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公爵様に意を決して頬へのキスをして数日後、リードから一日僕とデートするように言われたという公爵様がやってきた。

「休暇はこの間終わったばかりでは……?」

「後で一気に片付ければ問題ないものばかりだから、少し耐性をつけろと言われたんだ」

「耐性……?」

「恋愛耐性が無さすぎるらしい。シャロンのことだとポーカーフェイスが全然できてないと」

恐らくリードと二人の間で何かあったことはわかったけど、僕のことでポーカーフェイスできないことについてはともかく、恋愛耐性ってデートでどうにかなるものなんだろうか?

「それはデートで直るものなんですか?」

「わからない……。どんな感情にしても人に好意を持ったこと自体シャロンが初めてなんだ」

「そ、そうですか」

少し嬉しく感じてしまったが、同時に寂しい人生だったんだなと公爵様に同情心もわく。親や周りに避けられてきた僕だって兄やリードと種類は違えど好意を抱いた経験はいくらでもあるのに。公爵様のことももちろん含めて。

「表情を消すことなんて簡単だと思っていたんだが……シャロンへの想いを自覚してからは顔が緩みやすくなったみたいだ。嫌ではないんだがな、時に引き締める必要もあるから自覚なく顔が緩む瞬間があるのは、あまり立場的によくはない」

そう聞いて公爵という立場の大変さを改めて知る。表情すら自由にできない時があるなんて……同じ表情を保ち続けることってそんなに簡単なことではないだろうにすごいと思う。

今までの公爵様は普段から表情はなかったけれど、確かに最近は表情に変化がよく見られている。それも色々な表情が。

立場関係なく考えるならそうやって表情を変える公爵様の方が僕としてはいいなと思う。表情次第では感情の揺れ幅が酷くなるけどそれでも、気持ちが顔に出るというのは一つの安心材料でもあると思うから。

「何にしても命令でもあるし、僕でお役に立てるならデート、しましょうか。」

「いいのか?」

「僕も……してみたかったんで」

「そうか……!」

ああああああああ!確かに口角が上がって既に嬉しそうな表情が顔に現れてしまっている。デートできるというだけで嬉しそうな公爵様が少し可愛い……なんて思う僕はおかしいかな?

「急だったんで外出着にだけ着替えて王城入り口前で待ち合わせましょうか」

「ああ、私も改めて着替える」

「? それはもう外出着では……」

「シャロンに少しでもかっこよく見られたくてデート服がいくつかあってだな……せっかくならこの服以外のコーデもお披露目したいんだ。好みの服があれば知りたいと言うか……」

「なる、ほど……?」

公爵様って自分がイケメンで何でも似合うという自覚が実はなかったんだろうか?というか僕にかっこいいところを見せたくてそんなにデート服を知らないところで用意してたとは思いもしなかった。

こうやって公爵様について知っていく度に僕の公爵様への好意はより強くなるばかり。

公爵様の好意が僕の好意を包むくらいに愛してくれたら僕は自分のことも公爵様のこともも心から信じられるだろうか?
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