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「まあシャロンとも会って話したと聞いたし、大体予想はできてるかもしれないけど……シャロンの結婚相手をバーン伯爵にしてほしいって言われたんだよね。公爵という地位が必要なら公爵になるために兄から爵位を奪うことも考えていると父上の前で言い切るんだからすごい覚悟だよ」
「そんなことまで……?でもバーン伯爵は器官が弱いんじゃ……」
どこかでもしかしてと思っていたことが現実になったと知り、複雑な気持ちがより一層深まる。初恋の人と両想いかもしれないというのに優柔不断な自分に嫌気が差す。しかし、それ以上の自体に驚きを隠せない。首都に長く滞在が難しいと自ら言っていたバーン伯爵の、僕との結婚に必要なら公爵になるという覚悟を聞いて。
僕は二人の間で揺れているというのに、覚悟を持つバーン伯爵に申し訳なさとどこか嬉しくなる気持ちが湧き上がる。
一度しか会ってないはずのバーン伯爵がなぜそこまで僕に拘るのかわからないけれど、初恋の人に想われる気持ちが嬉しくないわけがなかった。ずっと想い続けていた真実の人なのだから。
「呼吸器が開発されてからはうまく調整すれば問題はないみたい。ただ、健康面以上に、すでに爵位を授かってるバンテージ公爵から公爵という爵位を奪い取るのは容易ではないし、血筋ではあっても、バーン伯爵はすでにバンテージ公爵家から籍が外れているから、よっぽどのことがないと簡単ではないよ」
「バーン伯爵が籍を外れたのはいつ頃なの?今までバーン伯爵の存在を僕は知らなかったんだけど……元々公爵家の子息なら噂くらいにはなってたんじゃ……」
噂に疎い僕でも、公爵家の噂となればどこかで誰かが話すのを聞くくらいはあってもおかしくはない。公爵家に双子がいることを全く知らなかったこと自体が今思えばおかしいんだ。だからこそ僕は初恋の人を勘違いしたのだから。バーン伯爵が病弱以外にも何かあったんじゃないかなんて思ってしまう。
「うーん……今だからシャロンにだけ話すと、バンテージ公爵家にとって元バンテージ公爵家の次男リテール・バンテージは病弱な体以上に隠された存在だったんだよ」
「隠された存在?」
「リテールという存在はあまりに異質すぎたみたいで、当時のバンテージ公爵がいない存在として扱うようにしていたんだ……。かといって育児放棄してたってわけじゃなく、不自由をさせていたわけではないと聞いている。実際見たわけではないからわからないけど、調べてもわからないほどに次男に接触できる人は限られていたみたいだよ」
「バーン伯爵が異質……?」
初めて会った時も今回会った時も、そんなおかしい感じはなかった。なのに何が当時のバンテージ公爵にそうさせたのだろう?
「そんなことまで……?でもバーン伯爵は器官が弱いんじゃ……」
どこかでもしかしてと思っていたことが現実になったと知り、複雑な気持ちがより一層深まる。初恋の人と両想いかもしれないというのに優柔不断な自分に嫌気が差す。しかし、それ以上の自体に驚きを隠せない。首都に長く滞在が難しいと自ら言っていたバーン伯爵の、僕との結婚に必要なら公爵になるという覚悟を聞いて。
僕は二人の間で揺れているというのに、覚悟を持つバーン伯爵に申し訳なさとどこか嬉しくなる気持ちが湧き上がる。
一度しか会ってないはずのバーン伯爵がなぜそこまで僕に拘るのかわからないけれど、初恋の人に想われる気持ちが嬉しくないわけがなかった。ずっと想い続けていた真実の人なのだから。
「呼吸器が開発されてからはうまく調整すれば問題はないみたい。ただ、健康面以上に、すでに爵位を授かってるバンテージ公爵から公爵という爵位を奪い取るのは容易ではないし、血筋ではあっても、バーン伯爵はすでにバンテージ公爵家から籍が外れているから、よっぽどのことがないと簡単ではないよ」
「バーン伯爵が籍を外れたのはいつ頃なの?今までバーン伯爵の存在を僕は知らなかったんだけど……元々公爵家の子息なら噂くらいにはなってたんじゃ……」
噂に疎い僕でも、公爵家の噂となればどこかで誰かが話すのを聞くくらいはあってもおかしくはない。公爵家に双子がいることを全く知らなかったこと自体が今思えばおかしいんだ。だからこそ僕は初恋の人を勘違いしたのだから。バーン伯爵が病弱以外にも何かあったんじゃないかなんて思ってしまう。
「うーん……今だからシャロンにだけ話すと、バンテージ公爵家にとって元バンテージ公爵家の次男リテール・バンテージは病弱な体以上に隠された存在だったんだよ」
「隠された存在?」
「リテールという存在はあまりに異質すぎたみたいで、当時のバンテージ公爵がいない存在として扱うようにしていたんだ……。かといって育児放棄してたってわけじゃなく、不自由をさせていたわけではないと聞いている。実際見たわけではないからわからないけど、調べてもわからないほどに次男に接触できる人は限られていたみたいだよ」
「バーン伯爵が異質……?」
初めて会った時も今回会った時も、そんなおかしい感じはなかった。なのに何が当時のバンテージ公爵にそうさせたのだろう?
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