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本編(完結)

クウリ3~レウル視点~

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クウリが変わり始めたあの日からクウリなりに色々考えたのだろう。勝負に種類が増えた。中にはまるで遊びのような勝負も……。けれど、どれもクウリは全力なのだから遊びと侮らず私も真剣に取り組んだ。

ほぼ毎日それは続く。それなのにクウリは常に全力で幼い身体に負担を強いているようで心配すると共に、全ての勝負に全力でありながら前とは違い対抗心が見えないクウリに何がそうさせているのか不安になった。

もし今、クウリが勝負に駆り立てられた原因が取り除かれたら?その後の未来が想像できない。それが何よりも怖かった。前よりも素直になったクウリの考えが、素直になる前のクウリよりもわからない。

そんなときに急にクウリからの勝負が途絶え、不安を苛立ちに変えることで自分を保つ日々が続いた。もう勝負どころか関わりをなくす気かと思っていれば仕掛けられた運命とも言える料理勝負。

ようやくその勝負のために準備していたのかと納得し、同時に安心もした。なんならこんなに気持ちが高ぶったことがあっただろうかと思うほどにテンションもあがっていた。

どう勝負をつけるのか?そう思えば料理長の判定で決まるらしい。人任せな勝負とは考えたものだねと褒めたくなったがこれは言い方が何か違う気がした。なんだか嫌みっぽい。

それは心の中に留めることにし、始まる料理勝負。レシピを記憶しその手順で進める。ちらりとクウリを見れば何故かパスタが茹でてるだけに見えるのにピンクに染まっていくのが見えた。あれどうなっているんだろう?さすがはクウリ。私を勝負中に驚かしてくれるとは。

そして調理終了。初めての料理に失敗は見られない。やっぱり何を唐突にしようとできてしまうものだなと、クウリが与えてくれた機会なだけに変に期待しすぎていた自分に気づく。ついでに言えばクウリはある意味センスがあると思う。

「すごいピンクだね」

気がつけばそんな言葉を言っていた。実際ピンク以外色が見られなかったから間違いではない。料理長の憐れんだ様子からこれが初めてでは無さそうだ。

これも私の勝ちかなと思っていれば料理長が私の料理を口にして微妙な表情に。まさか私としたことが味付けを間違えただろうか?明らかにおかしい様子に私もまた料理を口に運んだ。味付けに間違いどころか味がない。

これが私にとって初めての失敗だったと今でさえ思う。

私にまたしても失敗という初めての機会を与えてくれたクウリ。でもこれは私自身により不安という大打撃を与えた。せっかくの久々の勝負。勝てたけどクウリは私の失敗にどう思う?とその日私は固まることでその後クウリがどう反応しているかを見れずに終わった。
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