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本編(完結)
クウリ2~レウル視点~
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そんな願いを持ちつつ私はふと思った。これでもしクウリが私に勝てば勝負の意味のなさを知り、関わりがなくなるかもしれないと。私に勝って隣に並んでほしい気持ちと私に負け続けて関わりを断たないでほしい気持ちが沸き上がる。
結局のところどちらもクウリに離れてほしくないただそれだけのこと。だってクウリは嫌いじゃないから。人に対して無関心か、嫌いかの二つしかない私にとって嫌いじゃない人はクウリひとりだけ。
それだけでクウリは特別な存在だった。どちらにしろ今は負ける気も全くしないので勝負を続けることでクウリとの関係を保つことを私は選んだ。
けれどそれも長くは続かなかった。思わぬところで対抗心を燃やし、結果頭を打って意識を失ったクウリ。本当に予想外のことばかりしてくれると多分私はあの時誰よりも冷静なフリをしながら誰よりも動揺していたように思う。
さらに言えば、初めて人を心配するということを覚えた。それとクウリのいない日常への不安も。だからこそ、クウリの目が覚めたことに安心と喜びを感じた。が、共に目を見張ることにもなる。あのクウリが泣いているのだから。
拒絶されるだろうか?と思いながらハンカチを渡せば、素直にお礼を言って受けとるクウリに驚きを隠せない。と同時になんだか素直にそのクウリが可愛く見えた。普段素直じゃない姿を見てきたせいだろうか?普段のクウリが悪いわけではないけれど。
そうして落ち着いた様子のクウリがぶつぶつと何かを言う。よくわからないが聞こえたその言葉に興味が募り聞いてみればどうしようとばかりに困った様子のクウリ。今日は初めて見るクウリばかりだ。
それはそれで愉快だし、質問を撤回する気もない。だって私が寂しがり屋だなんて言われたらね?そんな素振りを出した覚えすらないのだから。特にクウリの前では。しばらく考える素振りをしてから言ったのはまさかの勘。嘘なのはすぐにわかった。
でもクウリが素直じゃないのは今までと変わりはないから気にしないのに、思わぬ言葉に呆然とした私が疑っていると思えたのだろう。強引に勘で通そうとしたのか、私を強く呼ぶ。その私を呼ぶ呼び方にさらなる疑問。
クウリは私を兄上と呼んでいたよね?と。なんでと聞こうとすればそれは封じられる。押しの強いクウリも悪くないなと素直にそこは応じた。そして構い倒す発言。それはずっとクウリが私の傍に?と喜びに満ちるのも束の間、次の発言に私は凍りつく。
『優秀な兄さんと並ぼうとするのがまず間違いだったと俺は気づいたんです!』
それは私の期待を裏切り、私のひそかにクウリへの教育を無にする発言だった。でも何より私はクウリに必要ないと言われたようでそれが何よりもショックだったのだろう。思わぬ言葉を並べてクウリを責めるような発言ばかりが口から自然と出た。
クウリは知らないだけなのに。私が教師にどうクウリに教えれば苦手な分野を克服できるか、どう教えれば剣が上達するか、私が勝手に好きでやって来たことなのだから。
こんなことならわざとでも一度勝負に負けるべきだった?勝ち続けたがために意欲をなくしてしまった?と考えても仕方ないことで頭を悩ませながらも、タイミングよく来た医師のおかげでそれ以上思ってもない言葉が出ることはなかった。
そんな私の頭を悩ませたクウリはまるでいつもの日常を開始するとばかりに後日勝負を挑んできてそれだけのことに酷く安堵する。クウリは今まで通り私に追い付こうとしてくれていると。
けれど私が勝ち続けるばかりではまた……という不安がない訳じゃない。今日くらいは復帰祝いにと思ったが、全力で挑む様子のクウリを見てその考えはなくなった。クウリが全力なのに負けてあげるなんてそれこそクウリに失礼だし、それは私が望む未来を遠ざける愚作だと。
そしてわざと負ける考えをなくし、また始まる日常。また同じ時間が続けられるという安心できる時間は短く、頭を打つ前と違うクウリに私はまたもや別の不安を募らせていくのだった。
結局のところどちらもクウリに離れてほしくないただそれだけのこと。だってクウリは嫌いじゃないから。人に対して無関心か、嫌いかの二つしかない私にとって嫌いじゃない人はクウリひとりだけ。
それだけでクウリは特別な存在だった。どちらにしろ今は負ける気も全くしないので勝負を続けることでクウリとの関係を保つことを私は選んだ。
けれどそれも長くは続かなかった。思わぬところで対抗心を燃やし、結果頭を打って意識を失ったクウリ。本当に予想外のことばかりしてくれると多分私はあの時誰よりも冷静なフリをしながら誰よりも動揺していたように思う。
さらに言えば、初めて人を心配するということを覚えた。それとクウリのいない日常への不安も。だからこそ、クウリの目が覚めたことに安心と喜びを感じた。が、共に目を見張ることにもなる。あのクウリが泣いているのだから。
拒絶されるだろうか?と思いながらハンカチを渡せば、素直にお礼を言って受けとるクウリに驚きを隠せない。と同時になんだか素直にそのクウリが可愛く見えた。普段素直じゃない姿を見てきたせいだろうか?普段のクウリが悪いわけではないけれど。
そうして落ち着いた様子のクウリがぶつぶつと何かを言う。よくわからないが聞こえたその言葉に興味が募り聞いてみればどうしようとばかりに困った様子のクウリ。今日は初めて見るクウリばかりだ。
それはそれで愉快だし、質問を撤回する気もない。だって私が寂しがり屋だなんて言われたらね?そんな素振りを出した覚えすらないのだから。特にクウリの前では。しばらく考える素振りをしてから言ったのはまさかの勘。嘘なのはすぐにわかった。
でもクウリが素直じゃないのは今までと変わりはないから気にしないのに、思わぬ言葉に呆然とした私が疑っていると思えたのだろう。強引に勘で通そうとしたのか、私を強く呼ぶ。その私を呼ぶ呼び方にさらなる疑問。
クウリは私を兄上と呼んでいたよね?と。なんでと聞こうとすればそれは封じられる。押しの強いクウリも悪くないなと素直にそこは応じた。そして構い倒す発言。それはずっとクウリが私の傍に?と喜びに満ちるのも束の間、次の発言に私は凍りつく。
『優秀な兄さんと並ぼうとするのがまず間違いだったと俺は気づいたんです!』
それは私の期待を裏切り、私のひそかにクウリへの教育を無にする発言だった。でも何より私はクウリに必要ないと言われたようでそれが何よりもショックだったのだろう。思わぬ言葉を並べてクウリを責めるような発言ばかりが口から自然と出た。
クウリは知らないだけなのに。私が教師にどうクウリに教えれば苦手な分野を克服できるか、どう教えれば剣が上達するか、私が勝手に好きでやって来たことなのだから。
こんなことならわざとでも一度勝負に負けるべきだった?勝ち続けたがために意欲をなくしてしまった?と考えても仕方ないことで頭を悩ませながらも、タイミングよく来た医師のおかげでそれ以上思ってもない言葉が出ることはなかった。
そんな私の頭を悩ませたクウリはまるでいつもの日常を開始するとばかりに後日勝負を挑んできてそれだけのことに酷く安堵する。クウリは今まで通り私に追い付こうとしてくれていると。
けれど私が勝ち続けるばかりではまた……という不安がない訳じゃない。今日くらいは復帰祝いにと思ったが、全力で挑む様子のクウリを見てその考えはなくなった。クウリが全力なのに負けてあげるなんてそれこそクウリに失礼だし、それは私が望む未来を遠ざける愚作だと。
そしてわざと負ける考えをなくし、また始まる日常。また同じ時間が続けられるという安心できる時間は短く、頭を打つ前と違うクウリに私はまたもや別の不安を募らせていくのだった。
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