17 / 20
17
しおりを挟む
「こうなったからには特例でさせます」
「まあ、そういう約束だったしなぁ」
「え……へ、陛下、王妃様」
そんな疑問の声にはっとしたのも束の間、ミニ殿下の親でありこの国の頂点に立つ方が現れた。
「事情は聞きました。私たちが遅れなければ事態もここまで悪化しなかったかもしれないのに……ごめなさいね。化粧に時間がかかってしまって」
「いいいいえ!寧ろお、お、お騒がせして……その、えっと……」
動揺して言葉がうまく紡げない自分が嫌になる。しかし、王妃様、化粧の必要があるんですか?とは言わない。だってこの国の今の王妃様はいつだって紙袋を被ってらっしゃるから。
陛下もまた王妃様に付き合うように紙袋を被っている。夏間は暑くないのだろうか?と疑問になるが、それは王族特別の何かしらを施しているんじゃないかと言われていたりする。事実はわからない。
「そう、緊張するな。私らはただの紙袋だから」
「え、あ、はい……」
いや、確かに紙袋ではあるけれど。
「それと、ベラ、約束通りミニをやろう。浮気はさせんようにな」
「はい、承りました」
「約束……?あ、す、すみません」
陛下の言葉にお兄様は頭を下げて嬉しげに承った。それはそれとして約束とは一体と首をかしげて口に出してしまいはっとして口を塞ぐが既に遅し。
「構わん。何、ミニが婚約破棄及び王族として相応しくないと判断された場合に限りベラとの結婚を認めることになっていた。まあ要は子ができぬ相手なら誰でもよかったんだが……相応しくないものでも王族は王族であり、子が生まれればそれもまた王族。それはいらぬ争いを生む可能性もある故に特例の結婚なわけだ」
「な、なるほど……?」
だから浮気は厳禁と……女限定で?
というか認められちゃうんだ。認められていいんだ?いや、理由はわかるけど……いいんだ?
「陛下、発言をよろしいですか?」
そんな混乱をする私を余所に緊張した様子でモブ様が陛下に発言する許可を求め出す。
「構わん」
「ありがとうございます。陛下、私モブ・デスガと申します。どうかエリス嬢との婚約を認めていただきたいのです。その期間はエリス嬢からいつでも破棄できるという条件付きで……」
「も、モブ様!?」
まさかの私との婚約の話に顔が熱くなる。いや、その行動力は嬉しいけど……でもその条件はあまりにも……。
「今回迷惑をかけたエリス嬢の意思を重んじたものなら構わん。で、婚約を認めるが、破棄するか?エリス嬢」
「し、しません!」
あっさり認められた婚約と共に破棄するか?と言われてすぐ断る。私だってモブ様と幸せになれるならそれがいいもの。それに私のためとも言える条件をつけてくれたモブ様の愛を裏切りたくはない。
「そうかそうか!まあ、破棄されぬように励めモブとやら」
「はい、必ずや破棄されぬようエリス嬢の幸せにいたします」
「も、モブ様……」
なんともいたたまれない気分になる。紙袋を被っているのに陛下と王妃様がにやにやとしている気がするのは気のせいだろうか?
「「にやにやにやにや」」
いや、気のせいじゃない!く、口に出すほどににやにやされてる!でもやめてとは言えない。紙袋を被ってても陛下と王妃様相手には……。
「まあ、そういう約束だったしなぁ」
「え……へ、陛下、王妃様」
そんな疑問の声にはっとしたのも束の間、ミニ殿下の親でありこの国の頂点に立つ方が現れた。
「事情は聞きました。私たちが遅れなければ事態もここまで悪化しなかったかもしれないのに……ごめなさいね。化粧に時間がかかってしまって」
「いいいいえ!寧ろお、お、お騒がせして……その、えっと……」
動揺して言葉がうまく紡げない自分が嫌になる。しかし、王妃様、化粧の必要があるんですか?とは言わない。だってこの国の今の王妃様はいつだって紙袋を被ってらっしゃるから。
陛下もまた王妃様に付き合うように紙袋を被っている。夏間は暑くないのだろうか?と疑問になるが、それは王族特別の何かしらを施しているんじゃないかと言われていたりする。事実はわからない。
「そう、緊張するな。私らはただの紙袋だから」
「え、あ、はい……」
いや、確かに紙袋ではあるけれど。
「それと、ベラ、約束通りミニをやろう。浮気はさせんようにな」
「はい、承りました」
「約束……?あ、す、すみません」
陛下の言葉にお兄様は頭を下げて嬉しげに承った。それはそれとして約束とは一体と首をかしげて口に出してしまいはっとして口を塞ぐが既に遅し。
「構わん。何、ミニが婚約破棄及び王族として相応しくないと判断された場合に限りベラとの結婚を認めることになっていた。まあ要は子ができぬ相手なら誰でもよかったんだが……相応しくないものでも王族は王族であり、子が生まれればそれもまた王族。それはいらぬ争いを生む可能性もある故に特例の結婚なわけだ」
「な、なるほど……?」
だから浮気は厳禁と……女限定で?
というか認められちゃうんだ。認められていいんだ?いや、理由はわかるけど……いいんだ?
「陛下、発言をよろしいですか?」
そんな混乱をする私を余所に緊張した様子でモブ様が陛下に発言する許可を求め出す。
「構わん」
「ありがとうございます。陛下、私モブ・デスガと申します。どうかエリス嬢との婚約を認めていただきたいのです。その期間はエリス嬢からいつでも破棄できるという条件付きで……」
「も、モブ様!?」
まさかの私との婚約の話に顔が熱くなる。いや、その行動力は嬉しいけど……でもその条件はあまりにも……。
「今回迷惑をかけたエリス嬢の意思を重んじたものなら構わん。で、婚約を認めるが、破棄するか?エリス嬢」
「し、しません!」
あっさり認められた婚約と共に破棄するか?と言われてすぐ断る。私だってモブ様と幸せになれるならそれがいいもの。それに私のためとも言える条件をつけてくれたモブ様の愛を裏切りたくはない。
「そうかそうか!まあ、破棄されぬように励めモブとやら」
「はい、必ずや破棄されぬようエリス嬢の幸せにいたします」
「も、モブ様……」
なんともいたたまれない気分になる。紙袋を被っているのに陛下と王妃様がにやにやとしている気がするのは気のせいだろうか?
「「にやにやにやにや」」
いや、気のせいじゃない!く、口に出すほどににやにやされてる!でもやめてとは言えない。紙袋を被ってても陛下と王妃様相手には……。
19
お気に入りに追加
1,164
あなたにおすすめの小説



辺境伯と悪役令嬢の婚約破棄
六角
恋愛
レイナは王国一の美貌と才能を持つ令嬢だが、その高慢な態度から周囲からは悪役令嬢と呼ばれている。彼女は王太子との婚約者だったが、王太子が異世界から来た転生者であるヒロインに一目惚れしてしまい、婚約を破棄される。レイナは屈辱に耐えながらも、自分の人生をやり直そうと決意する。しかし、彼女の前に現れたのは、王国最北端の辺境伯領を治める冷酷な男、アルベルト伯爵だった。

悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。

婚約破棄ですか。ゲームみたいに上手くはいきませんよ?
ゆるり
恋愛
公爵令嬢スカーレットは婚約者を紹介された時に前世を思い出した。そして、この世界が前世での乙女ゲームの世界に似ていることに気付く。シナリオなんて気にせず生きていくことを決めたが、学園にヒロイン気取りの少女が入学してきたことで、スカーレットの運命が変わっていく。全6話予定

悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
【完結】悪役令嬢が可愛すぎる!!
佐倉穂波
ファンタジー
ある日、自分が恋愛小説のヒロインに転生していることに気がついたアイラ。
学園に入学すると、悪役令嬢であるはずのプリシラが、小説とは全く違う性格をしており、「もしかして、同姓同名の子が居るのでは?」と思ったアイラだったが…….。
三話完結。
ヒロインが悪役令嬢を「可愛い!」と萌えているだけの物語。
2023.10.15 プリシラ視点投稿。

アホ王子が王宮の中心で婚約破棄を叫ぶ! ~もう取り消しできませんよ?断罪させて頂きます!!
アキヨシ
ファンタジー
貴族学院の卒業パーティが開かれた王宮の大広間に、今、第二王子の大声が響いた。
「マリアージェ・レネ=リズボーン! 性悪なおまえとの婚約をこの場で破棄する!」
王子の傍らには小動物系の可愛らしい男爵令嬢が纏わりついていた。……なんてテンプレ。
背後に控える愚か者どもと合わせて『四馬鹿次男ズwithビッチ』が、意気揚々と筆頭公爵家令嬢たるわたしを断罪するという。
受け立ってやろうじゃない。すべては予定調和の茶番劇。断罪返しだ!
そしてこの舞台裏では、王位簒奪を企てた派閥の粛清の嵐が吹き荒れていた!
すべての真相を知ったと思ったら……えっ、お兄様、なんでそんなに近いかな!?
※設定はゆるいです。暖かい目でお読みください。
※主人公の心の声は罵詈雑言、口が悪いです。気分を害した方は申し訳ありませんがブラウザバックで。
※小説家になろう・カクヨム様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる