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5章恋を成就させるのはどっちですか?食べられるクッキーvs食べられないクッキー
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次に色々祝福されながら四人が向かったのはジュエリーショップ。
「結婚指輪を買おう」
「浮かれすぎじゃないかな?」
提案したのはルーベルト。たった今婚約者と心を通わせ浮かれまくっている男である。
「お前も買えばいい」
「「えっ」」
思わぬ返しに驚きの声をあげたのはルドルクとアクニーの二人。ダブルデートといえど初デートの二人。ルドルクが気持ちは伝えたとはいえ、結婚指輪などまだ婚約を結んでさえいないのに早すぎるということをルーベルトは知っているはずである。
「昨日の今日ですが、お二人はとてもお似合いですよ?」
「だ、だがさすがに………」
「きっとニーナ様にクッキーをぶつけられた日から運命の出会いだったんですよ!」
((物凄く説得力ある………))
思わず二人が思ってしまうのも無理はない。ルーベルトがネムリンにクッキーで気絶させられて婚約を結んだというのは有名で、結ばれる瞬間を二人が見たからこそある意味運命と言えるだろう。
ネムリンの言葉にここで男を見せるべきだとルドルクは決心してアクニーの前にひざまずく。
「えっあのルフ」
その様子に慌てるのはアクニー。だが、ルドルクの目は真剣だ。
「ニーナ………改めて結婚を申し込みたい。婚約指輪通り越して結婚指輪を貴女に与えることを許していただけますか?貴女を愛しています。必ず幸せにすると誓います」
「~…………っよろしく、おねがいしますっ」
「ありがとう」
ルドルクの嬉しげな笑みに耐えきれずアクニーが両手で自らの照れる顔を隠す。完全なる二人の世界。そんな雰囲気にもたらしたネムリンはぽかんとしたもののアクニーの様子とルドルクの様子、二人を見て静かに嬉しそうににこにこと笑う。
元々ルドルクの気持ちをねじ曲げるようにして二人をくっつけようとしたルーベルトは感慨深いとばかりにひとり頷く。
(なるようになるものだな。これで邪魔者が減る)
最低である。
だが、なんだかんだ友が幸せそうな様子に無意識に口角があがっていることにルーベルトは気づいていない。決してそっと二人の様子に嬉しそうなネムリンがルーベルトの腕に寄り添っているための笑みではないはずだ。
それはともかく、さて、ここで問題です。この雰囲気に一番困る人物は?
(リア充するなら、僕のいないところでしてくれ!)
甘い雰囲気とそれを見守る夫婦の雰囲気を醸し出す人たちを見せつけられる独身男ジュエリーショップの店員である。
あいにく店にはその店員とルドルクたちしかいない。完全に孤立する店員。ジュエリーショップで働いていればそういうこともあるだろう。
がんばれ、店員。負けるな、店員。
独身にはきつい甘い雰囲気は1時間ほど続いた。
(さっさと結婚指輪選ぶだけでもしてくれないかな)
お忍びとは知っていても四人の正体に検討がついている店員は四人が出ていくまで明後日の方向を向いていたとか。
「結婚指輪を買おう」
「浮かれすぎじゃないかな?」
提案したのはルーベルト。たった今婚約者と心を通わせ浮かれまくっている男である。
「お前も買えばいい」
「「えっ」」
思わぬ返しに驚きの声をあげたのはルドルクとアクニーの二人。ダブルデートといえど初デートの二人。ルドルクが気持ちは伝えたとはいえ、結婚指輪などまだ婚約を結んでさえいないのに早すぎるということをルーベルトは知っているはずである。
「昨日の今日ですが、お二人はとてもお似合いですよ?」
「だ、だがさすがに………」
「きっとニーナ様にクッキーをぶつけられた日から運命の出会いだったんですよ!」
((物凄く説得力ある………))
思わず二人が思ってしまうのも無理はない。ルーベルトがネムリンにクッキーで気絶させられて婚約を結んだというのは有名で、結ばれる瞬間を二人が見たからこそある意味運命と言えるだろう。
ネムリンの言葉にここで男を見せるべきだとルドルクは決心してアクニーの前にひざまずく。
「えっあのルフ」
その様子に慌てるのはアクニー。だが、ルドルクの目は真剣だ。
「ニーナ………改めて結婚を申し込みたい。婚約指輪通り越して結婚指輪を貴女に与えることを許していただけますか?貴女を愛しています。必ず幸せにすると誓います」
「~…………っよろしく、おねがいしますっ」
「ありがとう」
ルドルクの嬉しげな笑みに耐えきれずアクニーが両手で自らの照れる顔を隠す。完全なる二人の世界。そんな雰囲気にもたらしたネムリンはぽかんとしたもののアクニーの様子とルドルクの様子、二人を見て静かに嬉しそうににこにこと笑う。
元々ルドルクの気持ちをねじ曲げるようにして二人をくっつけようとしたルーベルトは感慨深いとばかりにひとり頷く。
(なるようになるものだな。これで邪魔者が減る)
最低である。
だが、なんだかんだ友が幸せそうな様子に無意識に口角があがっていることにルーベルトは気づいていない。決してそっと二人の様子に嬉しそうなネムリンがルーベルトの腕に寄り添っているための笑みではないはずだ。
それはともかく、さて、ここで問題です。この雰囲気に一番困る人物は?
(リア充するなら、僕のいないところでしてくれ!)
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あいにく店にはその店員とルドルクたちしかいない。完全に孤立する店員。ジュエリーショップで働いていればそういうこともあるだろう。
がんばれ、店員。負けるな、店員。
独身にはきつい甘い雰囲気は1時間ほど続いた。
(さっさと結婚指輪選ぶだけでもしてくれないかな)
お忍びとは知っていても四人の正体に検討がついている店員は四人が出ていくまで明後日の方向を向いていたとか。
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