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「……ああ、構わない」
少し間はあったものの、思ったよりもあっさりと許可はもらえた。
「あの、本当に……いいの?」
でも、その間が気になってつい再確認なんて愚かな真似をしてしまう。せっかく許可をもらいながら僕は何を躊躇っているのか………。でも、兄がどこか不安そうな声をするものだから……仕方ない、よね?
「俺の命令をどう思われるかと考えただけだ。とはいえ、どう思われても離さなければいいだけだからな」
「兄上……」
その言葉に胸がきゅっと苦しくなる。多分どんな命令でも兄上から離れようなんて思わない自信があるけど、なんかもう胸が一杯でこれ以上言葉がでないよ。
『イチャイチャは終わりましたかにゃ?』
なんて思ってたら真顔のニャハートがそう問いかけてきた。凄くじーっとこちらを見ながら。ニャハートのこんな顔は初めてである。
「変な顔でこっちを見るな」
『最近失恋したニャハに酷いですにゃ!酷いですにゃ!』
神様の眷属にも恋愛とか……あるんだ?あ、でも、うさぎとライオンの神様も夫婦だったし……。
「ってそうじゃなくて任務って?」
『ああ、その話でしたにゃんね。任務はとある王女様を殺さず危険に追いやるというものですにゃ』
殺さないのに危険に追いやる……?
「どういうこと……?」
『人間的に言うと生き地獄を見せてやれというやつですにゃん』
「生き……地獄……。その王女様は何か悪いことを……?」
「そうだな……今がどうかは知らないが………あの時は俺が愚かだったとはいえ、殺すだけじゃ許せない対象ではある」
「?」
兄の言うことが今一つわからないのは僕がおかしいのだろうか?でもとりあえず兄にとって許せない人であることはわかった。ここまで顔を歪めてしまうくらいだなんて一体その王女様は何をしでかしたのか。
『まあ世間では行方不明扱いにゃわけですけど、シャドウ様がその任務を遂行中に……』
「待って!行方不明の王女様って………まさか………エネミー姫……?」
『そうですにゃん』
現時点で兄とエネミー姫に接点はないとずっと思っていた。けど、僕が植物状態の間に何か出会うきっかけでもあったんだろうか?
でなければ兄がエネミー姫をそこまで許せない存在になる理由がわからない。だって今はなき一度目の人生とはいえ、あの人は兄の大事な人だったはずなのに。
あの人をきっかけに僕を殺したほどに……。そもそも行方不明とさせていたのが兄だったなら、未来が変わったと単純に考えていいものかわからなくなる。
だってあまりにも僕に都合がいいようなそんな気がするから。
ここは本当に同じ世界で二度目の世界なのだろうか?
この世界が現実じゃないなんて信じたくないけど疑ってしまう。そもそも兄が僕に優しい時点でおかしいのはわかっていたのに。
ーお知らせー
最近体調が優れず更新が滞っており申し訳ございません。少しでもいいときに更新はしていくつもりですのでよろしくお願いいたします。
少し間はあったものの、思ったよりもあっさりと許可はもらえた。
「あの、本当に……いいの?」
でも、その間が気になってつい再確認なんて愚かな真似をしてしまう。せっかく許可をもらいながら僕は何を躊躇っているのか………。でも、兄がどこか不安そうな声をするものだから……仕方ない、よね?
「俺の命令をどう思われるかと考えただけだ。とはいえ、どう思われても離さなければいいだけだからな」
「兄上……」
その言葉に胸がきゅっと苦しくなる。多分どんな命令でも兄上から離れようなんて思わない自信があるけど、なんかもう胸が一杯でこれ以上言葉がでないよ。
『イチャイチャは終わりましたかにゃ?』
なんて思ってたら真顔のニャハートがそう問いかけてきた。凄くじーっとこちらを見ながら。ニャハートのこんな顔は初めてである。
「変な顔でこっちを見るな」
『最近失恋したニャハに酷いですにゃ!酷いですにゃ!』
神様の眷属にも恋愛とか……あるんだ?あ、でも、うさぎとライオンの神様も夫婦だったし……。
「ってそうじゃなくて任務って?」
『ああ、その話でしたにゃんね。任務はとある王女様を殺さず危険に追いやるというものですにゃ』
殺さないのに危険に追いやる……?
「どういうこと……?」
『人間的に言うと生き地獄を見せてやれというやつですにゃん』
「生き……地獄……。その王女様は何か悪いことを……?」
「そうだな……今がどうかは知らないが………あの時は俺が愚かだったとはいえ、殺すだけじゃ許せない対象ではある」
「?」
兄の言うことが今一つわからないのは僕がおかしいのだろうか?でもとりあえず兄にとって許せない人であることはわかった。ここまで顔を歪めてしまうくらいだなんて一体その王女様は何をしでかしたのか。
『まあ世間では行方不明扱いにゃわけですけど、シャドウ様がその任務を遂行中に……』
「待って!行方不明の王女様って………まさか………エネミー姫……?」
『そうですにゃん』
現時点で兄とエネミー姫に接点はないとずっと思っていた。けど、僕が植物状態の間に何か出会うきっかけでもあったんだろうか?
でなければ兄がエネミー姫をそこまで許せない存在になる理由がわからない。だって今はなき一度目の人生とはいえ、あの人は兄の大事な人だったはずなのに。
あの人をきっかけに僕を殺したほどに……。そもそも行方不明とさせていたのが兄だったなら、未来が変わったと単純に考えていいものかわからなくなる。
だってあまりにも僕に都合がいいようなそんな気がするから。
ここは本当に同じ世界で二度目の世界なのだろうか?
この世界が現実じゃないなんて信じたくないけど疑ってしまう。そもそも兄が僕に優しい時点でおかしいのはわかっていたのに。
ーお知らせー
最近体調が優れず更新が滞っており申し訳ございません。少しでもいいときに更新はしていくつもりですのでよろしくお願いいたします。
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