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本編(完結)
視線
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「へぇ……」
さすがに苦しすぎる言い分に兄は目を細めて俺を見る。この兄の視線は心臓に悪すぎやしませんか?
「じゃあ、なんで自分のことを俺と言い出したの?頭打つ前はぼくだったよね?」
もう俺がボロ出しすぎてピンチなんですけど!そういや、クウリは一人称僕だったよな!でも俺は前世から俺なんだよー!さすがお兄様よくお気づきで!
「急にピンと来たんです!かっこいいなって!」
実はこれ半分嘘で半分本当。前世俺は自分のことを名前で言っていた記憶がある。正直名前自体は思い出せないが……
『○○くん、すごいでしょ!』
『にちゃ、ちゅごい!』
自分を名前呼び、しかもくん付けをしつつ自らを褒め称え、妹にすごいと言わせ調子づく黒歴史が確かにあった。これこそ思い出せなくていい記憶じゃないか!なんて思わなくもない。
そんな俺が俺と言い始めたのは単純すぎる理由。
『おぉっ!クリクリレンジャーかっけぇ!』
一時期はまっていた戦隊ものの好きな戦士が俺と言っていたので真似している内に定着したに過ぎない。ある意味かっこいいと思って気がつけば定着していたのだから本当のことだろ?前世のことだけど。
ちなみにクリクリレンジャーは人気のなさに最終回まですることなく打ち切りになった。はまっていた俺は泣いたとも。本当なんでこんな記憶ばっかは思い出してるんだよ、俺。
「……うん、まあいいや。今のクウリも嫌いじゃないから」
どうやら納得こそしてないが見逃してくれたらしい。ついでに嫌われてもないみたいだ。これは本当によかった。嫌われたら誰も兄の悪役へ歩む道を止められなくなるしな!
そこで安心しきってその日は大成功とも言える料理を、何の話とばかりに首を傾げていた料理長も仲間にいれしっかり三人で完食した。
だが、安心したのもその日限りで翌日から何故か俺は兄にストーカーされるようになった。いや、ストーカーと言っていいものかわからないが時間さえあれば兄がじっと俺を見るようになったのだ。
勝負を仕掛ければそちらに集中するかと思えば勝負中もじっと見られているのでやりづらくて仕方ない。なんなら、俺が集中できなくて全力を出しきれずにいる。全力出したところで負けは変わらない気はするがそれはそれだ。
「あの、兄さん?」
「うん?どうかした?」
話しかければいつも通りの優しい口調でどうかしたのか訪ねてくれる。ただ視線は俺から離れることはない。いや、話しかけたのが俺なのだからこれはまだいい。まだいいのだが。
「レウル殿下、少しよろしいでしょうか?」
「うん、いいよ」
「えっと……あの?」
「うん?何、早く話してくれないかな?」
さて、会話だけじゃわからないだろうが用事があって兄に話しかけただろう人物は王城の執事、兄も反応こそしたし会話も成立しているがいかんせん顔を向ける場所がおかしい。
何故俺から目を離さず会話を進めようとするのか。こうもあからさまに俺が気になってますとばかりに視線を向けられたらさすがに気になるだろ!?
誰か兄に人と話すときは話している人物の方に顔を向けて話すよう教えてあげられないかな……正直怖いです。体は話す相手を向いているのに顔は以前横に向けて俺を見るのだから。
さすがに苦しすぎる言い分に兄は目を細めて俺を見る。この兄の視線は心臓に悪すぎやしませんか?
「じゃあ、なんで自分のことを俺と言い出したの?頭打つ前はぼくだったよね?」
もう俺がボロ出しすぎてピンチなんですけど!そういや、クウリは一人称僕だったよな!でも俺は前世から俺なんだよー!さすがお兄様よくお気づきで!
「急にピンと来たんです!かっこいいなって!」
実はこれ半分嘘で半分本当。前世俺は自分のことを名前で言っていた記憶がある。正直名前自体は思い出せないが……
『○○くん、すごいでしょ!』
『にちゃ、ちゅごい!』
自分を名前呼び、しかもくん付けをしつつ自らを褒め称え、妹にすごいと言わせ調子づく黒歴史が確かにあった。これこそ思い出せなくていい記憶じゃないか!なんて思わなくもない。
そんな俺が俺と言い始めたのは単純すぎる理由。
『おぉっ!クリクリレンジャーかっけぇ!』
一時期はまっていた戦隊ものの好きな戦士が俺と言っていたので真似している内に定着したに過ぎない。ある意味かっこいいと思って気がつけば定着していたのだから本当のことだろ?前世のことだけど。
ちなみにクリクリレンジャーは人気のなさに最終回まですることなく打ち切りになった。はまっていた俺は泣いたとも。本当なんでこんな記憶ばっかは思い出してるんだよ、俺。
「……うん、まあいいや。今のクウリも嫌いじゃないから」
どうやら納得こそしてないが見逃してくれたらしい。ついでに嫌われてもないみたいだ。これは本当によかった。嫌われたら誰も兄の悪役へ歩む道を止められなくなるしな!
そこで安心しきってその日は大成功とも言える料理を、何の話とばかりに首を傾げていた料理長も仲間にいれしっかり三人で完食した。
だが、安心したのもその日限りで翌日から何故か俺は兄にストーカーされるようになった。いや、ストーカーと言っていいものかわからないが時間さえあれば兄がじっと俺を見るようになったのだ。
勝負を仕掛ければそちらに集中するかと思えば勝負中もじっと見られているのでやりづらくて仕方ない。なんなら、俺が集中できなくて全力を出しきれずにいる。全力出したところで負けは変わらない気はするがそれはそれだ。
「あの、兄さん?」
「うん?どうかした?」
話しかければいつも通りの優しい口調でどうかしたのか訪ねてくれる。ただ視線は俺から離れることはない。いや、話しかけたのが俺なのだからこれはまだいい。まだいいのだが。
「レウル殿下、少しよろしいでしょうか?」
「うん、いいよ」
「えっと……あの?」
「うん?何、早く話してくれないかな?」
さて、会話だけじゃわからないだろうが用事があって兄に話しかけただろう人物は王城の執事、兄も反応こそしたし会話も成立しているがいかんせん顔を向ける場所がおかしい。
何故俺から目を離さず会話を進めようとするのか。こうもあからさまに俺が気になってますとばかりに視線を向けられたらさすがに気になるだろ!?
誰か兄に人と話すときは話している人物の方に顔を向けて話すよう教えてあげられないかな……正直怖いです。体は話す相手を向いているのに顔は以前横に向けて俺を見るのだから。
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