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本編(完結)
変化
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とはいえ、味だけしか評価できない俺の料理が兄に勝てるはずもなくどちらにしろ負けだと料理長には言われてしまった。兄のは別に食べられないわけではないし。
しかし、その日を境に兄は俺との勝負以外に料理に没頭するようになった。こればかりは予想外だし、料理長も俺の次は兄から目が離せなくなったと仕事が増え大変そうだ。まあ頼んだわけでもないが、料理中に怪我でもしたら料理長に責任がいくかもしれないと気が気でないのだろう。
ちなみに俺は兄が気になって料理こそはしないが、こっそり覗いていたりする。この変化が未来にどう繋がるかわからないからだ。レウルの失敗談に関してゲームにそんな話はなかった。たかが料理ひとつといえど、なかったことが起きたのは何か兄の悪役への道を閉ざすきっかけになるかもしれない。
それを俺は今見極め中なのだ。
「また、味がない……」
そして今日もまた兄は失敗したらしい。毎日見ていて思うが、兄も俺と同じくピンクの呪いのように呪われているんじゃないか?と思う。呪いは勝手に俺が思っているだけだが。
それにしても兄は諦めが悪い。やはりクウリの兄なだけはあるというべきか?ゲームのクウリも諦め悪くいくら負けようと兄に挑み続けたのだから。もちろんヒロインが現れるまでは……だが。
何にしてもこうしていくら失敗しようが失敗を克服しようと頑張る兄は見ていて素直に尊敬する。兄はまさしくなんだってできる完璧人間。王太子なのだから料理なんて失敗したからと克服する必要など全くないのだ。だというのに欠かさず繰り返し練習するのだから素直に凄いと思う。
だからだろうか、素直に協力したいと思った。兄はあの日からどうにも思い詰めているような気がしてならないのだ。決してそれが表情に出ているわけではないし、俺の気のせいかもしれない。
それに兄は気づいているかいないかわからないが、兄は誰かを頼るということをしない。自分ひとりで何事も成し遂げられる優秀さと、周囲は自分の表面しか見ていないという人間不信な部分があるせいで何かを一緒にするという行為や協力してもらう、頼るという行為自体思い付いていない可能性がある。
この判断が後々どう響くかは全く予想できないけど、俺はこの判断は正しいはずだと覚悟を決めて料理をし直す兄に声をかけることにした。
「兄さん、味付けは俺がするよ」
その判断は兄の料理を手伝う。ただそれだけのこと。
「クウリ?」
随分料理に集中していたのだろう。俺が覗いていたことに兄は全く気づいていなかったようだ。声をかけた俺に気づいたとたん何でここに?とばかりに目を丸くさせている。
「ごめん、ずっと兄さんが料理するの見てました。俺、見た目は何故かピンク料理になるけど、味は料理長から保証されてるし、料理の見た目は完璧な兄さんと合わせたら最高の料理できると思うんですけどどうですか?味付け専門だけど」
「味付け専門……?別にそんなの……ああ、でも……うん、お願いするよ」
兄が何に納得したのか、もしくは悟ったのかはわからないが俺の提案に対して兄は少し考えて断ろうとした様子だったが何かに気づいたように嬉しそうに笑って了承した。その表情は何か憑き物がとれたかのような晴れやかさ。
やっぱりこの判断は間違ってなかったとこの瞬間は確かに思った。これが後々ある意味間違いだったのではとなる未来に繋がっていくとは知らずに。
しかし、その日を境に兄は俺との勝負以外に料理に没頭するようになった。こればかりは予想外だし、料理長も俺の次は兄から目が離せなくなったと仕事が増え大変そうだ。まあ頼んだわけでもないが、料理中に怪我でもしたら料理長に責任がいくかもしれないと気が気でないのだろう。
ちなみに俺は兄が気になって料理こそはしないが、こっそり覗いていたりする。この変化が未来にどう繋がるかわからないからだ。レウルの失敗談に関してゲームにそんな話はなかった。たかが料理ひとつといえど、なかったことが起きたのは何か兄の悪役への道を閉ざすきっかけになるかもしれない。
それを俺は今見極め中なのだ。
「また、味がない……」
そして今日もまた兄は失敗したらしい。毎日見ていて思うが、兄も俺と同じくピンクの呪いのように呪われているんじゃないか?と思う。呪いは勝手に俺が思っているだけだが。
それにしても兄は諦めが悪い。やはりクウリの兄なだけはあるというべきか?ゲームのクウリも諦め悪くいくら負けようと兄に挑み続けたのだから。もちろんヒロインが現れるまでは……だが。
何にしてもこうしていくら失敗しようが失敗を克服しようと頑張る兄は見ていて素直に尊敬する。兄はまさしくなんだってできる完璧人間。王太子なのだから料理なんて失敗したからと克服する必要など全くないのだ。だというのに欠かさず繰り返し練習するのだから素直に凄いと思う。
だからだろうか、素直に協力したいと思った。兄はあの日からどうにも思い詰めているような気がしてならないのだ。決してそれが表情に出ているわけではないし、俺の気のせいかもしれない。
それに兄は気づいているかいないかわからないが、兄は誰かを頼るということをしない。自分ひとりで何事も成し遂げられる優秀さと、周囲は自分の表面しか見ていないという人間不信な部分があるせいで何かを一緒にするという行為や協力してもらう、頼るという行為自体思い付いていない可能性がある。
この判断が後々どう響くかは全く予想できないけど、俺はこの判断は正しいはずだと覚悟を決めて料理をし直す兄に声をかけることにした。
「兄さん、味付けは俺がするよ」
その判断は兄の料理を手伝う。ただそれだけのこと。
「クウリ?」
随分料理に集中していたのだろう。俺が覗いていたことに兄は全く気づいていなかったようだ。声をかけた俺に気づいたとたん何でここに?とばかりに目を丸くさせている。
「ごめん、ずっと兄さんが料理するの見てました。俺、見た目は何故かピンク料理になるけど、味は料理長から保証されてるし、料理の見た目は完璧な兄さんと合わせたら最高の料理できると思うんですけどどうですか?味付け専門だけど」
「味付け専門……?別にそんなの……ああ、でも……うん、お願いするよ」
兄が何に納得したのか、もしくは悟ったのかはわからないが俺の提案に対して兄は少し考えて断ろうとした様子だったが何かに気づいたように嬉しそうに笑って了承した。その表情は何か憑き物がとれたかのような晴れやかさ。
やっぱりこの判断は間違ってなかったとこの瞬間は確かに思った。これが後々ある意味間違いだったのではとなる未来に繋がっていくとは知らずに。
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