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45〜公爵視点〜
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幸せな時間になるはずだったデートは、まさかの身内の登場で真逆の状態になりそうだった。嫌な予感で頭がおかしくなりそうだ。シャロンは気づいているのだろうか?視線が私よりも弟に向いていることを。
何より私はさっきから考えたくもない思考が頭の中を過ぎって仕方ない。
シャロンの本当の恋の相手が私ではないかもしれないと。
密かに出会った時から疑問がなかったわけじゃない。関わりのなかったシャロンが、何故私に一途で純粋な好意を抱き続けてくれたのか。自分に記憶がないだけで、何かシャロンに対してしたことがあったのかもしれないなんて最近は都合よく考えていた部分はあったが、人違いなんてことは何一つ考えもしなかった。
もし私に好意を抱いたきっかけが弟の出来事だった場合、私へのシャロンの好意は消え失せる可能性もあるんじゃないか?
死にたいほどの出来事から助けられたなんて……それは好意を持ってもおかしくはない。寧ろその出来事に打ち勝つどころか私はシャロンを守れなかった立場だ。勝ち目はあまりにも薄い。過去に戻れるなら使用人たち以前にシャロンをいじめた者たちをこらしめてやるというのに。
しかしそれは不可能。そうなると今私ができるのは弟にシャロンを諦めさせること。
シャロンに惹かれるのはよくわかるが、どう足掻こうとシャロンと婚約者になれたのは私だ。二度と手放すなんてことはしたくない。いや、手放すつもりは全くない。
「兄様が人を幸せにできるの?必要最低限人との関わりを絶ってきた兄様が」
「それは否定しないが、シャロンを幸せにしたい気持ちは……いや幸せにするつもりで今隣にいる」
公爵の立場というのは人間の嫌なところばかり見えて嫌って遠ざけてきたのは事実だ。だから弟が言いたいことは理解できる。それでもシャロンを幸せにしたいこの気持ちに嘘はない。そして、これは我儘でもあるが幸せにするのは私でありたい。いや、そうさせるつもりだ。
「……さすがシャロンさん……兄様をここまで惚れさせちゃうなんてね。でも兄様以上に僕はずっと想いを抱いていたから諦める気はないよ。そのために身体を強くあろうと今まで頑張って来たんだから。シャロンさんをしっかり守れる男になるために」
「バーン伯爵……僕ずっと勘違い、してたのに」
やめてくれ。頼むから。
「もしかして兄様と俺人違いしてたってこと?大丈夫!あの時は俺も家抜け出して兄様のふりして学園来てたし、シャロンさんも頭朦朧とした感じだっただろうからそうなりそうな気はしてたんだ。間違えて兄様に話しかけたりでもして傷つくこと言われたら申し訳ないなとは思ってたんだけど」
「う……実は話掛けられなくて頑張って物陰から見るくらいしか……」
二人で楽しそうに話さないでくれ。シャロン……私の方を……私だけを……
「兄様幼い頃から俺と同じ顔なのに近寄れない雰囲気醸し出してたもんね」
「き、緊張して話せなかったというか……」
「素直に怖かったでいいんだよ?シャロンさんは優しいなあ」
「そんなことは……」
私だけを見てくれ……っ私の悪口でもなんでも私について好きに言ってくれていい、だから……だから……
「悪い、が。時間があまりないんだ。今日の話はこれくらいにしてくれ」
「……そっか。うん、まあ急に来たし、シャロンさんも戸惑うよね。目的はシャロンさんだけど、寄るところもあるし今回は兄様に譲るよ。じゃあね、兄様、シャロンさん」
「あ、はい!また……」
「ああ」
結局我慢できず邪魔をしてしまった。これ以上シャロンが弟に目を向けて話すのを見ていたら気が狂いそうだったから。
「あの、公爵様」
「悪い、邪魔をしたな」
また公爵様と呼び名が戻っていることが心の距離を遠ざけられているようでより不安になる。どうしたら私はシャロンを手放さずにいられるのだろうか?
考えたくもないが、もしシャロンが弟を選んだ時はきっと私はシャロンを……
何より私はさっきから考えたくもない思考が頭の中を過ぎって仕方ない。
シャロンの本当の恋の相手が私ではないかもしれないと。
密かに出会った時から疑問がなかったわけじゃない。関わりのなかったシャロンが、何故私に一途で純粋な好意を抱き続けてくれたのか。自分に記憶がないだけで、何かシャロンに対してしたことがあったのかもしれないなんて最近は都合よく考えていた部分はあったが、人違いなんてことは何一つ考えもしなかった。
もし私に好意を抱いたきっかけが弟の出来事だった場合、私へのシャロンの好意は消え失せる可能性もあるんじゃないか?
死にたいほどの出来事から助けられたなんて……それは好意を持ってもおかしくはない。寧ろその出来事に打ち勝つどころか私はシャロンを守れなかった立場だ。勝ち目はあまりにも薄い。過去に戻れるなら使用人たち以前にシャロンをいじめた者たちをこらしめてやるというのに。
しかしそれは不可能。そうなると今私ができるのは弟にシャロンを諦めさせること。
シャロンに惹かれるのはよくわかるが、どう足掻こうとシャロンと婚約者になれたのは私だ。二度と手放すなんてことはしたくない。いや、手放すつもりは全くない。
「兄様が人を幸せにできるの?必要最低限人との関わりを絶ってきた兄様が」
「それは否定しないが、シャロンを幸せにしたい気持ちは……いや幸せにするつもりで今隣にいる」
公爵の立場というのは人間の嫌なところばかり見えて嫌って遠ざけてきたのは事実だ。だから弟が言いたいことは理解できる。それでもシャロンを幸せにしたいこの気持ちに嘘はない。そして、これは我儘でもあるが幸せにするのは私でありたい。いや、そうさせるつもりだ。
「……さすがシャロンさん……兄様をここまで惚れさせちゃうなんてね。でも兄様以上に僕はずっと想いを抱いていたから諦める気はないよ。そのために身体を強くあろうと今まで頑張って来たんだから。シャロンさんをしっかり守れる男になるために」
「バーン伯爵……僕ずっと勘違い、してたのに」
やめてくれ。頼むから。
「もしかして兄様と俺人違いしてたってこと?大丈夫!あの時は俺も家抜け出して兄様のふりして学園来てたし、シャロンさんも頭朦朧とした感じだっただろうからそうなりそうな気はしてたんだ。間違えて兄様に話しかけたりでもして傷つくこと言われたら申し訳ないなとは思ってたんだけど」
「う……実は話掛けられなくて頑張って物陰から見るくらいしか……」
二人で楽しそうに話さないでくれ。シャロン……私の方を……私だけを……
「兄様幼い頃から俺と同じ顔なのに近寄れない雰囲気醸し出してたもんね」
「き、緊張して話せなかったというか……」
「素直に怖かったでいいんだよ?シャロンさんは優しいなあ」
「そんなことは……」
私だけを見てくれ……っ私の悪口でもなんでも私について好きに言ってくれていい、だから……だから……
「悪い、が。時間があまりないんだ。今日の話はこれくらいにしてくれ」
「……そっか。うん、まあ急に来たし、シャロンさんも戸惑うよね。目的はシャロンさんだけど、寄るところもあるし今回は兄様に譲るよ。じゃあね、兄様、シャロンさん」
「あ、はい!また……」
「ああ」
結局我慢できず邪魔をしてしまった。これ以上シャロンが弟に目を向けて話すのを見ていたら気が狂いそうだったから。
「あの、公爵様」
「悪い、邪魔をしたな」
また公爵様と呼び名が戻っていることが心の距離を遠ざけられているようでより不安になる。どうしたら私はシャロンを手放さずにいられるのだろうか?
考えたくもないが、もしシャロンが弟を選んだ時はきっと私はシャロンを……
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