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4章王様の相談窓口はどこですか?

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フビン国は急な嵐で国中が慌てたものの、大きな被害はなかったとだけ言っておこう。

ルドルクが目を覚ました時には嵐も収まっており、目を覚まして見たものは土下座をしたアクニーとどうしたものかとアクニーの横に立ち並ぶ衛兵、ちらちらとアクニーを見るネムリンに憐れな視線をルドルクに向けるルーベルトの姿だった。

(状況が全くわからない)

ルドルクが起きて思ったことはそれだ。仮にも国王の寝室で眠っている主がいるというのに、許可なく部屋に入り込んで囲むことに関しては何も言う気にならないらしい。

何よりルーベルトの憐れな視線からルドルクは嫌な予感しかしない。部屋に勝手にはいるなとか言っている場合ではないんじゃないかと思った次第である。

何よりそれ以上にルドルクは気になることがある。

それについて聞こうとするもコンコンというドアをノックする音に皆が視線を向け、ルドルクが返事をする前に開かれるドア。

(衛兵仕事して)

果たして城の衛兵はルドルクを守る気があるのか疑問である。訓練に真面目なのはよくわかってはいるが。

「陛下失礼いたします」

入ってきたのはサギーシ。勝手に入ってきたサギーシを責めるものはいない。なんせ、ルドルクの寝室にいる誰もが許可なく入っているのだから。

「状況説明お願いできるかな?できれば簡潔に」

しかし、ルドルクはやはり咎めることなく焦るように説明を求める。

「占いはある意味当たってはいたんですが、考えられていたものとまるで違いました。以上です」

「簡潔すぎる!っていうか占いじゃなくて状況説明!」

にっこりさらりと言ってのけたサギーシに、占いについて皆既に聞いた後なのか、土下座したアクニー以外の周りはうんうんと頷いている。しかし、ルドルクからすれば状況説明がひとつも入ってないため全くわからない。

ルドルクはだんだんと青ざめていく様子だが、周りは誰ひとりそれに対して気づいているのかいないのか声をかけることはない。

滲み出る汗はルドルクが状況説明を急かした理由のひとつ。

「それよりトイレは大丈夫か?ルドルク」

「すっごく行きたいよ!もう我慢ならないから理由絶対教えてよね!」

しかし、そろそろかというタイミングで声を出したルーベルトの言葉にやっぱり何かされたのだと先程から我慢していた調にベットから降りてルドルクは走り出した。

優雅に歩くなんてことできないぐらいに我慢の限界だったのだ。原因があるならこれくらい許されるだろうとルドルクはお腹を抱え、青ざめながらトイレへと駆け込んだ。一体ルドルクが気絶している間、いや、ルドルクが目を覚ますまでの間アクニーが泣き出した後何があったというのか………。

ルドルクがトイレへ籠ればコンコンとノックの音。

「な、何かな?」

急激なお腹の調子の悪さにゆっくりさせてくれと言いたいルドルクだが、相手は気にしない。

「今から状況説明をするから聞け」

「この状況で?」

トイレひとつゆっくりさせてもらえないルドルク・フビン。誰か味方はいないものか。

「では、陛下失礼してこのアクニー・ナレンが説明させていただきます」

「ねぇ、出てからじゃだめなの?というか令嬢が男性のトイレ前に立つものじゃないよ」

ルーベルトだけでなく、まさかのアクニーまでいることにルドルクはお腹を抱えながらも、頭も抱えたくなった。

「大丈夫です。私もいます」

「その声、ネムリン嬢だね?そういう問題じゃ」

「陛下、私もいます」

「サギーシも………!?」

どういう理屈なのか、呆れた声で扉越しからネムリンに言葉を言おうとするもサギーシの声にルドルクは驚きの声。仮にも想いを寄せる人物が何故か自分がトイレをしている最中に扉の前に立たれるなど一番勘弁してほしい案件だ。

「我々もいます」

「衛兵、頼むから僕がトイレを出るまで寝室でいいから待たせといてくれないかな!?」

なんでお前たちまで!とばかりに声をあげるルドルク。

「それはできかねます」

そしてまさかの衛兵からの断り。いや、裏切りか。

「え?なんで?君たちの主は僕だよね?」

「え?」

「あ、そうでしたね………?」

「ねぇ、君ら何を守っているつもりだったの?」

「「国です」」

「うん、そりゃ立派だし間違ってもないけど」

トイレ最中に何故こんな会話をせねばいけないんだろうとルドルクは項垂れる。が、当たり前にも扉は閉まっているため誰もその様子はわからない。

「あの、説明してよろしいでしょうか?」

「ああ、構わない」

「ねぇ、なんでルーベルトが許可を出すの」

「では、陛下が気を失っている間のお話を」

「ねぇ、僕の話聞いて?こんなこと言いづらいけど、トイレに集中させて」

平気なフリはするが、色々限界なルドルク。お腹はぎゅるぎゅると嫌な音を立てている。話よりも今はトイレに集中したいのは仕方がないことだろう。

「私慌ててしまって陛下を抱き上げて走りました」

「え、僕を抱き上げたの?うぐぅ」

無慈悲にも話は止まらず始まった。最初の一言目から聞き捨てならない台詞だが、我慢の限界かお腹を抱えて呻くルドルク。しかし、誰も気にする様子はない。

「医務室へ連れて行こうと城に行き、走り回ったのですが見つかりませんでした」

「もし、かして、僕、令嬢に抱えられる、姿………うっ……結構な人、に、見られ、て………ぐぅ」

その行為に恥じればいいのか、今扉越しとはいえ人前でトイレをすることを恥じればいいのか、ルドルクはまともに会話がだんだんとできなくなっていく。

「大丈夫か?」

「大丈夫じゃないよっ!頼むから!後で!」

「なら続けるな」

「君は鬼か!」

必死に伝えたルドルクの言葉は無意味と化した。とりあえずルドルクがわかったことはひとつ。

(なんで怒ってるの?ルーベルト)

そのせいで今の状況があることだけはわかった。
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