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食事中は特に会話が開始されることなく、その緊張感によるものかあまり喉に料理は通らなかった。元々少食ではあったから疑問に思われることはないはずだけど。
「シャロン、気分は乗らないかもしれないがデートを続けてもいいだろうか?」
食事が終わり、一息ついて話出したのは公爵様の方から。確かにバーン伯爵の登場によってデートの雰囲気はなくなったと言ってもいい。だからこそ公爵様はそう切り出したのだろう。
僕を逃す気はないと言いながらもそういったことは僕の気持ちを優先してくれるみたいだ。ちょっと公爵様が怖く感じてしまった自分を恥ずかしく思う。自分の意見を言いながらも僕に選択肢をくれるのだから。
「うん……いいよ」
「シャロン……っ」
精一杯の返事に、いつもと違う僕の口調に気づいてか公爵様が目を見開いて僕を見る。食事前暗かったように感じた瞳に輝きが増して嬉しそうにしているのは僕の勘違いではなさそうだ。
こんな些細なことで喜んでもらえるのが少しくすぐったい。まだ三年間のことは心に引っかかってないと言えば嘘になるし、バーン伯爵様のことが気にならないなんてことも言えないけど、公爵様に全く惹かれてないわけではないんじゃないかと思う自分がいる。
「あまり街に詳しくないから旦那様に案内してほしい……な」
「もちろんだ。ありがとう」
お礼なんていらないのに。そう思う僕だって本当は心のどこかで、このデートを続けたくて食事中に自ら会話を切り出せなかったのだろう。うまく話せなかったら最後このデートは終わって、もう2度とできない気がしたから。
「旦那様、一つ買いたいものがあるん、だけど」
慣れない公爵様に対しての口調はどうしても辿々しくなるけど、公爵様がそれを責めることはなく、どこか眩しそうに、それでいて幸せそうに微笑むのだからこの口調に慣れる日が来ない気がしてならない。
初恋相手じゃなかったにしても公爵様は誰から見ても十分魅力的な人なのは変わりないのだから。
「シャロン、気分は乗らないかもしれないがデートを続けてもいいだろうか?」
食事が終わり、一息ついて話出したのは公爵様の方から。確かにバーン伯爵の登場によってデートの雰囲気はなくなったと言ってもいい。だからこそ公爵様はそう切り出したのだろう。
僕を逃す気はないと言いながらもそういったことは僕の気持ちを優先してくれるみたいだ。ちょっと公爵様が怖く感じてしまった自分を恥ずかしく思う。自分の意見を言いながらも僕に選択肢をくれるのだから。
「うん……いいよ」
「シャロン……っ」
精一杯の返事に、いつもと違う僕の口調に気づいてか公爵様が目を見開いて僕を見る。食事前暗かったように感じた瞳に輝きが増して嬉しそうにしているのは僕の勘違いではなさそうだ。
こんな些細なことで喜んでもらえるのが少しくすぐったい。まだ三年間のことは心に引っかかってないと言えば嘘になるし、バーン伯爵様のことが気にならないなんてことも言えないけど、公爵様に全く惹かれてないわけではないんじゃないかと思う自分がいる。
「あまり街に詳しくないから旦那様に案内してほしい……な」
「もちろんだ。ありがとう」
お礼なんていらないのに。そう思う僕だって本当は心のどこかで、このデートを続けたくて食事中に自ら会話を切り出せなかったのだろう。うまく話せなかったら最後このデートは終わって、もう2度とできない気がしたから。
「旦那様、一つ買いたいものがあるん、だけど」
慣れない公爵様に対しての口調はどうしても辿々しくなるけど、公爵様がそれを責めることはなく、どこか眩しそうに、それでいて幸せそうに微笑むのだからこの口調に慣れる日が来ない気がしてならない。
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