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「……なるほど、シャロンを狙っているというわけか」
公爵様……?何をどう聞き間違えたらそうなるんですか……?
「どういう聞き間違えたら……いえ、全然狙ってませんのでご安心を」
「シャロンに魅力がないとバカにする気か?」
これ多分公爵様の耳がおかしいと思うのは僕だけじゃないはず。まあ僕が魅力的に見えるなら目も……かな?
「バカになどしたつもりは……ただ好みが違うというだけです」
執事さんの返しがうまい。さすがにこの理由なら変な返しは……
「シャロンは好みのタイプ以前にタイプ関係なくそれを超越した存在だろう?お前の好みは知らないがシャロンをここまで見ておいて魅了されないなど医者に見てもらうべきだな。第二王子殿下の命令と言って傍にいようとする時点で既に魅了されているのは分かりきったこと。それで私の目を欺くつもりか?いくら狙おうとシャロンは私のだ」
もうこれは執事さんが可哀想なレベルである。今の公爵様に僕はどう見えているんだろうか?人間として見てもらえてない可能性も出てきた。なのに顔が熱くなるのを止められない僕は単純を通り越してバカなのかもしれない。
「……お似合いかと思いますが、離婚してるなら公爵閣下のものではないかと。それにシャロン様は物では……」
「シャロンの名前を呼ぶまでの仲とアピールするつもりか?」
んーこれはもう何言ってもダメな予感しかしない。名前なのはただ単に公爵夫人と呼ばれるわけにはいかず、男爵家からは結婚時に籍を抜いているから名前以外の呼び方がなかっただけだし、僕自身許可した上でこの執事さん以外にも名前で呼んでもらっている。
でもそれを説明するわけには……というかこれってもしかしなくても嫉妬なんだろうか?嫉妬じゃなかったらこんなに執事さんに突っかかることなんてないよね?普段なら勘違いと思うところだけど、あまりにしつこい感じを見てたら勘違いと思う方が難しいというか……うん。
「公爵様……その」
「ああ、シャロン……これがいるから私の名を呼ばないのか?」
もうここまで来ると嫉妬とか関係なく、盛大な勘違いをしてるのは公爵様の方である。名前呼びは普通に慣れないだけだとは考えてもらえないのだろうか……?
「い、いえ、まだ慣れなくて……その、執事さんとは何でもないのであまり責めないであげてほしいなと」
「慣れない君も愛らしいが、いずれ再婚するのだから今から慣れていかなくてはな。ああ、名前じゃなく旦那様と呼ぶのも悪くはない」
「だ、旦那様……?」
離婚してるという話になっているのにその呼び方を提案するのはどうなんだろう?とは思うけど、名前呼びとどっちがいいかと言われたら迷う……。使用人になった気分で旦那様と呼ぶイメージを考えたら旦那様の方が気分的には楽だろうか?
「可愛くて今すぐ攫ってしまいそうだ。キスは許されるだろうか?」
「だ、だめです!」
こんな風に急に甘くなる油断も隙もない公爵様を誰かなんとかしてほしい。これだから公爵様への耐性を先につけるべきなのかもしれないと悩む羽目になるのだ。でもこれに慣れてしまったら以前の公爵様に戻った時それこそ耐えられるかわからないのが怖いところである。
だってあまりにも以前と性格が違いすぎるから。人ってここまで変われるものなんだろうか?
公爵様……?何をどう聞き間違えたらそうなるんですか……?
「どういう聞き間違えたら……いえ、全然狙ってませんのでご安心を」
「シャロンに魅力がないとバカにする気か?」
これ多分公爵様の耳がおかしいと思うのは僕だけじゃないはず。まあ僕が魅力的に見えるなら目も……かな?
「バカになどしたつもりは……ただ好みが違うというだけです」
執事さんの返しがうまい。さすがにこの理由なら変な返しは……
「シャロンは好みのタイプ以前にタイプ関係なくそれを超越した存在だろう?お前の好みは知らないがシャロンをここまで見ておいて魅了されないなど医者に見てもらうべきだな。第二王子殿下の命令と言って傍にいようとする時点で既に魅了されているのは分かりきったこと。それで私の目を欺くつもりか?いくら狙おうとシャロンは私のだ」
もうこれは執事さんが可哀想なレベルである。今の公爵様に僕はどう見えているんだろうか?人間として見てもらえてない可能性も出てきた。なのに顔が熱くなるのを止められない僕は単純を通り越してバカなのかもしれない。
「……お似合いかと思いますが、離婚してるなら公爵閣下のものではないかと。それにシャロン様は物では……」
「シャロンの名前を呼ぶまでの仲とアピールするつもりか?」
んーこれはもう何言ってもダメな予感しかしない。名前なのはただ単に公爵夫人と呼ばれるわけにはいかず、男爵家からは結婚時に籍を抜いているから名前以外の呼び方がなかっただけだし、僕自身許可した上でこの執事さん以外にも名前で呼んでもらっている。
でもそれを説明するわけには……というかこれってもしかしなくても嫉妬なんだろうか?嫉妬じゃなかったらこんなに執事さんに突っかかることなんてないよね?普段なら勘違いと思うところだけど、あまりにしつこい感じを見てたら勘違いと思う方が難しいというか……うん。
「公爵様……その」
「ああ、シャロン……これがいるから私の名を呼ばないのか?」
もうここまで来ると嫉妬とか関係なく、盛大な勘違いをしてるのは公爵様の方である。名前呼びは普通に慣れないだけだとは考えてもらえないのだろうか……?
「い、いえ、まだ慣れなくて……その、執事さんとは何でもないのであまり責めないであげてほしいなと」
「慣れない君も愛らしいが、いずれ再婚するのだから今から慣れていかなくてはな。ああ、名前じゃなく旦那様と呼ぶのも悪くはない」
「だ、旦那様……?」
離婚してるという話になっているのにその呼び方を提案するのはどうなんだろう?とは思うけど、名前呼びとどっちがいいかと言われたら迷う……。使用人になった気分で旦那様と呼ぶイメージを考えたら旦那様の方が気分的には楽だろうか?
「可愛くて今すぐ攫ってしまいそうだ。キスは許されるだろうか?」
「だ、だめです!」
こんな風に急に甘くなる油断も隙もない公爵様を誰かなんとかしてほしい。これだから公爵様への耐性を先につけるべきなのかもしれないと悩む羽目になるのだ。でもこれに慣れてしまったら以前の公爵様に戻った時それこそ耐えられるかわからないのが怖いところである。
だってあまりにも以前と性格が違いすぎるから。人ってここまで変われるものなんだろうか?
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