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本編(完結)
嵐の前の一休み
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ようやくの6歳の誕生日は前世とは全く違うものだった。特に身分的にも王族である自分が家族と、最悪兄や使用人たちだけで誕生日会をするなんてことはなかったのだ。
目の前に広がるのは知らない人々。正直知らない人たちに祝われてもとは思うものの、貴族たちの繋がりを得る機会を逃すのもよくないのはわかっている。でも、6歳から人脈づくりなんて王族も大変だよなと思うのも正直な気持ちだ。
「ふぅ……」
「ふふ、頑張ったね。クウリ」
何よりひとりで壇上に立って話すというのはかなり緊張するものだと思い知った。予め兄が誕生日の日大丈夫か聞いてくれ、その時は何が?となったが、教えてくれたおかげで考える時間も覚える時間もあったのだから兄には素直に感謝する。
「兄さん、本当ありがとうございます」
「まあ、今のクウリはちょっと残念な子だからね」
くすくすと笑う兄に残念ながら否定ができない。兄にバカ認定された日からときどき兄は自ら助力してくれるようになっていた。どういう心境の変化なのかは全くわからないけれど、機嫌よさげに何かしら助けてくれたり助言をくれたりするので素直に受け入れている。
正直兄のすることは無駄がないので、助力してくれる時は俺にとって放置すれば後々困ることになっていた可能性が高いものばかりなのもあり、受け入れないのはそれこそバカを見る結果にしかならないと考えた上で受け入れているので決して安易に受け入れてきたわけじゃない。俺はバカはバカでもただバカなわけじゃないからな!
バカになりたかったわけでもないけどな……。
それと話した内容についてもだが、実はそうだったの?と思う内容を兄から説明いただいて考えた文だ。
どうやら王族生まれは一番高い身分であるのだからそれに相応しくあれという考えらしく、本来貴族とごく一部の賢い平民が初等部で習うことは6年費やすのだが、王族だけは別教育にてその者たちより最低でも3年先の学習分を習得をしなければならない。
前世で言えば学校でも習うけど塾で先に習っちゃおうみたいなやつだな。中等部入る頃には最低でも高等部の1年にはついていける段階でないといけないわけだ。もちろん中等部でみんなと同じ学習になるからといって常に先を行く勉学や剣習ってきたもの全てを怠るなんてことは許されない。
同じことを習いながら自ら3年以上先を学習するのは当たり前とし、高等部すらもクリアしたなら何か国のために成果をあげられる研究なりなんなりする必要がある。要は大人に混じって遅れをとらないよう何かしら手伝いくらいは同等にできるようになれというやつだ。
スパルタ教育にも程がある。
とはいえ、元々王族生まれはみんなが初等部へ入学する以前から教育は始まっているため先に勉強する分余裕はあったりする。それ以外にも貴族たちがあらかじめ習う礼儀、マナーも含めてだから他よりもやることが多いことに変わりはないけど。
ちなみにそれらはもちろん兄から聞いたんだけど、幼い頃から勉強やら剣の稽古やらこの世界は大変だなとしか思っていなかった俺である。何故その話になったのは俺が聞いたから。
『兄さんって学園いつから行くの?』
『え?知らないの?』
呆れた顔もされたし、今のクウリなら仕方ないかとばかりに説明された。これが果たして未来にいい影響を与えるのかどうかは謎だ。とりあえず元々のクウリごめんよ、俺のせいで兄からバカ認定されて。いや、認定されたのは今の俺だし……違うか?
「はぁ……」
「クウリ?疲れたの?」
過去を振り返りため息ひとつ。兄が心配そうに見てくるのが申し訳ない。これから他のご貴族と挨拶が始まるわけで、過去を思えばボロが出そうで今から憂鬱になる。ただ兄が近くにはいてくれるらしいのでバカがバレないように頑張りたいと思う。
まさかこの挨拶で思わぬ出会いがあるとは夢にも思わない俺であった。
目の前に広がるのは知らない人々。正直知らない人たちに祝われてもとは思うものの、貴族たちの繋がりを得る機会を逃すのもよくないのはわかっている。でも、6歳から人脈づくりなんて王族も大変だよなと思うのも正直な気持ちだ。
「ふぅ……」
「ふふ、頑張ったね。クウリ」
何よりひとりで壇上に立って話すというのはかなり緊張するものだと思い知った。予め兄が誕生日の日大丈夫か聞いてくれ、その時は何が?となったが、教えてくれたおかげで考える時間も覚える時間もあったのだから兄には素直に感謝する。
「兄さん、本当ありがとうございます」
「まあ、今のクウリはちょっと残念な子だからね」
くすくすと笑う兄に残念ながら否定ができない。兄にバカ認定された日からときどき兄は自ら助力してくれるようになっていた。どういう心境の変化なのかは全くわからないけれど、機嫌よさげに何かしら助けてくれたり助言をくれたりするので素直に受け入れている。
正直兄のすることは無駄がないので、助力してくれる時は俺にとって放置すれば後々困ることになっていた可能性が高いものばかりなのもあり、受け入れないのはそれこそバカを見る結果にしかならないと考えた上で受け入れているので決して安易に受け入れてきたわけじゃない。俺はバカはバカでもただバカなわけじゃないからな!
バカになりたかったわけでもないけどな……。
それと話した内容についてもだが、実はそうだったの?と思う内容を兄から説明いただいて考えた文だ。
どうやら王族生まれは一番高い身分であるのだからそれに相応しくあれという考えらしく、本来貴族とごく一部の賢い平民が初等部で習うことは6年費やすのだが、王族だけは別教育にてその者たちより最低でも3年先の学習分を習得をしなければならない。
前世で言えば学校でも習うけど塾で先に習っちゃおうみたいなやつだな。中等部入る頃には最低でも高等部の1年にはついていける段階でないといけないわけだ。もちろん中等部でみんなと同じ学習になるからといって常に先を行く勉学や剣習ってきたもの全てを怠るなんてことは許されない。
同じことを習いながら自ら3年以上先を学習するのは当たり前とし、高等部すらもクリアしたなら何か国のために成果をあげられる研究なりなんなりする必要がある。要は大人に混じって遅れをとらないよう何かしら手伝いくらいは同等にできるようになれというやつだ。
スパルタ教育にも程がある。
とはいえ、元々王族生まれはみんなが初等部へ入学する以前から教育は始まっているため先に勉強する分余裕はあったりする。それ以外にも貴族たちがあらかじめ習う礼儀、マナーも含めてだから他よりもやることが多いことに変わりはないけど。
ちなみにそれらはもちろん兄から聞いたんだけど、幼い頃から勉強やら剣の稽古やらこの世界は大変だなとしか思っていなかった俺である。何故その話になったのは俺が聞いたから。
『兄さんって学園いつから行くの?』
『え?知らないの?』
呆れた顔もされたし、今のクウリなら仕方ないかとばかりに説明された。これが果たして未来にいい影響を与えるのかどうかは謎だ。とりあえず元々のクウリごめんよ、俺のせいで兄からバカ認定されて。いや、認定されたのは今の俺だし……違うか?
「はぁ……」
「クウリ?疲れたの?」
過去を振り返りため息ひとつ。兄が心配そうに見てくるのが申し訳ない。これから他のご貴族と挨拶が始まるわけで、過去を思えばボロが出そうで今から憂鬱になる。ただ兄が近くにはいてくれるらしいのでバカがバレないように頑張りたいと思う。
まさかこの挨拶で思わぬ出会いがあるとは夢にも思わない俺であった。
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