悪役令嬢に腐女子が転生した結果

魔王編(連載中)

ヒロインは魔王ではないが敵に回してはいけない

｢貴方方が欲望を抑えきれなかっただけでは？｣

｢｢違う(います)！｣｣

だからしらばっくれた。証拠もなしに私を魔王になんてできるわけがないでしょう？何せ私腐ってようがヒロインだもの。まあよくある異世界転生のヒロインざまあだけは避けて通りたい。

転生者の悪役令嬢とは腐の繋がりで仲良くできてるから大丈夫だと思うけど。

｢そうやって気持ちを抑えて否定なさるから我慢できなくなるのでは？魔王だかなんだか知りませんが、仮にも男ならお気持ちはっきりさせてください。あ、私たちのことなら大丈夫ですよ？私もクサーレ嬢も婚約破棄ならびに二人の愛の逃避行の準備はいつでもできていますから｣

実際はできていないけど、魔王がいるなら瞬時にできることだろう。それくらいできないともはや魔王を復活させた意味がなくなる。

｢クサーレ嬢を貴女に渡す気はありませんからね？｣

私の言葉が聞き捨てならないとばかりにクール様が私に物言い渡す。一番始めに言葉を紡いだ陛下は何も言わず成り行きを見守っている様子。

｢その言葉を殿下に言えばクサーレ嬢も喜びますのに。全く……愛した女性を白けさせることばかりしか言えないのですね｣

まだゲームのクール様の方がよい仕事をしていたわ。本当に。やれやれとばかりに言えばクール様は少しばかり表情を怒りに変えた。思ったより感情豊かよね、クール様って。

おかげで私は余裕を取り戻したわけだけど。魔王の話だから少しばかり動揺はしていたのよ？これでも。あら、なんだか魔王からの視線が痛い気がするけど気のせいね。心とか読んでるなら後で躾が必要かしら。あ、視線を逸らしたわね？見なくともわかるわよ？ま、お、う？

｢っ｣

｢話が脱線しておるな。そこの使用人が緊張で怯えておるようだ。二人ともここからは私が話す｣

笑ってもいいのかしら？魔王が人間に緊張して怯えるなんて。世界征服しようとした魔王とは別人と言われても私は信じるわ。ポンコツさはよくわかってるもの。

｢｢はっ｣｣

なんて思考をしていれば陛下に言われて下がる二人。まああの二人は言い返したげにしていたけれど、私が二人に言い負かされる気はしない。今回ばかりは。いや、婚約させられたのは陛下のせいだし？王命を盾にした時点であの二人は私に勝てる見込みはないのよ。

でも次は陛下が相手なんてさすがにヒロインの私であっても余裕ではいられなさそうよね。腐フフィルターからして宰相と陛下カプがありかなしか手始めに見極めましょうか。あの弟殿下とのサンドウィッチも悪くないわね……じゅるり。