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本編(完結)

嵐の影~???視点~

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腐腐腐ふふふ……っ尊い、あぁっ尊い!レウクウ尊い……っ!」

先程まで我はレウル様とクウリ様のいちゃつく現場にいた勝手な妄想をしていた。城の天井裏から。

なんでそんなことをしているか、それを説明する前に少し聞いてほしい。急で理解できないかもしれんが、我には前世の記憶がある。そんな我は前世どうにも人気のないマイナーなゲームにはまりやすく、違った楽しみをするマイナー人間だった。

その中でも乙女ゲーム『君と共に』は私の好みにどはまり。あのピンクのヒロインはいらんが、攻略対象同士が仲良くて腐の妄想がしやすいというのが利点だ。その腐の妄想で理解してくれたかもしれないが、我は所謂腐男子だった。ホモではなく、腐男子。ここを間違えるでない。

そんな我は今その世界に転生を遂げていた。残念なのはモブではなく、我もまた攻略対象であったこと。しかし利点はその攻略対象の人物にあった。

我は今、ルンルン・ネクスターという忍者の末裔にして貴族社会で密偵、暗殺、忍術なんでもござれの裏のボスとも言われるネクスター侯爵家の子息である。名前に関しては何をそんなにテンションあげてるの?とばかりにどうかと思うし、乙女ゲームになんで忍者の末裔?忍術って何?という疑問は我にだってあったが前世にはこういう言葉があったから聞くがいい。

気にしたら負けだ。

特に名前はネクスター家の特徴らしいからどうしようもない。母はネクスター家の親戚にしてリンリンと言う名だし、我の妹はユンユン、父に至ってはティンティンと危なさを感じる名だ。

ついでに忍術はマジックである。楽しいね、裏ボスの忍術の正体とやらは。前世から器用さには自信があった我は、今なら前世のどこぞの名探偵のライバルである怪盗にだってなれる可能性を感じている。

とまぁ、前置きが長くなりすぎたがもちろん忍者要素どこ?と言われれば名前こそ目立つが、ネクスター家は影の薄さが最大の特徴であり、気がつけば隣にいたレベルで影が薄い。その中でもルンルンである我はネクスター家初代生まれ代わりじゃないかというレベルで今や王城に遊びにいく感覚で忍べる。忍者らしいだろう?

そういうわけでレウクウを何度も覗いてきていた我である。それとこんなことを自分で言うのもなんだが、我は前世の時から天才だ。天才故に孤独だったが人生を誰よりも楽しんでいたので問題は全くない。

そんな我はとんでもないものを作ってしまった。前世にあった『君と共に』を再現したゲームを作ってしまったのだ。ある意味予言の書になりかねない。そんな我は誰かに見せる訳にはいかぬとどこかに置くのは心配で持ち歩いていた。

それがいけなかったのだろう。クウリ様が気を失っていた間、レウル様がクウリ様に囁く姿に悶えていた日々の中で気がつけばそれを落としていた。そしてそれを拾ったのはレウル様で……。

「そ、それはだめなのだー!」

「君、誰かな?」

思わず正体を現してしまった。その日から城に侵入していたことを黙っている代わりに我はレウル様の下僕となることが決まる。そして『君と共に』の全てを白状させられ、クウリ様を誑かすだろうヒロインは出会ってもいないのにレウル様の敵認定に。

何故信用されたのかはわからぬが、光栄なことである。

そういうことでクウリ様がレウル様と一緒に中等部入学させる無茶ぶりは我のせいでもあった。というか我のせいだ。辛いだろうに起きて早々にリハビリに勉強にと頑張らざる負えないクウリ様を見て罪悪感はあったものの、我もまた忍術マジックの訓練などが優先事項として、王族と同じく中等部からの入学が認められている立場だった。

よってクウリ様と同じく飛び級みたいになるが、前世でそういうのには慣れている。そうすることによってレウクウがさらに拝めるならそれでよいかと我も天井裏で勉強をする日々になったのだった。もちろんレウクウを眺めながら。

時々レウル様に呼ばれては馳せ参じるのも悪くないと思う自分は現世もまた誰よりも人生を楽しめることだろう。
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