1 / 3
1
しおりを挟む
突然だが、相思相愛って聞くだけで羨ましく思う人もいるだろう。俺も最初はそう思っていた。しかし、相思相愛は行きすぎると大変な思いをするのは近くに居る人間だと知ったのはいつからだったろうか。
まずは話を聞いてほしい。
この国の王太子であるソウシ・ソーウ殿下と、その婚約者である公爵令嬢アイ・ハート様の婚約破棄寸前の喧嘩中という現状になった経緯を。
あ、ちなみに俺はクロウ・ニィンで殿下の側近……って俺の自己紹介はどうでもいいか。
とりあえず話を戻すが、それは今から1時間前の出来事。
喧嘩は突然始まった。俺と殿下とアイ様の三人しかいない殿下の執務室で。
「殿下!ひどいですわ!浮気なんて!」
「浮気!?私には君しかいないと言うのに浮気なんてするわけがないだろう!」
執務室で殿下が書類整理をしている時に突然現れたのはアイ様。アイ様も殿下の婚約者として王妃教育で王宮に来ており、王妃教育を終えたあとは必ず俺を空気にしながら殿下といちゃついていくのが当たり前とも言える日常。
殿下の仕事が終わってなければリア充爆発しろという言葉を抑え込み、注意と称した邪魔をするのに、アイ様がくる頃には終えてある辺り優秀すぎて気にくわない。
殿下は尊敬できるお方だが、婚約者どころか恋人のいない俺には目の毒だ。ついでにリア充爆発しろという言葉は誰が言い出したのかはわからないが、いつの間にか貴族社会に浸透していた。最初はよくわからなかったが、考えたやつは天才だと思う。
さて、つい妬みが表に出てしまったがそんなわけで二人は周りを空気にしてしまうほど相思相愛なことは理解していただけただろうか?いちゃつき具合を教えてほしいと言ったやつ。砂を吐きたいのか?そういう性癖か?違うなら口を閉じるんだ。
とはいえ、たまにこの二人は互いを想いすぎ合うためか、くだらない喧嘩をする。そうくだらない喧嘩を。しかも何故か毎回俺を巻き込んで。
しかし今回は浮気と来たかあと俺はあまりのありえないアイ様の怒りにしばらく思考が停止しかけた。あれだけ暇あれば惚気る殿下が浮気など国が滅ぼうとありえないだろう。寧ろあれだけ惚気て俺の精神すり減らしたくせに、浮気したってならアイ様の代わりに俺が不敬罪覚悟で殿下を殴れる。
「目撃者もいますのよ!?私だって見ましたもの!すぐ何もなかったと話してくれるのを待っていたのに………」
そんな思考に陥っていればさらに続くアイ様の言葉。アイ様が人づてに聞いたことをすんなり信じるような人ではないはずだとは思っていたけど、アイ様も見た浮気現場にはて?と考えた。アイ様以上に殿下と共に居るのは俺だったから。
この数日殿下が関わった女性はアイ様を除いて王妃様とお茶だしで現れたベテラン62歳のおばちゃんメイドくらい。勘違いされるような場面は思い浮かびもしなかった。
「君を不安にしたことは謝る。だが、心当たりが………」
「シラを切りますのね!あのメス猫と戯れていたではありませんか!」
「メス猫………?あ!あれは違うんだ!」
さて、殿下はメス猫で思い当たったようだ。ついでに言うとメス猫と聞いて俺も思い当たるところがあった。
しかし、あれが浮気に当てはめるのはさすがに無理があるんじゃ?と思えるもの。とはいえアイ様は真剣に悩んでいた様子で…………相思相愛は行きすぎると大変だなあと思う他なかった。
しかも殿下の態度もまるで浮気がバレた夫みたいな態度だから……二人の喧嘩は止まらない、止められない。
いや、メス猫って比喩でもなんでもなく本当の白い毛のメスの猫だぞ?
何故本当の浮気による喧嘩を目の前で繰り広げてるんだ?お二方は。
つまりこれがたまにあるくだらない喧嘩である。毎回思うんだけどお二方優秀だからすることが多すぎて疲れた結果がこれなんだろうなと思っていたり。
でもさ、毎回俺を巻き込むの何なんだ?
まずは話を聞いてほしい。
この国の王太子であるソウシ・ソーウ殿下と、その婚約者である公爵令嬢アイ・ハート様の婚約破棄寸前の喧嘩中という現状になった経緯を。
あ、ちなみに俺はクロウ・ニィンで殿下の側近……って俺の自己紹介はどうでもいいか。
とりあえず話を戻すが、それは今から1時間前の出来事。
喧嘩は突然始まった。俺と殿下とアイ様の三人しかいない殿下の執務室で。
「殿下!ひどいですわ!浮気なんて!」
「浮気!?私には君しかいないと言うのに浮気なんてするわけがないだろう!」
執務室で殿下が書類整理をしている時に突然現れたのはアイ様。アイ様も殿下の婚約者として王妃教育で王宮に来ており、王妃教育を終えたあとは必ず俺を空気にしながら殿下といちゃついていくのが当たり前とも言える日常。
殿下の仕事が終わってなければリア充爆発しろという言葉を抑え込み、注意と称した邪魔をするのに、アイ様がくる頃には終えてある辺り優秀すぎて気にくわない。
殿下は尊敬できるお方だが、婚約者どころか恋人のいない俺には目の毒だ。ついでにリア充爆発しろという言葉は誰が言い出したのかはわからないが、いつの間にか貴族社会に浸透していた。最初はよくわからなかったが、考えたやつは天才だと思う。
さて、つい妬みが表に出てしまったがそんなわけで二人は周りを空気にしてしまうほど相思相愛なことは理解していただけただろうか?いちゃつき具合を教えてほしいと言ったやつ。砂を吐きたいのか?そういう性癖か?違うなら口を閉じるんだ。
とはいえ、たまにこの二人は互いを想いすぎ合うためか、くだらない喧嘩をする。そうくだらない喧嘩を。しかも何故か毎回俺を巻き込んで。
しかし今回は浮気と来たかあと俺はあまりのありえないアイ様の怒りにしばらく思考が停止しかけた。あれだけ暇あれば惚気る殿下が浮気など国が滅ぼうとありえないだろう。寧ろあれだけ惚気て俺の精神すり減らしたくせに、浮気したってならアイ様の代わりに俺が不敬罪覚悟で殿下を殴れる。
「目撃者もいますのよ!?私だって見ましたもの!すぐ何もなかったと話してくれるのを待っていたのに………」
そんな思考に陥っていればさらに続くアイ様の言葉。アイ様が人づてに聞いたことをすんなり信じるような人ではないはずだとは思っていたけど、アイ様も見た浮気現場にはて?と考えた。アイ様以上に殿下と共に居るのは俺だったから。
この数日殿下が関わった女性はアイ様を除いて王妃様とお茶だしで現れたベテラン62歳のおばちゃんメイドくらい。勘違いされるような場面は思い浮かびもしなかった。
「君を不安にしたことは謝る。だが、心当たりが………」
「シラを切りますのね!あのメス猫と戯れていたではありませんか!」
「メス猫………?あ!あれは違うんだ!」
さて、殿下はメス猫で思い当たったようだ。ついでに言うとメス猫と聞いて俺も思い当たるところがあった。
しかし、あれが浮気に当てはめるのはさすがに無理があるんじゃ?と思えるもの。とはいえアイ様は真剣に悩んでいた様子で…………相思相愛は行きすぎると大変だなあと思う他なかった。
しかも殿下の態度もまるで浮気がバレた夫みたいな態度だから……二人の喧嘩は止まらない、止められない。
いや、メス猫って比喩でもなんでもなく本当の白い毛のメスの猫だぞ?
何故本当の浮気による喧嘩を目の前で繰り広げてるんだ?お二方は。
つまりこれがたまにあるくだらない喧嘩である。毎回思うんだけどお二方優秀だからすることが多すぎて疲れた結果がこれなんだろうなと思っていたり。
でもさ、毎回俺を巻き込むの何なんだ?
11
お気に入りに追加
152
あなたにおすすめの小説

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

誤解なんですが。~とある婚約破棄の場で~
舘野寧依
恋愛
「王太子デニス・ハイランダーは、罪人メリッサ・モスカートとの婚約を破棄し、新たにキャロルと婚約する!」
わたくしはメリッサ、ここマーベリン王国の未来の王妃と目されている者です。
ところが、この国の貴族どころか、各国のお偉方が招待された立太式にて、馬鹿四人と見たこともない少女がとんでもないことをやらかしてくれました。
驚きすぎて声も出ないか? はい、本当にびっくりしました。あなた達が馬鹿すぎて。
※話自体は三人称で進みます。

【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。

【完結】身分に見合う振る舞いをしていただけですが…ではもう止めますからどうか平穏に暮らさせて下さい。
まりぃべる
恋愛
私は公爵令嬢。
この国の高位貴族であるのだから身分に相応しい振る舞いをしないとね。
ちゃんと立場を理解できていない人には、私が教えて差し上げませんと。
え?口うるさい?婚約破棄!?
そうですか…では私は修道院に行って皆様から離れますからどうぞお幸せに。
☆
あくまでもまりぃべるの世界観です。王道のお話がお好みの方は、合わないかと思われますので、そこのところ理解いただき読んでいただけると幸いです。
☆★
全21話です。
出来上がってますので随時更新していきます。
途中、区切れず長い話もあってすみません。
読んで下さるとうれしいです。

聖女との婚約はお断りです!僕には心に決めた婚約者がいるので。
仲室日月奈
恋愛
「――フィリス・ベルラック公爵令嬢、君との婚約を……」
「はい」
「婚約破棄など、したくない!」
「…………え?」
女神の啓示で聖女が見つかったことにより、父である国王から、公爵令嬢と婚約破棄して聖女を娶るように命じられた第一王子ユリシーズ。
確かに婚約者のフィリスは、引っ込み思案で社交界でも影が薄い令嬢ではあるが、ユリシーズのお姫様なのだ。
幼少時に交わした約束を守りたい王子と、身を引く決意をした婚約者との、すれ違いラブコメ(予定)。
※小説家になろう様に投稿した作品とタイトルは違いますが、内容は同じです。
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
王子の片思いに気付いたので、悪役令嬢になって婚約破棄に協力しようとしてるのに、なぜ執着するんですか?
いりん
恋愛
婚約者の王子が好きだったが、
たまたま付き人と、
「婚約者のことが好きなわけじゃないー
王族なんて恋愛して結婚なんてできないだろう」
と話ながら切なそうに聖女を見つめている王子を見て、王子の片思いに気付いた。
私が悪役令嬢になれば、聖女と王子は結婚できるはず!と婚約破棄を目指してたのに…、
「僕と婚約破棄して、あいつと結婚するつもり?許さないよ」
なんで執着するんてすか??
策略家王子×天然令嬢の両片思いストーリー
基本的に悪い人が出てこないほのぼのした話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる