10 / 75
本編(完結)
料理3
しおりを挟む
「すごいピンクだね」
結果は作り上げた瞬間から惨敗だった。これが無謀な挑戦ってやつだな。ったく……誰だ、なんとかなるって言ったやつ。あ、俺だ。
特に何の料理で勝負というのはしなかった。兄自身初めての料理なわけだし、レシピ本は料理長によって用意されその中からということに……。俺はたらこスパゲッティを作った。麺は茹でるだけです。卑怯とか言うなよ?ソースはがんばったんだから。5歳児の料理なんてこんなものだ……だよな?
とりあえずこれならピンクでも……と思ったが、なんで茹でただけの麺はたらこソースをかける前からピンクに染まっているのか。あの兄でさえ、料理中だんだんピンクになる麺にえ?と驚いていた。審査員の料理長はいつものミラクルに見慣れているので憐れみの目で見られました。
気持ちスープもつけたがもちろんピンクスープ。彩り最悪すぎるが、たらこスパゲッティなだけラーメンよりはマシ……だよな?
ちなみに兄は本当に初めてですか?ってくらいプロ並みの料理を披露してくれた。おい、最近の7歳児はすげぇなと主婦顔負けの手際のよさ。正直スパゲッティ茹でてる時点で負けは悟ってたさ。久々に勝負を仕掛けられたせいか、兄の機嫌は一気によくなった。この辺やっぱチョロヒーローの兄なんだなと思わなくもない。
恐らく時間を空けたのは俺のさらなる敗因を作ったものだと思われる。だっていつも以上にやる気満々なのが輝かしい笑顔でわかるもんよ。
そして出来上がったのは料理長顔負けのどこぞの高級料理店で作られたかのようなフルコース。もうこの時点で負けたよ、俺。
兄からにこにことすごいピンクだねと感想を頂いた俺です。きっとこの世でこんな感想を頂いたのは俺くらいだろう……うん、嬉しくねぇよっ!
正直負けは確定だが憐れんだ料理長は味も評価しようと食べてくれるらしい。その優しさが今は痛い。どうせ初心者だろうと兄のは美味しいに決まっている。すごいいい匂いするもん!涎が垂れそうだよ!
「………ん?」
と思っていれば兄の料理を食べた料理長が首を傾げた。そしてもう一口違う料理を食べ進めていく。そしてまたもや首を傾げた。兄もその反応を不思議に思った様子で料理長に視線を向ける。
「料理長、どうしたんだ?」
俺も気になったので訊ねてみることにした。このまま見ていても首ばかり傾げてそうな料理長に。
「いや……その、レウル様のは決して食べられないものではないのですが……」
料理長の歯切れの悪さを見て、まさかのまさか料理の味で勝てるかもしれない希望が出てきて俺も兄の料理を食べてみることに。
「……ん?」
これまたびっくり、兄の料理は味が何一つしなかった。確かに料理のいい匂いはするし、料理中調味料も使っていたのを俺も見ていたはずなのにまるで相殺してしまいましたとばかりに味がない。いやいや、いくら初心者でもまずいなり、普通なり、美味しいなり、味はあるものだろう!え、何でいい匂いはするのに味は全くの無味なの?残念すぎるよ!
ついでに俺たちを見ていた兄も俺たちの反応を気にしてか自分の料理を口にし固まっていた。恐らく今まで兄がやることなすこと結果的に失敗ひとつなかっただけに、料理の味がないというのは兄にとって初めての失敗だったのかもしれない。
嫌味かよと思うかもしれないが事実なのだから仕方ない。ってか初めての失敗が料理に味がついてないとは思わなかった。些細なことかもしれない。それでも兄でも失敗することあるんだなと思えば少しばかり安堵する自分がいた。
結果は作り上げた瞬間から惨敗だった。これが無謀な挑戦ってやつだな。ったく……誰だ、なんとかなるって言ったやつ。あ、俺だ。
特に何の料理で勝負というのはしなかった。兄自身初めての料理なわけだし、レシピ本は料理長によって用意されその中からということに……。俺はたらこスパゲッティを作った。麺は茹でるだけです。卑怯とか言うなよ?ソースはがんばったんだから。5歳児の料理なんてこんなものだ……だよな?
とりあえずこれならピンクでも……と思ったが、なんで茹でただけの麺はたらこソースをかける前からピンクに染まっているのか。あの兄でさえ、料理中だんだんピンクになる麺にえ?と驚いていた。審査員の料理長はいつものミラクルに見慣れているので憐れみの目で見られました。
気持ちスープもつけたがもちろんピンクスープ。彩り最悪すぎるが、たらこスパゲッティなだけラーメンよりはマシ……だよな?
ちなみに兄は本当に初めてですか?ってくらいプロ並みの料理を披露してくれた。おい、最近の7歳児はすげぇなと主婦顔負けの手際のよさ。正直スパゲッティ茹でてる時点で負けは悟ってたさ。久々に勝負を仕掛けられたせいか、兄の機嫌は一気によくなった。この辺やっぱチョロヒーローの兄なんだなと思わなくもない。
恐らく時間を空けたのは俺のさらなる敗因を作ったものだと思われる。だっていつも以上にやる気満々なのが輝かしい笑顔でわかるもんよ。
そして出来上がったのは料理長顔負けのどこぞの高級料理店で作られたかのようなフルコース。もうこの時点で負けたよ、俺。
兄からにこにことすごいピンクだねと感想を頂いた俺です。きっとこの世でこんな感想を頂いたのは俺くらいだろう……うん、嬉しくねぇよっ!
正直負けは確定だが憐れんだ料理長は味も評価しようと食べてくれるらしい。その優しさが今は痛い。どうせ初心者だろうと兄のは美味しいに決まっている。すごいいい匂いするもん!涎が垂れそうだよ!
「………ん?」
と思っていれば兄の料理を食べた料理長が首を傾げた。そしてもう一口違う料理を食べ進めていく。そしてまたもや首を傾げた。兄もその反応を不思議に思った様子で料理長に視線を向ける。
「料理長、どうしたんだ?」
俺も気になったので訊ねてみることにした。このまま見ていても首ばかり傾げてそうな料理長に。
「いや……その、レウル様のは決して食べられないものではないのですが……」
料理長の歯切れの悪さを見て、まさかのまさか料理の味で勝てるかもしれない希望が出てきて俺も兄の料理を食べてみることに。
「……ん?」
これまたびっくり、兄の料理は味が何一つしなかった。確かに料理のいい匂いはするし、料理中調味料も使っていたのを俺も見ていたはずなのにまるで相殺してしまいましたとばかりに味がない。いやいや、いくら初心者でもまずいなり、普通なり、美味しいなり、味はあるものだろう!え、何でいい匂いはするのに味は全くの無味なの?残念すぎるよ!
ついでに俺たちを見ていた兄も俺たちの反応を気にしてか自分の料理を口にし固まっていた。恐らく今まで兄がやることなすこと結果的に失敗ひとつなかっただけに、料理の味がないというのは兄にとって初めての失敗だったのかもしれない。
嫌味かよと思うかもしれないが事実なのだから仕方ない。ってか初めての失敗が料理に味がついてないとは思わなかった。些細なことかもしれない。それでも兄でも失敗することあるんだなと思えば少しばかり安堵する自分がいた。
196
お気に入りに追加
5,298
あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…


推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない
てんつぶ
BL
連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。
その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。
弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。
むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。
だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。
人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――

弟勇者と保護した魔王に狙われているので家出します。
あじ/Jio
BL
父親に殴られた時、俺は前世を思い出した。
だが、前世を思い出したところで、俺が腹違いの弟を嫌うことに変わりはない。
よくある漫画や小説のように、断罪されるのを回避するために、弟と仲良くする気は毛頭なかった。
弟は600年の眠りから醒めた魔王を退治する英雄だ。
そして俺は、そんな弟に嫉妬して何かと邪魔をしようとするモブ悪役。
どうせ互いに相容れない存在だと、大嫌いな弟から離れて辺境の地で過ごしていた幼少期。
俺は眠りから醒めたばかりの魔王を見つけた。
そして時が過ぎた今、なぜか弟と魔王に執着されてケツ穴を狙われている。
◎1話完結型になります

言い逃げしたら5年後捕まった件について。
なるせ
BL
「ずっと、好きだよ。」
…長年ずっと一緒にいた幼馴染に告白をした。
もちろん、アイツがオレをそういう目で見てないのは百も承知だし、返事なんて求めてない。
ただ、これからはもう一緒にいないから…想いを伝えるぐらい、許してくれ。
そう思って告白したのが高校三年生の最後の登校日。……あれから5年経ったんだけど…
なんでアイツに馬乗りにされてるわけ!?
ーーーーー
美形×平凡っていいですよね、、、、

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる