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本編(完結)

悪役レウル3

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さて、回想やら考察はともかく誰か教えてくれ。今の時点で何故兄をクウリが寂しがり屋だと思ったかの説明する言葉を。

「勘です」

俺にはこれしか思い付かなかった。

「勘?」

「勘です」

「勘……」

兄が呆然とした様子で同じ言葉を繰り返す。さすがに無理があっただろうか?困った時は勘じゃないのか?妹もよく言っていた。理由のない場合は女の勘で通るものだと。

やはり、俺は男だから厳しいのだろうか?よし、それなら今後を考えて強引に行こう!

「兄さん!」

「え?あれ、そういえばクウリはなんで」

「待って、まずは聞いて」

「あ、うん」

「俺は今から寂しがり屋な兄さんを構い倒します」

「構い倒す?」

「優秀な兄さんと並ぼうとするのがまず間違いだったと俺は気づいたんです!」

「間違い……?」

今は対抗心など微塵もないのでその意も表したとたんだった兄の周囲の温度が下がった気がしたのは。先程まで優しげな瞳だった兄は7歳だというのにまるでゲームの悪役だった時の冷たい瞳で俺を見ている。

なんと言うべきか、背筋が凍りそうだった。よくわからないが、確実に何か地雷を踏んだ気がしてならない。え?何がいけなかったわけ?

「あの、兄さん?」

「クウリも………私に媚びるつもりかい?」

「は?」

一瞬意味がわからなかった。兄は何を言っているのかと。

「あの大人たちや親の言いなりの子供らと同じようになるつもりかと聞いているんだよ」

いや、あんたも子供じゃんとは言える雰囲気ではない。とりあえず冷えた空気で頭を冷やしながら兄の言っている意味を考える。媚びるつもりなどないが、兄は恐らく俺に何かを求めている。その求めているものこそ満たせば恐らく兄が犯罪に手を染めることはなくなるはず。

ゲームのレウルは唯一と言いながらそれを希望とも言っていた。つまりはもし唯一がクウリとして希望をと言う時点でまだレウルの望みには達していなかったことになる。実際さっきまで優しかったのがガラリと変わる辺り、兄は俺に何かを期待していてそれを崩すようなことを俺が言ったのだろう。

まさかとは思うが、いや、考えたくもなかっただけだが対抗心こそが兄の希望?実際今もゲームでも兄はそれに付き合っているわけなのだから。

そうだ、ゲームのレウルは言っていた。優秀さと身分は人を孤独にすると。なら同じ王族であり同じくらい優秀になるかもしれない人物がいるならばレウルが期待してもおかしくはない。

え、やっぱ兄と同じくらい優秀にならないともしかしなくても兄の犯罪は止められない感じですか?難易度高すぎません?チョロヒーロークウリが希望って……えぇぇ……?
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