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1章・気味が悪い奴隷と手放せない私ーヒロイン視点ー
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私は公爵家の一人娘、エレナ・ブルーメン。不自由のない毎日だけど、毎日がつまらない日々。
「まずい!こんな紅茶飲めないわ!」
「も、申し訳ございません!お嬢様!」
私に怯える何人代わったかわからない真新しい使用人たち。そして私に興味を持たない両親。私は毎日むしゃくしゃして怒鳴り散らす。それを咎める人はいない。変わるのは子供の私に怯え謝罪する人たち。
人が毎回代わってそれさえも苛立つようになった私は奴隷を買うことにした。奴隷ならば私から逃げられないからと。
でもどうせなら見目がいい奴隷がいいと選んだ奴隷は私が思っていたのと違った。
「お嬢様、お嬢様が好きなチーズケーキを作ってみました!」
「………」
私がチーズケーキを好きだなんて言った覚えはない。けど確かにそれは好物だったし、私に怯えるどころか私を見てニコニコとする奴隷の男は非常に気味が悪かった。
「こんなのいらないわ!」
そしてむしゃくしゃしている時に言い掛かりをつけて奴隷の頬を叩けば
「お嬢様に触れられて幸せの極みでございます」
何故かうっとりとした表情で感謝され、背筋に寒気がした。奴隷として買った時からあまりにも私への態度が気味が悪い。何より子供の奴隷は教育がなっていないため最初は使えないと聞いていたのに、この奴隷は最初から毎度代わる使用人よりも完璧だった。
料理もお茶も、掃除からどの使用人よりも使え、私を苛立たせることが少ない。そのせいか私は気味が悪くともこの奴隷を手放せないでいた。
例え、この奴隷が何故か私の好物から嫌いなもの、好きな色から私の体重や身長、何から何まで知っていようと。ちなみに私は一言だって教えたことはない。
そして不思議なことにこの奴隷は教養もあった。
「お嬢様、お嬢様は勉強がお嫌いでしょう?私が全部答えをお教えしますからお嬢様は好きな時間をお過ごしください」
最初こそ何を言っているのかと思いつつも後で間違いだったら存分に馬鹿にしてやろう。そう思って出された宿題を提出してみれば全問正解でいつも怯え気味の家庭教師が驚きを見せていた。
奴隷のくせに何故頭がいいのか悔しさよりも疑問が上回る。馬鹿にできなかったのは残念だったが、自由な時間が増えると思えば悪くはなかった。
だから馬鹿な考えが浮かぶ。こんなに奴隷が使えるなら使用人より奴隷を買った方がいいのでは?と。
「奴隷を増やすのもいいわね」
しかし、それを呟いたとたん空気が冷えた。ぞっとするほどに。
「お嬢様、私に何か不満でもおありでしたか?私以外の奴隷など作らないでください。でないと私はその者たちを殺してしまいそうです」
「そ、そう……そうね、やめておくわ。貴方みたいなのがいるなら使用人より使えると思っただけよ」
「なるほど……では、使用人を使えるようにすればいいんですね?」
「え?ええ」
それから一ヶ月後、マッチョな使用人たちが公爵家でテキパキ働いていた。
あ、暑苦しい……。
「まずい!こんな紅茶飲めないわ!」
「も、申し訳ございません!お嬢様!」
私に怯える何人代わったかわからない真新しい使用人たち。そして私に興味を持たない両親。私は毎日むしゃくしゃして怒鳴り散らす。それを咎める人はいない。変わるのは子供の私に怯え謝罪する人たち。
人が毎回代わってそれさえも苛立つようになった私は奴隷を買うことにした。奴隷ならば私から逃げられないからと。
でもどうせなら見目がいい奴隷がいいと選んだ奴隷は私が思っていたのと違った。
「お嬢様、お嬢様が好きなチーズケーキを作ってみました!」
「………」
私がチーズケーキを好きだなんて言った覚えはない。けど確かにそれは好物だったし、私に怯えるどころか私を見てニコニコとする奴隷の男は非常に気味が悪かった。
「こんなのいらないわ!」
そしてむしゃくしゃしている時に言い掛かりをつけて奴隷の頬を叩けば
「お嬢様に触れられて幸せの極みでございます」
何故かうっとりとした表情で感謝され、背筋に寒気がした。奴隷として買った時からあまりにも私への態度が気味が悪い。何より子供の奴隷は教育がなっていないため最初は使えないと聞いていたのに、この奴隷は最初から毎度代わる使用人よりも完璧だった。
料理もお茶も、掃除からどの使用人よりも使え、私を苛立たせることが少ない。そのせいか私は気味が悪くともこの奴隷を手放せないでいた。
例え、この奴隷が何故か私の好物から嫌いなもの、好きな色から私の体重や身長、何から何まで知っていようと。ちなみに私は一言だって教えたことはない。
そして不思議なことにこの奴隷は教養もあった。
「お嬢様、お嬢様は勉強がお嫌いでしょう?私が全部答えをお教えしますからお嬢様は好きな時間をお過ごしください」
最初こそ何を言っているのかと思いつつも後で間違いだったら存分に馬鹿にしてやろう。そう思って出された宿題を提出してみれば全問正解でいつも怯え気味の家庭教師が驚きを見せていた。
奴隷のくせに何故頭がいいのか悔しさよりも疑問が上回る。馬鹿にできなかったのは残念だったが、自由な時間が増えると思えば悪くはなかった。
だから馬鹿な考えが浮かぶ。こんなに奴隷が使えるなら使用人より奴隷を買った方がいいのでは?と。
「奴隷を増やすのもいいわね」
しかし、それを呟いたとたん空気が冷えた。ぞっとするほどに。
「お嬢様、私に何か不満でもおありでしたか?私以外の奴隷など作らないでください。でないと私はその者たちを殺してしまいそうです」
「そ、そう……そうね、やめておくわ。貴方みたいなのがいるなら使用人より使えると思っただけよ」
「なるほど……では、使用人を使えるようにすればいいんですね?」
「え?ええ」
それから一ヶ月後、マッチョな使用人たちが公爵家でテキパキ働いていた。
あ、暑苦しい……。
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