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1章~平民と公爵様の契約~
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「これは猛毒とまでは言わぬが飲み続けることで体を蝕む。とはいえ薬は薬。たまに飲む程度なら効果として痛み止めや気分の好調として使える優れた薬じゃ。だが、飲み続けるような薬ではない。医者なら知っていて当たり前なほどに気を遣う薬。とんだやぶ医者でなければこんな処方はせん」
「そんな……俺は妻を苦しめるために生活を苦しめてまで高い薬代を……っ」
お父さんが頑張ってきたのを知っているだけに私も心苦しいし、薬を飲ませていたのは私だから騙されていたことが悔しくて仕方ない。
「最近庶民に無料で診察し、適当な病状を言って不安を煽り高い薬を売る医者がいると聞いていてな、もしやとは思ったが……お嬢さんらも被害者じゃな」
「そんな……っお母さんごめんね」
今なお苦しそうに咳と呼吸をするお母さんの後ろ姿に涙が出て止まらない。私もお父さんも信じきっていたから。
「先生!お願いします!すぐには無理ですが必ず言われた金額を払いますから妻を、妻を治してください!」
「わ、私も、私も頑張るから、お母さんを治してくださいっ!」
お父さんが土下座をして頼むのを見て、私もお願いしなきゃとお父さんと同じように土下座をして頼む。これでもっと生活が苦しくなってもお母さんが救われるなら私は毎日ご飯が食べれなくなったって構わない。
「あ、頭をあげてください……!わしは最初から治す気じゃ」
「「ありがとうございます……っ!」」
涙ながらにお礼を言う私たちにお医者さんが困ったように頬を掻く。困らせる気はなかったが、お母さんの命がかかわっているのだから必死になるのも仕方ないと思ってもらいたい。
「それとお金に関してはいりませんぞ」
「さすがにそれは……」
全く払わないは払わないでお父さんも良心が咎めるのだろう。それとも後で何か言われたらと考えているのかもしれない。
「もうもらっていますからのぅ。元々奥方の病を治すよう公爵様に言われて来ましたから。治るかどうかは診ないとわかりませんでしたがあまりに必死に頼まれたので」
「公爵様……?」
「おや、先程ご当主様に説得された時聞いておりませんでしたか?」
お父さんがぎぎぎと固まったものを無理矢理動かすかのように首をかしげる様子を見てお医者さんがあれ?とばかりに言う。
『ええ、私にお嬢様をいただけないかと思いまして。とはいえただでいただくなど無論私としても許せない。大金を積むことも考えましたがお嬢様を育ててきたご両親ですからお嬢様が寂しがって公爵家を出ていかれたら私はとてもじゃありませんが申し訳なさで死んでしまいそうです。だからお嬢様の側仕えとして雇おうかと。もちろんお嬢様の母君も。体が弱いと聞いていますので治療はお任せください。ベッドで寝ているだけでもお嬢様の話し相手になるだけでお給料は払いましょう』
『ただお嬢様を公爵家の養子にさせていただければ生涯お金に困ることもないんですよ?それに何もお嬢様と引き離すつもりもないのはお話でわかるでしょう』
うん、確かに言ってた。急な貴族の訪問に色々頭いっぱいでお父さんはそこまでちゃんと聞いてなかったのかもしれない。
「そんな……俺は妻を苦しめるために生活を苦しめてまで高い薬代を……っ」
お父さんが頑張ってきたのを知っているだけに私も心苦しいし、薬を飲ませていたのは私だから騙されていたことが悔しくて仕方ない。
「最近庶民に無料で診察し、適当な病状を言って不安を煽り高い薬を売る医者がいると聞いていてな、もしやとは思ったが……お嬢さんらも被害者じゃな」
「そんな……っお母さんごめんね」
今なお苦しそうに咳と呼吸をするお母さんの後ろ姿に涙が出て止まらない。私もお父さんも信じきっていたから。
「先生!お願いします!すぐには無理ですが必ず言われた金額を払いますから妻を、妻を治してください!」
「わ、私も、私も頑張るから、お母さんを治してくださいっ!」
お父さんが土下座をして頼むのを見て、私もお願いしなきゃとお父さんと同じように土下座をして頼む。これでもっと生活が苦しくなってもお母さんが救われるなら私は毎日ご飯が食べれなくなったって構わない。
「あ、頭をあげてください……!わしは最初から治す気じゃ」
「「ありがとうございます……っ!」」
涙ながらにお礼を言う私たちにお医者さんが困ったように頬を掻く。困らせる気はなかったが、お母さんの命がかかわっているのだから必死になるのも仕方ないと思ってもらいたい。
「それとお金に関してはいりませんぞ」
「さすがにそれは……」
全く払わないは払わないでお父さんも良心が咎めるのだろう。それとも後で何か言われたらと考えているのかもしれない。
「もうもらっていますからのぅ。元々奥方の病を治すよう公爵様に言われて来ましたから。治るかどうかは診ないとわかりませんでしたがあまりに必死に頼まれたので」
「公爵様……?」
「おや、先程ご当主様に説得された時聞いておりませんでしたか?」
お父さんがぎぎぎと固まったものを無理矢理動かすかのように首をかしげる様子を見てお医者さんがあれ?とばかりに言う。
『ええ、私にお嬢様をいただけないかと思いまして。とはいえただでいただくなど無論私としても許せない。大金を積むことも考えましたがお嬢様を育ててきたご両親ですからお嬢様が寂しがって公爵家を出ていかれたら私はとてもじゃありませんが申し訳なさで死んでしまいそうです。だからお嬢様の側仕えとして雇おうかと。もちろんお嬢様の母君も。体が弱いと聞いていますので治療はお任せください。ベッドで寝ているだけでもお嬢様の話し相手になるだけでお給料は払いましょう』
『ただお嬢様を公爵家の養子にさせていただければ生涯お金に困ることもないんですよ?それに何もお嬢様と引き離すつもりもないのはお話でわかるでしょう』
うん、確かに言ってた。急な貴族の訪問に色々頭いっぱいでお父さんはそこまでちゃんと聞いてなかったのかもしれない。
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