兄を悪役にさせないために全力を出した結果~ヤンデレブラコン化は悪役よりマシですか?~

荷居人(にいと)

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ゲーム外伝(※本編とは関連はあれど関係はありません)

君と共にファンディスク~プレイヤー視点~(本編悪役レウル2までお読みになってから読んでください)

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それはたまたま隅にあったものを見つけたに過ぎない。『君と共に~ファンの皆様へ特別編~』というタイトルの乙女ゲーム。

「ヒロインがピンクすぎて頭おかしいあのゲームにファンディスクってあったのか」

私は『君と共に』をプレイしたひとりだったために苦笑する。中古で税込み80円と安すぎるゲームだったので暇潰しに買ったに過ぎない。ファンディスクは後に発売されたものだからかお値段税込み280円。しかし、今日はセールで税込み480円以下は100円なので実質本編より20円あがった程度。

せっかくだしと買ってみることに。何より裏を見れば『特別仕様版では悪役レウルを一応攻略できます』と書かれていたので気になったのもある。一応攻略できるとは?説明文適当すぎない?と。

まあ何にしても本編では悪役レウルは悪役でしかなく攻略対象にはなり得なかったため、ファンディスクでそれを叶えたのだろうことはわかった。

さっそく家に着いてやってみることにすればさすがはピンクヒロインを作ったゲームと言うべきか、悪役レウルは後半につれて攻略対象として非常に不向きなのがひしひしと伝わってくるものだった。さらに言えば危険な代物だったのだ。私にとってはだが。

まあとりあえず聞いてほしい。

『道に迷ったの?案内するよ』

序盤は本編と変わらずヒロインが学園内で迷うところから始まる。しかし違ったのは、本来ここはクウリが近くに通って僕も一緒のところへ行くからと一緒に行く場面だったのが、ファンディスクだとレウルから声をかけてきてくれて案内されるという場面に切り替わっているのが最初。

そしてそのまま進めていく内にどうやら本編そのままを進みながらもクウリの場面がレウルに切り替わる仕様であることをやっていくうちに理解した。

『さっきクウリと何を話していたの?』

そしてこの場面。珍しくクウリの場面がレウルに切り替わらず本来通りにストーリーが流れ、互いの好きなことなどの会話した後にレウルが現れ、人気のない空き教室へと連れていかれたと思ったらこの質問。言葉を見れば嫉妬のように思える発言。

その答えの選択肢は二つ。

【素直に話す】
【ごまかす】

いや、誤魔化す必要ある?と思わなくもなかったがどちらも気になったのでセーブしてどちらも選択することにした。

【素直に話す】

『へぇ、好きな食べ物に趣味に……随分クウリと仲がいいんだね?』

なるほどなるほど、レウルの激しい嫉妬シーンかなこれはと納得した次の瞬間。

『でもあまりクウリを誑かさないでほしいな。なんだか嫌な感じがしてクウリに近づけさせないようにしていたのに無駄になるでしょう?』

『え……』

画面が一瞬真っ赤になった。覚えのあるそれにまさかと思う。だって画面が一瞬真っ赤になったのは本編バッドエンドのヒロインが殺される場面のときと同じなのだから。

『君は急に何を思ってか自殺した。そうだよね?わかったら素直に死のうね』

その言葉を最後にバッドエンド表示後、タイトルへ戻る。まさかとは思ったがそのまさかバッドエンドに終わった。クウリの場面がレウルに変わったのにはどうやらちゃんと理由が用意されていたらしい。ってかレウルってもしかして病み系?と本編ではヒロインを殺すバッドエンド時以外始終余裕そうに笑うか、悲しげに俯く表情くらいしか見られなかったから暗さを感じる笑みの表情の追加に驚きを隠せない。

それとは別にこれ乙女ゲームだよね?と思わず確認してしまったのはレウルのクウリに対する執着を垣間見た気がしたから。クウリ逃げて!と思わず思ったのは私が腐った妄想に駆られたからじゃない、決して。決してだ。

深呼吸をして選択を選び直せばあっさりとレウルはそっかと信じているのかいないのかわからぬ笑みでその場は無事に終わる。どうやらファンディスクはここからが本編と違うらしく一気にストーリーが変わっていくのがわかった。

ストーリーの違いを理解していくごとに、これもしかしなくても選択間違えば全部殺されるパターン?なのがありありとわかり始める。選択肢がある度にどちらも試すことにしていたのだが疑問は確信となり、そのバッドエンドはどれも酷かった。全てが全てクウリに関することで殺されるのだから。その上、進めれば進めるほどレウルとの会話はクウリの話ばかりになる。

どんだけクウリ好きなんだよ!これ乙女ゲームだよね?とツッコミを入れる私はきっと悪くない。でもツッコミ入れるくらいならだんだん頭の中が腐っていくのを止めたい。

私はノーマルなんだ……!別に差別とかしたいわけじゃないけども!中々に苦行をさせるファンディスク。やめたいのにやめられないこのゲームは恐ろしい。たかが税込100円のゲームなのに侮れないじゃないか!

クウリはクウリがクウリのクウリクウリクウリクウリクウリクウリクウリクウリクウリクウリクウリクウリクウリクウリ……と本編でも知らないクウリの裏話的なものを延々と聞いている内に気がつけばレウルの隣にクウリとセットでいる後編。

ああ、ついにクウリがレウルに捕獲されてる……。と思った私は末期だろうか?

後編ではクウリを褒めるレウルにそうだね以外の選択肢は選べない。何故ならバッドエンド必須だからだ。例えばクウリに対する褒め言葉に【そうかな?】という選択をするとしよう。

『君とはクウリを分かち合えると思ったのに……やっぱりクウリだけだね、私には』

『兄上!?』

ただ疑問的なことを口にしただけで場面が人前とか関係なく画面が真っ赤になるのだから容赦なさすぎる。

それはそれとしてもうひとつの選択肢【クウリに話しかけてみる】を選択してみせよう。

『私がいるときにクウリに話しかけるなら私を通してくれないと。君は私がクウリに話しかける全てを殺したい気持ちを我慢してるってことくらい知ってるよね?ああ、わざとかい?クウリを、私のクウリを盗る気だね……?』

いや、そんな我慢してるだなんて知らないよ!と言えないままにこれまた画面真っ赤にしてバッドエンド。どれもこれもレウルは常に刃物持ち歩いているのか?怖いやつだな!という思いもあるが、とりあえずクウリ本当逃げて!手遅れかもだけど!と言いたい気持ちの方が強かったりもする。

まあそういうわけで後編はレウルにあくまで理解者として認められているのかうんうん頷くだけの楽な乙女ゲーム化とする。これただ二人の仲見せられてるだけじゃない?と思わなくもない。

だけどハッピーエンド?ではヒロインと結婚となるのだから乙女ゲームに間違いはないのだろう。プロポーズイベントはおかしかったが。

『私を理解してくれる女性は君だけだよ。どうか結婚してほしい。生涯、君と共にクウリを愛していきたいんだ』

それクウリとの距離感を理解すれば女は誰でもいいやつですよね?もうクウリと結婚しろよ!と叫びたくなった。パッケージの裏にあった一応攻略できますとはこういうことかと物凄く納得したものだ。

とりあえずクリアした今、これを作ったゲーム会社に言いたい。二度と乙女ゲームを作るなと。そしてお願いしたい。もう自分がノーマルでなくなった腐った女だと認めるので次回作はBLゲームでお願いしますと。

その後ファンディスクは最初からまたプレイを始めた。

外伝君と共にファンディスク~END~







-作者よりコメント-
お気に入り登録2000どころか2100超えありがとうございます!

今回は乙女ゲームのプレイヤー視点と視点を新しくしてみました。乙女ゲームを題材にした作品はあれど、外伝とはいえ本編に関わりのないプレイヤー視点は珍しいのではないでしょうか?作品は探せばいくらでも出てくるので初めてとは言い切れないんですが、私は見たことないなと。

新しいパターンで書いてて結構私自身が楽しんでしまいました。悪役レウルを攻略対象にしたらもれなくクウリが着いてきますというやつですね。二人攻略できてお得ですよ!クウリに直で話しかけるともれなく死がついてきますが。

また気が向いて思い付けば外伝も更新いたしますね!もし外伝的ネタあれば提供お願いします。

本編に関係ないものとして乙女ゲーム内の話ということであれば基本オッケーです。書きたいと思えば書いちゃうかもです。
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