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「る、ルルー、まさかお前の好きな人は……」
「エリス様だけど?」
「な……っ」
「え」
思わず驚きで私まで声をあげてしまった。ミニ殿下は開いた口が塞がらないほどに驚かれている。まあ、好きな人が同性となればそうなるだろう。にしてもルルー様はあまりに堂々としすぎでは……?
「あれは私の婚約者だぞ!?」
「さっき婚約破棄だって言ってましたよね?ああ、今思っても腹立つなぁ……バカ王子ごときがエリス様をコケにして……」
「言わせておけば……!」
ああ、さすがのミニ殿下の堪忍袋も限界だったのか怒りで顔を真っ赤にして紳士と思えぬ態度でルルー様に飛びかかる……が。
「よ……っと」
「ぐへぇ」
ルルー様は襲いかかるミニ殿下の下に潜り込み真後ろに投げるようにした巴投げを披露した。重いだろうドレスで。なんならドレスの中が見えかけたわけだが、本人は気にした様子なく立ち上がり容赦なくミニ殿下の急所をヒールで踏みつける。
「いだぁあぁぁっ」
とたんにミニ殿下の叫び声とそれを見て青ざめる男性陣。ヒロインなんだかかっこいいな?を通り越して怖く感じる。あれは本当にヒロインのルルー様なのかと。
「女性に飛び掛かる紳士の風上にも置けない男のイチモツはいらないと思うんだけどどうだろう?」
「ひぐぅうぅぅっ!ご、ごべんざさい……!やめでぇっ」
ミニ殿下はついに大泣きして謝罪をするも、ルルー様はヒロインあるまじき冷めた表情と低い声でぐりぐりとミニ殿下の急所を踏みつけるばかりで足を離そうとはしない。それを見たドノクチ様は本当にメンタルが弱いのだろう。その様子を見て顔が青から白へ、ついには泡を吹いて白目となって、倒れていた身体はついに意識すら手放した。
女性陣は見てはいけないものと判断してか目を逸らす人、興味津々な目で見てしまっている危ない人、容赦ないルルー様を見てドン引きしている人……色んな人がいたが、その中でも青ざめている人たちはルルーをいじめた人物だろうか?次は自分が何かしら報復されるんじゃと怯えているようにも思える。
まあ自国の王子にすら容赦ない姿を見れば……ね。今のルルー様には身分の盾が効くように思えないし。
「これから不敬罪になってもおかしくはないし、今のうちに不能にしてもいいよね?エリス様に手出しできないようにさ……ねぇ?聞いてる?」
「いだ……ぃぃ……うぅぅっ」
ここまで来るとミニ殿下が可哀想に思えてくる、が……それよりも気のせいだろうか?先程からルルーの声にしろ、口調にしろ違和感があるのは気のせい?
まるで男性のような……いや、そんなはずはない。だってルルー様はヒロインで間違いないわけで、私は悪役令嬢……。それは生まれた時から決まっていたし、知っていたこと。
今更ヒロインに違和感を感じるなんてあるはずが……
「お兄様、やりすぎです!」
と思っていれば突然現れる女性。いや、女性は女性でも相手はルルー様。え?ルルー様が二人?
「はぁ……ルルー止めないでよ」
そしてルルー様をルルーと呼ぶルルー様に私は混乱した。ヒロインのドッペルゲンガーなんて知らないと。
「エリス様だけど?」
「な……っ」
「え」
思わず驚きで私まで声をあげてしまった。ミニ殿下は開いた口が塞がらないほどに驚かれている。まあ、好きな人が同性となればそうなるだろう。にしてもルルー様はあまりに堂々としすぎでは……?
「あれは私の婚約者だぞ!?」
「さっき婚約破棄だって言ってましたよね?ああ、今思っても腹立つなぁ……バカ王子ごときがエリス様をコケにして……」
「言わせておけば……!」
ああ、さすがのミニ殿下の堪忍袋も限界だったのか怒りで顔を真っ赤にして紳士と思えぬ態度でルルー様に飛びかかる……が。
「よ……っと」
「ぐへぇ」
ルルー様は襲いかかるミニ殿下の下に潜り込み真後ろに投げるようにした巴投げを披露した。重いだろうドレスで。なんならドレスの中が見えかけたわけだが、本人は気にした様子なく立ち上がり容赦なくミニ殿下の急所をヒールで踏みつける。
「いだぁあぁぁっ」
とたんにミニ殿下の叫び声とそれを見て青ざめる男性陣。ヒロインなんだかかっこいいな?を通り越して怖く感じる。あれは本当にヒロインのルルー様なのかと。
「女性に飛び掛かる紳士の風上にも置けない男のイチモツはいらないと思うんだけどどうだろう?」
「ひぐぅうぅぅっ!ご、ごべんざさい……!やめでぇっ」
ミニ殿下はついに大泣きして謝罪をするも、ルルー様はヒロインあるまじき冷めた表情と低い声でぐりぐりとミニ殿下の急所を踏みつけるばかりで足を離そうとはしない。それを見たドノクチ様は本当にメンタルが弱いのだろう。その様子を見て顔が青から白へ、ついには泡を吹いて白目となって、倒れていた身体はついに意識すら手放した。
女性陣は見てはいけないものと判断してか目を逸らす人、興味津々な目で見てしまっている危ない人、容赦ないルルー様を見てドン引きしている人……色んな人がいたが、その中でも青ざめている人たちはルルーをいじめた人物だろうか?次は自分が何かしら報復されるんじゃと怯えているようにも思える。
まあ自国の王子にすら容赦ない姿を見れば……ね。今のルルー様には身分の盾が効くように思えないし。
「これから不敬罪になってもおかしくはないし、今のうちに不能にしてもいいよね?エリス様に手出しできないようにさ……ねぇ?聞いてる?」
「いだ……ぃぃ……うぅぅっ」
ここまで来るとミニ殿下が可哀想に思えてくる、が……それよりも気のせいだろうか?先程からルルーの声にしろ、口調にしろ違和感があるのは気のせい?
まるで男性のような……いや、そんなはずはない。だってルルー様はヒロインで間違いないわけで、私は悪役令嬢……。それは生まれた時から決まっていたし、知っていたこと。
今更ヒロインに違和感を感じるなんてあるはずが……
「お兄様、やりすぎです!」
と思っていれば突然現れる女性。いや、女性は女性でも相手はルルー様。え?ルルー様が二人?
「はぁ……ルルー止めないでよ」
そしてルルー様をルルーと呼ぶルルー様に私は混乱した。ヒロインのドッペルゲンガーなんて知らないと。
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