兄を悪役にさせないために全力を出した結果～ヤンデレブラコン化は悪役よりマシですか？～

本編(完結)

勝負以外の時間

さて毎日毎日全力で剣の素振り回数を競ったり、何周走れるか、百マス計算どちらが早くできるか、チェスで勝負したり色々した。そう、色々して全て負けた。

2年の差は恐ろしい……と言いたいところだが、多分2年差関係ない。体動かすものはともかく。だって兄は尋常じゃない。恐らく兄より先に生まれていたとしても勝てた気がしない。

だって兄の涼しげな顔が全く崩れないんだもんよ。指導者の人もさすが殿下と驚きと尊敬がひしひしと伝わってきたし。とはいえ決して悔しくないわけではないから兄と時間とれないときは鍛えたり、勉強をかかさずやっている。

まあ無駄にはならんだろうし、前世の記憶は断片的で小学校から勉強してきたことはすっぽり抜けている感じで役に立たない。ゲームの世界に転生したからとチートになれるわけではなかったようだ。

明らかにチートは兄のレウルである。あ、でもチートなら悪役だろうとバレないようにできもしたかな？まあ、何にしろ能力的にチートっぽさはあるってわけだ。

だからと言って決して諦める気もないのだけど、毎日全力はさすがに疲れる。だって俺今まだ5歳だから限界も普通なら短いわけですよ。

正直前世思い出すまでの間のクウリの頑張りのおかげで普通の5歳より断然体力もあるし、学力も身に付いている自信はある。ゲーム説明にあった努力家と書くのも頷けるほどの凄さだ。

前世の5歳の記憶なんて朧気だけど妹ばっかに構って大して動き回ってない自信あるし、俺。努力どころか遊んでばっか。いや、まあそれが前世の世界では普通なだけだったんだけど。

とはいえ、そんなクウリの努力を無駄にしないよう頑張ってるわけだが勝負で惜しいのひとつもないのは今後が心配だ。恐らく兄に何かで勝って初めて兄に認められる気がするから。

でなければ兄に失望されて兄レウルの未来は……。さらにそれだと必然的にゲーム通り俺がこの国の王になるわけで……いやいやいや、絶対無理！前世庶民ですから！ただのシスコンの平凡くんですから！

何かこの際卑怯な方法でもいいから兄に勝てないものかと頭で考えていないわけではないが考えに考えて、今はあの前世を思い出したのが春として既に夏が差し掛かっている。つまり負け勝負に全力出して疲れた日々しか送ってない俺バカだ。

「うーん、いっそのこと兄さんがやったことないものが……」

と口に出して見るものの一回教わればできてしまう天才チートというのを踏まえる必要があるわけである。つまりその一回で勝てなければ勝ち目は遠退くばかり。完璧な兄を持つと弟は苦労するよ、本当。

とりあえず王子だとやる必要のないものが思い付いた俺である。長い間考えて結局これかぁ……勝てるかなぁと既に自信がない俺。

なんならそれは前世でもろくにできなかったからこそである。正しくは半分できて半分できてないミラクルが起こってしまうわけで考えた勝負を確実にするために、生まれ変わったわけだし前世とは料理の腕が変わるかもとその希望だけで今していた勉強を中断して向かった場所は……調理室だった。