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「続行で」
「続行ですね」
「続行します」
「ドノクチ、お前も加わるか?」
「トンチン、貴様が殿下を守らないでどうする!?」
「よく、言った!ドノクチ!ぐ……っ足が痺れ……」
「つん」
「つんつん」
「つつつつつん」
「ぎゃああああああっ」
「あ、俺もしたい!」
「トンチンんんん!」
足痺れてる時に触られるのはある意味地獄。暴行よりも苦しそうなミニ殿下は誰にも守られることはない。トンチン様はもはや素で楽しみ始めている。とても騎士団長の息子とは思えない姿だ。
必死に叱るドノクチ様だけがミニ殿下の味方のようだけど、誰も相手をせずいっそ憐れ。どうしてこうなったのか……いつまで続くのかわからないカオス。
この状況でさっきまでなんで泣けていたのか……うう、冷静になってくると恥ずかしい。
「エリス様、今なら抜け出せますよ」
「え?」
そうひとり悶えていたら声をかけられ、顔を見ればそこにはモブの中のモブというべき美形でも不細工でもない普通の顔があった。どこにでもいそうなその顔に寧ろ安心感が湧くのはどうしてだろう?モブ顔効果?
「私はモブ・デスガと申します。もはやいつ終わるかわかりませんし、あなたはこういう騒がしいのは苦手かと思いましたので」
にこりと優しく微笑むモブ顔さんは見ているだけで心が落ち着く。
「あ、ありがとう……」
「私、どこにいても目立たないので安心してください。初対面の方にもどこかで見たことある顔とはよく言われるんですが」
なんだろう、物凄くわかる気がする。もう出会った瞬間に信用してしまいそうないいモブ感が漂っている気がしてならない。
「なんて言ってる間にほら、ね?」
「え?あれ?え?」
モブ顔を見ていたらいつの間にか卒業パーティーの会場から抜け出していた。これこそモブマジック?ま、まさかモブの人に触れたらモブになれる設定が?
悪役令嬢からの抜け出し方法がこんなところにあったなんて……!
「早く助けられず申し訳ありません」
「い、いえ、ミニ殿下もいましたからあの場に入り込むのは難しかったと思いますし」
「それでも好きな人が泣くほどに辛い想いをしていたというのに、気を伺うばかりで助けられなかったなんて情けないでしょう?」
「そんなこと……って、え?あの、え?」
これまさか告白されてる?そう気づいて頭が混乱する。気のせいかモブ顔がきらきらと輝いて見えるのは気のせい?
「情けないと言いながらも私は諦められないのです……。殿下に婚約破棄されたばかりで傷心中の貴女につけ込むような真似をお許しください。ずっと貴女様をお慕いしていました。エリス・ベーラ嬢」
一難去ってまた一難。何故か私モブ顔さんに告白されてます!でも嫌な感じがしないのはよくある顔……モブオーラが成せる技のせい?
私、初めて知ったわ……モブってある意味卑怯だって。人見知りが故にこの安心感はあまりに卑怯。
でも……
「わ、私……貴方なら、幸せになれる気がするの……」
「必ずや、幸せにすると誓います」
私にはメインキャラたちよりモブの方がお似合いだ。ううん、モブだなんて失礼ね。ここは現実世界。私はあまりにも乙女ゲームに囚われすぎていただけに過ぎない。
だから話こそぐだぐだになったけど婚約破棄だけで済んでるのがその証拠。恋も人生も別に乙女ゲームでメインキャラだった人たちとする必要も進む必要もない。
このモブ様を受け入れることで私は私として新たな人生を歩め………
「「「「「「ちょっと待ったー!」」」」」」
る……と思った瞬間、またしてもメインキャラたちに阻止された。
「続行ですね」
「続行します」
「ドノクチ、お前も加わるか?」
「トンチン、貴様が殿下を守らないでどうする!?」
「よく、言った!ドノクチ!ぐ……っ足が痺れ……」
「つん」
「つんつん」
「つつつつつん」
「ぎゃああああああっ」
「あ、俺もしたい!」
「トンチンんんん!」
足痺れてる時に触られるのはある意味地獄。暴行よりも苦しそうなミニ殿下は誰にも守られることはない。トンチン様はもはや素で楽しみ始めている。とても騎士団長の息子とは思えない姿だ。
必死に叱るドノクチ様だけがミニ殿下の味方のようだけど、誰も相手をせずいっそ憐れ。どうしてこうなったのか……いつまで続くのかわからないカオス。
この状況でさっきまでなんで泣けていたのか……うう、冷静になってくると恥ずかしい。
「エリス様、今なら抜け出せますよ」
「え?」
そうひとり悶えていたら声をかけられ、顔を見ればそこにはモブの中のモブというべき美形でも不細工でもない普通の顔があった。どこにでもいそうなその顔に寧ろ安心感が湧くのはどうしてだろう?モブ顔効果?
「私はモブ・デスガと申します。もはやいつ終わるかわかりませんし、あなたはこういう騒がしいのは苦手かと思いましたので」
にこりと優しく微笑むモブ顔さんは見ているだけで心が落ち着く。
「あ、ありがとう……」
「私、どこにいても目立たないので安心してください。初対面の方にもどこかで見たことある顔とはよく言われるんですが」
なんだろう、物凄くわかる気がする。もう出会った瞬間に信用してしまいそうないいモブ感が漂っている気がしてならない。
「なんて言ってる間にほら、ね?」
「え?あれ?え?」
モブ顔を見ていたらいつの間にか卒業パーティーの会場から抜け出していた。これこそモブマジック?ま、まさかモブの人に触れたらモブになれる設定が?
悪役令嬢からの抜け出し方法がこんなところにあったなんて……!
「早く助けられず申し訳ありません」
「い、いえ、ミニ殿下もいましたからあの場に入り込むのは難しかったと思いますし」
「それでも好きな人が泣くほどに辛い想いをしていたというのに、気を伺うばかりで助けられなかったなんて情けないでしょう?」
「そんなこと……って、え?あの、え?」
これまさか告白されてる?そう気づいて頭が混乱する。気のせいかモブ顔がきらきらと輝いて見えるのは気のせい?
「情けないと言いながらも私は諦められないのです……。殿下に婚約破棄されたばかりで傷心中の貴女につけ込むような真似をお許しください。ずっと貴女様をお慕いしていました。エリス・ベーラ嬢」
一難去ってまた一難。何故か私モブ顔さんに告白されてます!でも嫌な感じがしないのはよくある顔……モブオーラが成せる技のせい?
私、初めて知ったわ……モブってある意味卑怯だって。人見知りが故にこの安心感はあまりに卑怯。
でも……
「わ、私……貴方なら、幸せになれる気がするの……」
「必ずや、幸せにすると誓います」
私にはメインキャラたちよりモブの方がお似合いだ。ううん、モブだなんて失礼ね。ここは現実世界。私はあまりにも乙女ゲームに囚われすぎていただけに過ぎない。
だから話こそぐだぐだになったけど婚約破棄だけで済んでるのがその証拠。恋も人生も別に乙女ゲームでメインキャラだった人たちとする必要も進む必要もない。
このモブ様を受け入れることで私は私として新たな人生を歩め………
「「「「「「ちょっと待ったー!」」」」」」
る……と思った瞬間、またしてもメインキャラたちに阻止された。
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