8 / 32
8
しおりを挟む
「ようやく…………」
ベッドから出られようになり、少しなら歩く体力も戻った。長く感じたけれど、きっと普通より短い期間で回復できたと言えるだろう。サポートをつけてくれたライジタに感謝せねば。
神様だから様をつけるべきかな。今更………だろうか。あのライオンはあまり気にしないような気がする。
『まだ完全じゃにゃいけどどうしますにゃん?』
「ここの高さでも身体は強くないし、死ねるかな」
ずっと狙っていたこの機会。シャドウが油断している今が死ぬチャンスだろう。まだ動けたばかりで部屋から出ないだろうと思われる今こそ。
『し、死んじゃいますにゃん!?せっかく動けるまで回復したのに……』
「神様たちの目的は世界が滅ばない未来でしょ?なら、それさえなければ僕はいつ死んでもいいはずだよ。ちなみにニャハートが楽に殺してくれたら楽なんだけど」
『そんにゃこと無理ですにゃん!殺生は許された神様にしかできない決まりですにゃん!ライジタ様でさえ許されないことをニャハもできはしませんにゃ』
「殺生が許される神様とかいるのか……」
『代表的な神様としては、死神のカピバラ様は死を司る神様だからできますにゃん』
「カピバラ………カピバラかあ」
随分可愛い死神様だなあと思ってしまった。どう殺されるのか少し興味すら沸いたけど………まあ、会えないなら気にしても仕方ないか。
『それにしても本当に死ぬ気ですにゃん?』
もう最後ならとは思ったけど回復を早めてくれたお礼くらいは最後に言いたかったし、つい死ぬ気でいることを明かしてしまったけど、明かすのが早すぎたかな。
どうにもニャハートから死ぬのを止めようとする気配が伺えるから。
「ずっと決めてたから。ニャハートには無駄なことさせて申し訳ないけど、感謝してるよ」
『うーん、うーん、死ぬのはおすすめできませんにゃ』
「死ぬのをおすすめされても困るけどね」
『そういうことじゃにゃくて……うにゃあああ!どうすればしにゃにゃいにゃ!?』
とりあえず凄い死なれたら困るとばかりの慌てようである。慌てようがちょっと可愛くて揺らぎそうにはなるかな、うん。
もう少し見ていたい気もするくらいには。
「でもまあ、部屋からは出られないよね」
『そ、そうですにゃ!見張りや護衛もいますにゃ!それに刃物くらいならニャハも消すことできますから自殺は無理ですにゃん!』
人は消せないけど、無機物なら構わないのか。死に方の幅が減っちゃったなら仕方ない。一か八かだ。
ゆっくりとゆっくりと窓へ近づく。ニャハートは何をしようとしてるかわかった様子だけど怯えるようにしながらもこちらに近づいては来ない。
「二階からでも頭から落ちれば死ぬ可能性はあるよね」
『ま、窓は消さにゃいですにゃん!』
それでも僕を止めようと必死な様子が変わることはない。
「ふふ、それくらい自分で開けられるよ」
『だ、だめですにゃん!ニャハは死にたい人を言葉でしか止められにゃいんですにゃ……っ刃物は消せても壁はつくれにゃいんですにゃ………っお願いだから生きたいと少しでも願ってくれにゃ………っ!それがフィーネ様の意思じゃにゃいにゃらニャハはこの手で止められるから………!』
ニャハートが近づいて来ない理由は神様の世界でのルールか何かがあるのだろうことが聞いていてわかる。
神様も、その眷属も、自分の意思でできないことがあるんだなと思うと、人間が望みを叶えられる人ばかりじゃないのも頷ける。
そりゃ、神頼みしても叶えられるはずもない。こんなことに巻き込まれるまで神様という存在をそこまで信じていなかった僕が神様に世界を救うお願いをされるんだから、何が起こるか本当にわからない世の中だ。
「ニャハート、ごめんね。目の前で死んじゃって」
『いやにゃああああああああ!』
開いた窓に座り、後ろから落ちていく。頭が地面についた瞬間の痛みを感じずに死ねたらなと思っていたのに、僕が地面につくことはなかった。
「ぐ………っ」
「………っ」
その理由は単純に二階から落ちた僕を、誰かが腕で抱き止めたからだった。落ちた衝撃故に噛み殺したような声を軽くあげながら。
ベッドから出られようになり、少しなら歩く体力も戻った。長く感じたけれど、きっと普通より短い期間で回復できたと言えるだろう。サポートをつけてくれたライジタに感謝せねば。
神様だから様をつけるべきかな。今更………だろうか。あのライオンはあまり気にしないような気がする。
『まだ完全じゃにゃいけどどうしますにゃん?』
「ここの高さでも身体は強くないし、死ねるかな」
ずっと狙っていたこの機会。シャドウが油断している今が死ぬチャンスだろう。まだ動けたばかりで部屋から出ないだろうと思われる今こそ。
『し、死んじゃいますにゃん!?せっかく動けるまで回復したのに……』
「神様たちの目的は世界が滅ばない未来でしょ?なら、それさえなければ僕はいつ死んでもいいはずだよ。ちなみにニャハートが楽に殺してくれたら楽なんだけど」
『そんにゃこと無理ですにゃん!殺生は許された神様にしかできない決まりですにゃん!ライジタ様でさえ許されないことをニャハもできはしませんにゃ』
「殺生が許される神様とかいるのか……」
『代表的な神様としては、死神のカピバラ様は死を司る神様だからできますにゃん』
「カピバラ………カピバラかあ」
随分可愛い死神様だなあと思ってしまった。どう殺されるのか少し興味すら沸いたけど………まあ、会えないなら気にしても仕方ないか。
『それにしても本当に死ぬ気ですにゃん?』
もう最後ならとは思ったけど回復を早めてくれたお礼くらいは最後に言いたかったし、つい死ぬ気でいることを明かしてしまったけど、明かすのが早すぎたかな。
どうにもニャハートから死ぬのを止めようとする気配が伺えるから。
「ずっと決めてたから。ニャハートには無駄なことさせて申し訳ないけど、感謝してるよ」
『うーん、うーん、死ぬのはおすすめできませんにゃ』
「死ぬのをおすすめされても困るけどね」
『そういうことじゃにゃくて……うにゃあああ!どうすればしにゃにゃいにゃ!?』
とりあえず凄い死なれたら困るとばかりの慌てようである。慌てようがちょっと可愛くて揺らぎそうにはなるかな、うん。
もう少し見ていたい気もするくらいには。
「でもまあ、部屋からは出られないよね」
『そ、そうですにゃ!見張りや護衛もいますにゃ!それに刃物くらいならニャハも消すことできますから自殺は無理ですにゃん!』
人は消せないけど、無機物なら構わないのか。死に方の幅が減っちゃったなら仕方ない。一か八かだ。
ゆっくりとゆっくりと窓へ近づく。ニャハートは何をしようとしてるかわかった様子だけど怯えるようにしながらもこちらに近づいては来ない。
「二階からでも頭から落ちれば死ぬ可能性はあるよね」
『ま、窓は消さにゃいですにゃん!』
それでも僕を止めようと必死な様子が変わることはない。
「ふふ、それくらい自分で開けられるよ」
『だ、だめですにゃん!ニャハは死にたい人を言葉でしか止められにゃいんですにゃ……っ刃物は消せても壁はつくれにゃいんですにゃ………っお願いだから生きたいと少しでも願ってくれにゃ………っ!それがフィーネ様の意思じゃにゃいにゃらニャハはこの手で止められるから………!』
ニャハートが近づいて来ない理由は神様の世界でのルールか何かがあるのだろうことが聞いていてわかる。
神様も、その眷属も、自分の意思でできないことがあるんだなと思うと、人間が望みを叶えられる人ばかりじゃないのも頷ける。
そりゃ、神頼みしても叶えられるはずもない。こんなことに巻き込まれるまで神様という存在をそこまで信じていなかった僕が神様に世界を救うお願いをされるんだから、何が起こるか本当にわからない世の中だ。
「ニャハート、ごめんね。目の前で死んじゃって」
『いやにゃああああああああ!』
開いた窓に座り、後ろから落ちていく。頭が地面についた瞬間の痛みを感じずに死ねたらなと思っていたのに、僕が地面につくことはなかった。
「ぐ………っ」
「………っ」
その理由は単純に二階から落ちた僕を、誰かが腕で抱き止めたからだった。落ちた衝撃故に噛み殺したような声を軽くあげながら。
10
お気に入りに追加
453
あなたにおすすめの小説
愛され末っ子
西条ネア
BL
本サイトでの感想欄は感想のみでお願いします。全ての感想に返答します。
リクエストはTwitter(@NeaSaijou)にて受付中です。また、小説のストーリーに関するアンケートもTwitterにて行います。
(お知らせは本編で行います。)
********
上園琉架(うえぞの るか)四男 理斗の双子の弟 虚弱 前髪は後々左に流し始めます。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い赤みたいなのアースアイ 後々髪の毛を肩口くらいまで伸ばしてゆるく結びます。アレルギー多め。その他の設定は各話で出てきます!
上園理斗(うえぞの りと)三男 琉架の双子の兄 琉架が心配 琉架第一&大好き 前髪は後々右に流します。髪の毛の色はご想像にお任せします。深い緑みたいなアースアイ 髪型はずっと短いままです。 琉架の元気もお母さんのお腹の中で取っちゃった、、、
上園静矢 (うえぞの せいや)長男 普通にサラッとイケメン。なんでもできちゃうマン。でも弟(特に琉架)絡むと残念。弟達溺愛。深い青色の瞳。髪の毛の色はご想像にお任せします。
上園竜葵(うえぞの りゅうき)次男 ツンデレみたいな、考えと行動が一致しないマン。でも弟達大好きで奮闘して玉砕する。弟達傷つけられたら、、、 深い青色の瞳。兄貴(静矢)と一個差 ケンカ強い でも勉強できる。料理は壊滅的
上園理玖斗(うえぞの りくと)父 息子達大好き 藍羅(あいら・妻)も愛してる 家族傷つけるやつ許さんマジ 琉架の身体が弱すぎて心配 深い緑の瞳。普通にイケメン
上園藍羅(うえぞの あいら) 母 子供達、夫大好き 母は強し、の具現化版 美人さん 息子達(特に琉架)傷つけるやつ許さんマジ。
てか普通に上園家の皆さんは顔面偏差値馬鹿高いです。
(特に琉架)の部分は家族の中で順列ができているわけではなく、特に琉架になる場面が多いという意味です。
琉架の従者
遼(はる)琉架の10歳上
理斗の従者
蘭(らん)理斗の10歳上
その他の従者は後々出します。
虚弱体質な末っ子・琉架が家族からの寵愛、溺愛を受ける物語です。
前半、BL要素少なめです。
この作品は作者の前作と違い毎日更新(予定)です。
できないな、と悟ったらこの文は消します。
※琉架はある一定の時期から体の成長(精神も若干)がなくなる設定です。詳しくはその時に補足します。
皆様にとって最高の作品になりますように。
※作者の近況状況欄は要チェックです!
西条ネア
頭の上に現れた数字が平凡な俺で抜いた数って冗談ですよね?
いぶぷろふぇ
BL
ある日突然頭の上に謎の数字が見えるようになったごくごく普通の高校生、佐藤栄司。何やら規則性があるらしい数字だが、その意味は分からないまま。
ところが、数字が頭上にある事にも慣れたある日、クラス替えによって隣の席になった学年一のイケメン白田慶は数字に何やら心当たりがあるようで……?
頭上の数字を発端に、普通のはずの高校生がヤンデレ達の愛に巻き込まれていく!?
「白田君!? っていうか、和真も!? 慎吾まで!? ちょ、やめて! そんな目で見つめてこないで!」
美形ヤンデレ攻め×平凡受け
※この作品は以前ぷらいべったーに載せた作品を改題・改稿したものです
※物語は高校生から始まりますが、主人公が成人する後半まで性描写はありません
兄に嫌われてる弟ですが誤解が解けたら十数年分溺愛されました(完)
みかん畑
BL
王位継承権の関係で嫌われていた弟が兄を庇って女体化の呪いにかかった後のお話です。
ハッピーエンド保証。ジャンルは分かりません。甘々の溺愛系です。
微エロあり、ご注意を。
9/12 恋愛⇒BLに移しておきます。TSモノのBLなので苦手な方は回避お願いします。
9/18 本編完結済みですがたまにチマチマ更新します。
変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話
ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。
βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。
そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。
イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。
3部構成のうち、1部まで公開予定です。
イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。
最新はTwitterに掲載しています。
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる