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そんな感じで続けざまに二人がやりこめられ、私も危ない道へ進みそうになった間に、少し冷静になったのか、ミニ殿下が再びルルー様と対峙する。

「ルルー、確かに私は間違ったのだろう」

「間違えまくりだよ、バカ王子」

「ぐ……っし、しかしだな。君をいじめた人間がいるのは確かだろう」

冷めた目でルルーに見られ既にたじろぐミニ殿下。そこに王子としての威厳は見られない。こんな人に私は振り回されたのかと思うとやりきれないが、そう思うのは今のルルー様あってのこと。きっと私じゃそんな一面を見ることはなかっただろう。

「そうだね。でもそれって貴方たちに原因あるの理解してるの?私言ったよね?関わるの控えてほしいって……私たちが守るから問題ない?守れてないよね?破られた教科書やなくなった靴は買い直して終わり、疑心暗鬼になって私以外のご令嬢に冷たくするせいで余計拗れてひどくなるいじめ。ねぇ、ただ守ってるつもりなだけじゃない?」

「そ、そもそもいじめをするやつらが……」

「ええ、いじめは悪いことだわ。でもそのいじめの原因は貴方たちなのわかってる?って言ってるの。たかが下位の貴族の令嬢が高位貴族の子息に毎日囲まれたら私媚び売り上手なの、いじめてくださいと言ってるようなものでしょ。だから私以外の付き合いも大事にしろとあれほど言ったのに……どいつもこいつもバカばっかり!外見しか見ないアホなくせして身分だけはあるから下手なこと言えないのをいいことにうざいったらありゃしない!さすがの私も限界よ!」

自分のことばかりで気づかなかったのもあるけど、ルルー様もヒロインなりに苦労していたなんだと何故か親近感がわいた。ヒロインなだけあって庇護欲を誘う可愛らしい容姿は確かに外見ひとつで男を落とすことを可能にするだろう。実際攻略対象たちをやりこめてるわけだし。本人の意思ではないみたいだけど………。

「外見だなんて私は……!」

「別にどっちでもいいけど、私、好きな人いるのでおバカな殿下がどう考えてるかは知りたくもないですけど、気持ちには答えられませんから」

「な……っ私と結婚すれば王妃に……」

「なれないと思うけど。貴方みたいなバカが王となったら国が滅びるわよ」

ばっさり言うルルー様は我慢の限界を突破しすぎたのか不敬罪すら気にせず言いたいことを言いまくってるのがわかる。私にもあれだけの積極性があれば未来に悲観することもなかっただろうか?

実際怖くて仕方なかった未来はルルー様によってどうなるかわからなくなっているけど。でも雰囲気からして死ぬことはない気がする。それだけでも嬉しいことだ。

それにしてもルルー様の好きな人とは誰だろう?攻略対象で今だルルー様と対峙してないぼーっとした様子の魔術長官の息子キョーモ・ネタイと私を睨み付ける私の兄であり公爵令息のベラ・ベーラの二人のどちらか?

もしくはまさかのモブ………いや、モブは失礼よね。

「そんなことはない!」

「自信だけはピカイチね。なーんにもできないくせに」

「う……っ」

まあ、確かにミニ殿下は身分以外で何か特質したものがあるかと言えば……ないように思う。乙女ゲームではなんでも完璧できるといった人間離れしたような説明文があったが、現実ではただ周りがその身分にあやかろうと褒めそやしているだけ。

恐らくは本人もそれを自覚していたのだろう。図星をつかれたような表情となる。

「それに比べて……いえ、比べるのも烏滸がましいけど、エリス様は常に学年トップの成績を誇り、運動神経もよくあの抜群なスタイル!そして優しく癒しの雰囲気を常に醸し出してひたむきに頑張る姿は本当に美しくありながら可愛らしい姿には心が浄化されます!惚れない方がおかしいくらいに……ああ、今日も一段と……!」

そしてそんなミニ殿下を見ては急に饒舌になり、うっとりとした表情で語り出すルルー様とついに目が合う。え?これ……私のことでいいのよね……?
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