気が見るからに漂っている。そんなことで張り合わなくてもと思ったが、翌日、本当に出来るようになって他のマジックも披露してくれるのだから兄を素直にすごいと思った。

腐腐腐ふふふ……よい仕事をした」

気がつけば隣にいたルンルン。俺と共に兄のその姿を見て満足そうに怪しく笑うルンルンは本当に考えが読めない。

ってかやっぱ忍術ってマジックだよな?と中等部に入ってから直面する問題の一番は疑問が増えていくことだった。正直兄が悪役になる可能性があるのかすらわからなくなってきた俺に疑問の解決は諦めるしかないだろうけど。

そんなことを思いながらしばらく兄の忍術もどきを俺は眺めるのだった。



―重要なお知らせパート3―
兄弟王子パーティに職業腐腐腐ふふふのルンルンが仲間に加わった。

職業腐腐腐ふふふのルンルンはレベルアップした。
スキル【忍術もどきただのマジック】を覚えた。
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