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長いマンホール

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歩きスマホって本当危険だからよくやってる人、今日から………いや、今からやめるべきだと忠告しよう。

周りが見えてないって本当に危ない。何故今言うのかそれは私が歩きスマホをしていて穴に落ちたから。だって普段歩く場所にあるマンホールの蓋が空いてるなんて思わないじゃない?

落ちた瞬間、びびったし、やっちまったなとは思った。歩きスマホは本当危険。信号、車、人、電柱と気を付けるべきものはいっぱいあるけどその中に落とし穴もいれとくべき。これ大事。

さて、ただ今落ち私ですが、こればかりは意味不明です。落ちてから1時間37分………スマホは落ちたときに手放したけど世の中には腕時計というものがあるわけで、スマホがなくても時間はわかる。え?知ってる?そりゃそうだ。

ふざけるのはこれぐらいにしよう。マンホールの中の穴がこんな長いわけないし、正直私は生きているのか、死んでいるのかすらわからない。

「死んだぞ、頭を強打して即死だ」

なんか聞こえたけど死んだかはわからない。私は今だ落ち続けているわけだし、周りを見ても誰もいない。

「下だよー。下にいる」

「変態!」

イケメンがスカートの下を覗くようにしていたため思わず母の形見のブローチを洋服から引っこ抜いて投げつけた。

「いたっ!」

「ああっ!お母さんの形見がー!」

「乱暴だなぁ………投げたの君だからね」

どう考えてもスカートの中を覗くように下から現れたイケメンが悪い。イケメンだからって何でも許されると思うなよ!

「許されるさ!僕は神だからね!」

イケメンは訂正。ただの中二病患者だわ、これ。ってか何故気がつけば隣に!?

「何せ神だからね!それにしても中二病かぁ………まあいいや」

まあいいんだ?

「そろそろただ落ちる映像も飽きたな」

「映像?」

パチンとイケメンが指を鳴らせば白い空間に。落ちる感覚はない。そう感覚が…………

「浮いてるぅうぅぅ!」

「あははっ!ずっと落ち続けてる錯覚は楽しかったかい?」

「よし、理解した!私が死んですぐお前という神に弄ばれたのだと!意図的にスカートの中を覗き込んでいたのだと!」

「理解早いなぁ、スカートを覗くのが礼儀なんでしょ?人間界じゃ」

「どんな礼儀だ!」

ツッコミと共に殴りにかかるもひらりと避けられる。母の形見には当たった癖に殴らせないとはこれいかに!

「さて、今から僕がするのは君の転生なんだけど…………うん、殴るのやめよう?」

「10発殴ってから考える」

「僕神様だよ?」

「神様は慈悲深い。ならば殴らせてくれるくらいいいでしょう?」

「どういう理屈なの」

あははと笑うイケメン神の憎たらしいこと。なんだか体が疲れないから止まらず殴り続けることができる。全部避けられているけど。

「もうっ!避けるなー!」

「だってブローチ痛かったからね~。そんな黒いパンツ見られたくなかった?」

「よし、殺す」

こんな神いてたまるか。そう心から思った。
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