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本編(完結)
クウリ4~レウル視点~
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失敗を経験したあの日からまだ勝負をしてくれるクウリにほっとしたものの、頭の中は失敗したことが気にかかって仕方なかった。そのため日常の中に料理をすることが組み込まれるのは自然なことで、何度も何度も挑戦することに。
でも結果は著しくないものだった。どんな調味料を使っても味がつくことはない。調味料自体には味があるというのに私がいざ調味料を使うと、味がなくなる。原因すらわからないのだから手詰まりだ。
そんなとき現れるのはやっぱりクウリで、二人でできることをするということ。作るのは私で、味付けはクウリ。人と協力してというのはこれもまた初めてのこと。
今まで誰かとするくらいなら一人でする方が早いし出来も結果もよくなるのが当たり前だったため、考えもつかなかった。出来ないことは誰かに補ってもらえばいいのかとクウリの誘いの言葉でようやく人と一緒に何かをする意味を見出せたが、私は恐らく理解した今でも何かを一緒にするのはクウリしか許せない気がしている。
ちなみにクウリと共同作業でできた料理は今までで一番美味しいものだった。だからこそ噛み締めるように何度も口にし、今まで放置していた疑問を聞く決心ができた。決心と言うよりも欲求だろうか。
私の知らないクウリがなくなるくらいにクウリを知りたいという欲求。その欲求の奥にはクウリを知り尽くして生涯傍から離さない未来をつくりたいという勝手な願いが。
それほどにクウリと一緒に何かをするといった料理を介した協力は私に衝撃を与えた。クウリが私と同じ位に勉強や剣などができなくても、私を下からでも支えることはできるのだと。それだけで十分に思えた。私の隣は決して同じ位置の人物でなくてもいいということがわかって。
結局のところ孤独など私の思い込みで、クウリが勝負を仕掛けてきてくれた日から私ひとりの世界は消えていたのだ。でもそれは同時にクウリがいないとひとりの世界に逆戻りだということ。
クウリを知らなければいけない。知れば知るほどにクウリは私のものだと実感できるはずだとそう思っているから。クウリが私から逃げ出しても捕まえられるように。クウリの言動で何を考えているか理解して先回りできるように。
今のクウリは別人に近いけれどそれもまたクウリであるならば私には問題なかった。その日の収穫はクウリが思ったよりも頭が弱いこと。それは酷く都合がいいものだ。
バカほどわかりにくいものはないけれど、バカほどやりやすいものもないから。
それからというもの私は考えに考えて今までのやり方を変えた。助言や直接的な助けは人づてではなく真っ向から行うことにし、バカさ加減をからかって拗ねる様子を楽しんだり。
それはとても充実した毎日で、ようやく来たクウリの誕生日ではパーティーが終わり次第プレゼントを渡すのを楽しみにしていた。それなのに、何故クウリは今もまだ目を覚ましてくれないのだろう?
ただでさえクウリがいないと世界の見方が違うと自覚して間もないのに、このままじゃ私は頭がおかしくなってしまいそうだ。だってクウリが目を閉じた日から私は毎日クウリのことしか考えていないよ?
クウリとの過去、未来、現在。そんなクウリとのことでいっぱいだ。ねぇ、クウリ……これはもっとクウリについて考えろという私への試練なのかな?
「ふふ……っ試練なら、意味ないよね。だって私はもう寝てるときでさえクウリの夢を見るに至っているのだもの」
だから早く目を覚ましてその声で、その表情で、その身体で、クウリという存在を私に感じさせておくれよ。そう心の中で呟いて笑みを浮かべながら私は目を覚まさないクウリにそっと口づけをした。
「これで誰にもクウリの初めてのキスは奪われないね」
それからその日は始終笑みが消えることはなかった。
でも結果は著しくないものだった。どんな調味料を使っても味がつくことはない。調味料自体には味があるというのに私がいざ調味料を使うと、味がなくなる。原因すらわからないのだから手詰まりだ。
そんなとき現れるのはやっぱりクウリで、二人でできることをするということ。作るのは私で、味付けはクウリ。人と協力してというのはこれもまた初めてのこと。
今まで誰かとするくらいなら一人でする方が早いし出来も結果もよくなるのが当たり前だったため、考えもつかなかった。出来ないことは誰かに補ってもらえばいいのかとクウリの誘いの言葉でようやく人と一緒に何かをする意味を見出せたが、私は恐らく理解した今でも何かを一緒にするのはクウリしか許せない気がしている。
ちなみにクウリと共同作業でできた料理は今までで一番美味しいものだった。だからこそ噛み締めるように何度も口にし、今まで放置していた疑問を聞く決心ができた。決心と言うよりも欲求だろうか。
私の知らないクウリがなくなるくらいにクウリを知りたいという欲求。その欲求の奥にはクウリを知り尽くして生涯傍から離さない未来をつくりたいという勝手な願いが。
それほどにクウリと一緒に何かをするといった料理を介した協力は私に衝撃を与えた。クウリが私と同じ位に勉強や剣などができなくても、私を下からでも支えることはできるのだと。それだけで十分に思えた。私の隣は決して同じ位置の人物でなくてもいいということがわかって。
結局のところ孤独など私の思い込みで、クウリが勝負を仕掛けてきてくれた日から私ひとりの世界は消えていたのだ。でもそれは同時にクウリがいないとひとりの世界に逆戻りだということ。
クウリを知らなければいけない。知れば知るほどにクウリは私のものだと実感できるはずだとそう思っているから。クウリが私から逃げ出しても捕まえられるように。クウリの言動で何を考えているか理解して先回りできるように。
今のクウリは別人に近いけれどそれもまたクウリであるならば私には問題なかった。その日の収穫はクウリが思ったよりも頭が弱いこと。それは酷く都合がいいものだ。
バカほどわかりにくいものはないけれど、バカほどやりやすいものもないから。
それからというもの私は考えに考えて今までのやり方を変えた。助言や直接的な助けは人づてではなく真っ向から行うことにし、バカさ加減をからかって拗ねる様子を楽しんだり。
それはとても充実した毎日で、ようやく来たクウリの誕生日ではパーティーが終わり次第プレゼントを渡すのを楽しみにしていた。それなのに、何故クウリは今もまだ目を覚ましてくれないのだろう?
ただでさえクウリがいないと世界の見方が違うと自覚して間もないのに、このままじゃ私は頭がおかしくなってしまいそうだ。だってクウリが目を閉じた日から私は毎日クウリのことしか考えていないよ?
クウリとの過去、未来、現在。そんなクウリとのことでいっぱいだ。ねぇ、クウリ……これはもっとクウリについて考えろという私への試練なのかな?
「ふふ……っ試練なら、意味ないよね。だって私はもう寝てるときでさえクウリの夢を見るに至っているのだもの」
だから早く目を覚ましてその声で、その表情で、その身体で、クウリという存在を私に感じさせておくれよ。そう心の中で呟いて笑みを浮かべながら私は目を覚まさないクウリにそっと口づけをした。
「これで誰にもクウリの初めてのキスは奪われないね」
それからその日は始終笑みが消えることはなかった。
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