34 / 46
4章王様の相談窓口はどこですか?
5
しおりを挟む
「では、続けますが………」
「僕に味方がいないぃぃっ」
ぎゅるるるとお腹と共に悲鳴をあげるルドルク。アクニーはそのまま話を続けた。
「とりあえずあーだこーだありまして、ルーベルト様が陛下に下剤を」
「全くわからない!このお腹の辛さはお前か、ルーベルト!うぐぅっ」
省略しすぎた説明にルドルクのツッコミは止まらない。だが、わかったことがひとつあった。ある意味では毒になるものを自分に飲ませたのはルーベルトであると。
「ネムリンに抱かれたからと妬いたわけではない」
「ネムリン嬢にまで、僕は…………っほんと、なにが………」
嫉妬が原因かとわかりやすい理由に至るも、令嬢二人に軽々担がれてしまったことに対してやりきれない気持ちになるルドルク。これがまだネムリンであり、ネムリンだけとなれば怪力なのは理解しているだけにショックは少なかったかもしれない。
「アクニー嬢が泣かれてしまい、そのままへたり込んでしまわれたので陛下とアクニー嬢を両肩に乗せて運んだだけです」
「なんで泣いたのかもわからないけど、二人を担ぐネムリン嬢はさすがだね、うん」
もう色々どうでもよくなってきたルドルクの思うことはひとつ。
(いい加減トイレをゆっくりさせてもらえないかな)
扉で閉ざされているため誰にも見えていないが、ルドルクは青を通り越して顔色は白くなっていた。
そんな中扉の外からは………
「陛下、私は………っネムリン様に憧れていただけだったみたいなんです!ネムリン様を間近で見て確信しました!私はただネムリン様に気づいてもらえず構ってもらえなくて拗ねていただけだと!それに気づけなかったばかりに陛下を気絶させてしまい申し訳ありません!」
急な謝罪。明らかにルドルクは巻き込まれただけなのがわかる。要はアクニーがネムリンに関わるきっかけのためにダシにされたようなものだ。
「これが不運というものです。陛下」
「ねぇ、サギーシ。本当はネムリン嬢に罪がいかないこととかわかってたんじゃ」
「アクニー様、陛下はお許しになられるそうですよ」
「感謝いたします!陛下!」
「いや、一言もそんなこと言ってないよ!?」
ルドルクの意見は何一つ言わせないままに話は進んでいく。
「陛下、アクニー様との出会いは陛下にとってよいものとなりますのでお許しを。陛下のみならず、私もよいものとなりますが」
「え?」
サギーシの予言めいた言葉にルドルクはお腹を抑えながらぽかんとする。この出来事は必然であり、ルドルクがどうなるかわかった上で仕組まれていたようにすら思える言葉。
「では、失礼いたします」
「え、ちょ、どういう」
「帰るか」
「そうですね。アクニー嬢もご一緒にいかがですか?」
「あ、ぜ、ぜひ!」
ルドルクの声を無視してサギーシを筆頭に遠ざかる足音。ルドルクにとって気になる言葉をルーベルトたちは知っているのか興味ないのか、誰もサギーシの言葉を追求することはなかった。
「うう………っ」
ただひとり気になるものの追いかけられないルドルクは、一晩トイレに引きこもることとなった。
翌日トイレに引きこもる必要がないくらいには回復したルドルク。サギーシの言葉に心当たりはないかと居合わせていた人物たちに言うもとぼけられているのか知らないのか相手にされず、その日以来お腹が緩くなったルドルクが顔の描かれたクッキーにぶつぶつ言う姿がちらほら目撃されることになった。
王様の相談相手に選ばれたのはクッキーでした。それは喋るどころか動きもしない固形物である。それを見たルーベルトとネムリンたちが多少引いたのは仕方あるまい。若干心配もあるが。
ちなみにネムリンの取り合いでアクニーとルーベルトのネムリンを巡ったバトル名物ができるのだが、それはまたの話。
「僕に味方がいないぃぃっ」
ぎゅるるるとお腹と共に悲鳴をあげるルドルク。アクニーはそのまま話を続けた。
「とりあえずあーだこーだありまして、ルーベルト様が陛下に下剤を」
「全くわからない!このお腹の辛さはお前か、ルーベルト!うぐぅっ」
省略しすぎた説明にルドルクのツッコミは止まらない。だが、わかったことがひとつあった。ある意味では毒になるものを自分に飲ませたのはルーベルトであると。
「ネムリンに抱かれたからと妬いたわけではない」
「ネムリン嬢にまで、僕は…………っほんと、なにが………」
嫉妬が原因かとわかりやすい理由に至るも、令嬢二人に軽々担がれてしまったことに対してやりきれない気持ちになるルドルク。これがまだネムリンであり、ネムリンだけとなれば怪力なのは理解しているだけにショックは少なかったかもしれない。
「アクニー嬢が泣かれてしまい、そのままへたり込んでしまわれたので陛下とアクニー嬢を両肩に乗せて運んだだけです」
「なんで泣いたのかもわからないけど、二人を担ぐネムリン嬢はさすがだね、うん」
もう色々どうでもよくなってきたルドルクの思うことはひとつ。
(いい加減トイレをゆっくりさせてもらえないかな)
扉で閉ざされているため誰にも見えていないが、ルドルクは青を通り越して顔色は白くなっていた。
そんな中扉の外からは………
「陛下、私は………っネムリン様に憧れていただけだったみたいなんです!ネムリン様を間近で見て確信しました!私はただネムリン様に気づいてもらえず構ってもらえなくて拗ねていただけだと!それに気づけなかったばかりに陛下を気絶させてしまい申し訳ありません!」
急な謝罪。明らかにルドルクは巻き込まれただけなのがわかる。要はアクニーがネムリンに関わるきっかけのためにダシにされたようなものだ。
「これが不運というものです。陛下」
「ねぇ、サギーシ。本当はネムリン嬢に罪がいかないこととかわかってたんじゃ」
「アクニー様、陛下はお許しになられるそうですよ」
「感謝いたします!陛下!」
「いや、一言もそんなこと言ってないよ!?」
ルドルクの意見は何一つ言わせないままに話は進んでいく。
「陛下、アクニー様との出会いは陛下にとってよいものとなりますのでお許しを。陛下のみならず、私もよいものとなりますが」
「え?」
サギーシの予言めいた言葉にルドルクはお腹を抑えながらぽかんとする。この出来事は必然であり、ルドルクがどうなるかわかった上で仕組まれていたようにすら思える言葉。
「では、失礼いたします」
「え、ちょ、どういう」
「帰るか」
「そうですね。アクニー嬢もご一緒にいかがですか?」
「あ、ぜ、ぜひ!」
ルドルクの声を無視してサギーシを筆頭に遠ざかる足音。ルドルクにとって気になる言葉をルーベルトたちは知っているのか興味ないのか、誰もサギーシの言葉を追求することはなかった。
「うう………っ」
ただひとり気になるものの追いかけられないルドルクは、一晩トイレに引きこもることとなった。
翌日トイレに引きこもる必要がないくらいには回復したルドルク。サギーシの言葉に心当たりはないかと居合わせていた人物たちに言うもとぼけられているのか知らないのか相手にされず、その日以来お腹が緩くなったルドルクが顔の描かれたクッキーにぶつぶつ言う姿がちらほら目撃されることになった。
王様の相談相手に選ばれたのはクッキーでした。それは喋るどころか動きもしない固形物である。それを見たルーベルトとネムリンたちが多少引いたのは仕方あるまい。若干心配もあるが。
ちなみにネムリンの取り合いでアクニーとルーベルトのネムリンを巡ったバトル名物ができるのだが、それはまたの話。
30
お気に入りに追加
4,396
あなたにおすすめの小説

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載中しております。

私のお父様とパパ様
棗
ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。
婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。
大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。
※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。
追記(2021/10/7)
お茶会の後を追加します。
更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。


義妹が大事だと優先するので私も義兄を優先する事にしました
さこの
恋愛
婚約者のラウロ様は義妹を優先する。
私との約束なんかなかったかのように…
それをやんわり注意すると、君は家族を大事にしないのか?冷たい女だな。と言われました。
そうですか…あなたの目にはそのように映るのですね…
分かりました。それでは私も義兄を優先する事にしますね!大事な家族なので!

裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。
因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。
そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。
彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。
晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。
それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。
幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。
二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。
カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。
こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

婚約破棄、ありがとうございます
奈井
恋愛
小さい頃に婚約して10年がたち私たちはお互い16歳。来年、結婚する為の準備が着々と進む中、婚約破棄を言い渡されました。でも、私は安堵しております。嘘を突き通すのは辛いから。傷物になってしまったので、誰も寄って来ない事をこれ幸いに一生1人で、幼い恋心と一緒に過ごしてまいります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる