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「わ、私、ふぁ、ファンなんです!」
「あらあら」
何を叫ぶかと思えば婚約者の不貞相手のご令嬢……つまりは本来のヒロインが私のファンだなんて。これは前世で悪役令嬢が攻略対象になる日も近いわね。
「誤解させるようなことして申し訳ありません!私協力されるように頼まれて………」
「協力?」
「お、おい!」
真ヒロインが婚約者にとって都合の悪いことでも言おうとしたのか、慌てて止めようとしたようだが、ヒロインはそんな婚約者の手を振り切り私に上目遣いで叫んだ。
「ヘタレイ様は自分ばっかり嫉妬したくないからって私に土下座で頼んできたんです!近くでシェリー様が見られるからって私を唆して!」
「うあああああっ」
バレらされたことがかなり恥ずかしかったのか、私の婚約者ことヘタレイは顔をゆで卵ができそうなほどに沸騰させて叫び声をあげた。ちなみにシェリーは私だけれど………唆された辺りの発言はスルーでいいわよね。
「自分ばっかり嫉妬を……なるほど」
「ち、ちが……違わないけど………うう………っ」
本来ゲームなら嫉妬させる側が、ヒロインという立場になったとたんまるで逆になるなんてなんていじめがいが………こほん、失礼。なんていじりがいがあるんでしょう!あら?
「もう毎度鬱陶しいんですよ!僕の婚約者なのにとか、なんで僕だけを見ないんだとか」
「やめろおおお!」
「やめません!酷いときはいっそ抱かれたいとか………」
「あああああああああっ!」
さすが真ヒロインの攻略対象に対する情報収集はお手のものですね。
「すぐには無理ですが、結婚式後初夜からはいくらでも抱いて差し上げますわ」
「ははははしたない!」
「ならばすぐ二人きりになりましょう」
抱きはせずとも可愛がってはあげられますからね。
「い、いや、まだパーティーが、その」
「そんなのする気もない婚約破棄宣言ですでにそれどころじゃないですわ。後日謝罪はいたしましょうね」
「だ、だが!周りが」
「「「「「どうぞどうぞ」」」」」
なんと息のあったどうぞでしょう。皆様の優しさに感動してしまいますわ。
「歓迎されてましてよ?可愛がってあげますわ。皆様お騒がせいたしました。後日謝罪にいきますので」
「「「「「お構いなく」」」」」
本当にお優しいこと。それでも贈り物くらいは後日しなければね。
「いや、え、誰か………」
「ふふ、ヘタレイ……?あんまり抵抗するようなら優しくしてあげられなくなりますわよ?」
「ど、どういうことだよぉおぉぉぉ!」
こうしてちょっとした波乱はあったものの私たちが場を後にしたあと卒業パーティーは無事に済んだらしい。
ヘタレイは可愛がってあげた結果、やりすぎて羞恥やらなんやらで気絶してしまったけれど、私は存分に満足した。
ちなみに結婚後はもちろん、前も後ろも抱き潰して差し上げたわ。何をしたかって?それは夫婦の秘密よ?
END
あとがき
なんだこれ
「あらあら」
何を叫ぶかと思えば婚約者の不貞相手のご令嬢……つまりは本来のヒロインが私のファンだなんて。これは前世で悪役令嬢が攻略対象になる日も近いわね。
「誤解させるようなことして申し訳ありません!私協力されるように頼まれて………」
「協力?」
「お、おい!」
真ヒロインが婚約者にとって都合の悪いことでも言おうとしたのか、慌てて止めようとしたようだが、ヒロインはそんな婚約者の手を振り切り私に上目遣いで叫んだ。
「ヘタレイ様は自分ばっかり嫉妬したくないからって私に土下座で頼んできたんです!近くでシェリー様が見られるからって私を唆して!」
「うあああああっ」
バレらされたことがかなり恥ずかしかったのか、私の婚約者ことヘタレイは顔をゆで卵ができそうなほどに沸騰させて叫び声をあげた。ちなみにシェリーは私だけれど………唆された辺りの発言はスルーでいいわよね。
「自分ばっかり嫉妬を……なるほど」
「ち、ちが……違わないけど………うう………っ」
本来ゲームなら嫉妬させる側が、ヒロインという立場になったとたんまるで逆になるなんてなんていじめがいが………こほん、失礼。なんていじりがいがあるんでしょう!あら?
「もう毎度鬱陶しいんですよ!僕の婚約者なのにとか、なんで僕だけを見ないんだとか」
「やめろおおお!」
「やめません!酷いときはいっそ抱かれたいとか………」
「あああああああああっ!」
さすが真ヒロインの攻略対象に対する情報収集はお手のものですね。
「すぐには無理ですが、結婚式後初夜からはいくらでも抱いて差し上げますわ」
「ははははしたない!」
「ならばすぐ二人きりになりましょう」
抱きはせずとも可愛がってはあげられますからね。
「い、いや、まだパーティーが、その」
「そんなのする気もない婚約破棄宣言ですでにそれどころじゃないですわ。後日謝罪はいたしましょうね」
「だ、だが!周りが」
「「「「「どうぞどうぞ」」」」」
なんと息のあったどうぞでしょう。皆様の優しさに感動してしまいますわ。
「歓迎されてましてよ?可愛がってあげますわ。皆様お騒がせいたしました。後日謝罪にいきますので」
「「「「「お構いなく」」」」」
本当にお優しいこと。それでも贈り物くらいは後日しなければね。
「いや、え、誰か………」
「ふふ、ヘタレイ……?あんまり抵抗するようなら優しくしてあげられなくなりますわよ?」
「ど、どういうことだよぉおぉぉぉ!」
こうしてちょっとした波乱はあったものの私たちが場を後にしたあと卒業パーティーは無事に済んだらしい。
ヘタレイは可愛がってあげた結果、やりすぎて羞恥やらなんやらで気絶してしまったけれど、私は存分に満足した。
ちなみに結婚後はもちろん、前も後ろも抱き潰して差し上げたわ。何をしたかって?それは夫婦の秘密よ?
END
あとがき
なんだこれ
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なんだろう?笑
もー………ダチョウ倶楽部の上島竜兵氏がお亡くなりした話が上がった後に「どうぞどうぞ」を見ちゃったせいで涙が出ちゃったわ(´;Д;`)
でも!それを差し引いてもほんとーにただ一言、なんだコレwってのが一番強く感じるお話ですねꉂꉂ(ˊᗜˋ*)ʬʬ
カッコイイ系お姉様なご令嬢が何を思ったか「悪役道を極めてやりますわ!」と思い至ってその道を邁進する……というかただその方向に突っ走ったダケ?な気もするけど、こうも面白くなるものなんですねー(*゚∀゚*)
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