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その後数日経ったものの、急に自信をつける方法などあるはずもなく、現在は本当に自分に自信をつけることが一番にすべきこととして正解なのか疑問を抱く日々となっている。その理由は単純に僕が公爵様に耐性が無さすぎたからだ。
「今日はシャロンにこのネックレスを用意したんだ。公爵の家紋が入っているから牽制になるだろう」
「えっと……」
牽制とは誰に対して?と言いたいのは山々だけど、公爵様のほんのり暗い瞳とどこか満足気な表情を見ると何も言えない。この数日間公爵様と二人になることが多いんだけど、公爵様はあからさまに触れることはないものの異様に僕に近く、プレゼントを来るたびに大量にくれて王城で貸してもらっている自室はこの数日間で公爵様のプレゼントで埋まっている。
そのせいか常に公爵様が近くに感じられて自信をつけるどころじゃないと思ったわけだ。何よりあからさまではないものの身につける系のプレゼントは全て公爵様の手によってつけられるので顔が近づくほどに心臓が壊れそうである。
それと会うたびに公爵様の僕を見る目が少し怖く感じるのも原因かもしれない。嫌な感じではないんだけど……なんというか説明が難しい。リードと話せればわかってくれるかなとは思うけど、公爵様を見てると他の人の話題を出したらいけないような気がするのはなんでだろう?
「あ、もしかしてこの色嫌いか?なら他にもあるから一緒に選ぼう。シャロンは何でも似合うからな」
「そ、そんなことないです!この色も素敵だと思うんですけど最近貰いすぎだなって……」
少しでも言い淀めばいくつだって色違いのデザインから形の違うものまでたくさん出てくるプレゼント。今までの公爵様らしからぬと言えばそれはそうなんだけど、離婚話から変わった時とはまた違った一面な気がしている。
このまま今の公爵様の変わりようを放置していたら危ういようなそんな一面が……。だからまずはプレゼントを控えてもらうべきかなと考えたんだけど……。
「シャロンは公爵夫人なんだからこれくらいのプレゼントは当然だろう?」
「離婚したからそれは……」
「再婚すれば一緒だから心配はいらない」
離婚が本来成立してないのを公爵様は知らないはずだ。なのに僕を公爵夫人として扱う公爵様はどこかおかしい。僕を想ってくれている感じはあるんだけど、謁見の日前後とはどこか違う気がするのは気のせい……なのかな?
「公爵様は……」
「そうだ。シャロンは私の妻なんだから私の名前を呼ばないと……話し方だってあの謁見のときのようにしてくれていいんだぞ?」
「いや、でも今は」
「第二王子のことは名前で呼んでいただろう?実はとても羨ましかったんだ」
私の妻発言はともかく、リードのことを名前で呼んでいただけで公爵様が羨ましがっていたことには驚く。正直僕なんかに名前を呼ばれても大抵の人は生意気だと思われそうだし。悲しいことに身分的な問題で。
「じ……ジーン……さま?」
「様もいらないが十分嬉しい。名前を呼ばれただけなのにシャロンと心が縮まった気がする。愛しくてどうにかなりそうだ。シャロン」
少し緊張しながらも公爵様が願うならと呼んでみればそれはそれは綺麗な笑みを浮かべて公爵様は喜んでくれた。だが、その笑みを見て僕は本当に公爵様の願い通り名前を呼んだことは正解だったのか分からなくなる。
だってその笑みはまるで僕を捕まえたくてしょうがないという捕食者のようなそんな表情だったから……。
「今日はシャロンにこのネックレスを用意したんだ。公爵の家紋が入っているから牽制になるだろう」
「えっと……」
牽制とは誰に対して?と言いたいのは山々だけど、公爵様のほんのり暗い瞳とどこか満足気な表情を見ると何も言えない。この数日間公爵様と二人になることが多いんだけど、公爵様はあからさまに触れることはないものの異様に僕に近く、プレゼントを来るたびに大量にくれて王城で貸してもらっている自室はこの数日間で公爵様のプレゼントで埋まっている。
そのせいか常に公爵様が近くに感じられて自信をつけるどころじゃないと思ったわけだ。何よりあからさまではないものの身につける系のプレゼントは全て公爵様の手によってつけられるので顔が近づくほどに心臓が壊れそうである。
それと会うたびに公爵様の僕を見る目が少し怖く感じるのも原因かもしれない。嫌な感じではないんだけど……なんというか説明が難しい。リードと話せればわかってくれるかなとは思うけど、公爵様を見てると他の人の話題を出したらいけないような気がするのはなんでだろう?
「あ、もしかしてこの色嫌いか?なら他にもあるから一緒に選ぼう。シャロンは何でも似合うからな」
「そ、そんなことないです!この色も素敵だと思うんですけど最近貰いすぎだなって……」
少しでも言い淀めばいくつだって色違いのデザインから形の違うものまでたくさん出てくるプレゼント。今までの公爵様らしからぬと言えばそれはそうなんだけど、離婚話から変わった時とはまた違った一面な気がしている。
このまま今の公爵様の変わりようを放置していたら危ういようなそんな一面が……。だからまずはプレゼントを控えてもらうべきかなと考えたんだけど……。
「シャロンは公爵夫人なんだからこれくらいのプレゼントは当然だろう?」
「離婚したからそれは……」
「再婚すれば一緒だから心配はいらない」
離婚が本来成立してないのを公爵様は知らないはずだ。なのに僕を公爵夫人として扱う公爵様はどこかおかしい。僕を想ってくれている感じはあるんだけど、謁見の日前後とはどこか違う気がするのは気のせい……なのかな?
「公爵様は……」
「そうだ。シャロンは私の妻なんだから私の名前を呼ばないと……話し方だってあの謁見のときのようにしてくれていいんだぞ?」
「いや、でも今は」
「第二王子のことは名前で呼んでいただろう?実はとても羨ましかったんだ」
私の妻発言はともかく、リードのことを名前で呼んでいただけで公爵様が羨ましがっていたことには驚く。正直僕なんかに名前を呼ばれても大抵の人は生意気だと思われそうだし。悲しいことに身分的な問題で。
「じ……ジーン……さま?」
「様もいらないが十分嬉しい。名前を呼ばれただけなのにシャロンと心が縮まった気がする。愛しくてどうにかなりそうだ。シャロン」
少し緊張しながらも公爵様が願うならと呼んでみればそれはそれは綺麗な笑みを浮かべて公爵様は喜んでくれた。だが、その笑みを見て僕は本当に公爵様の願い通り名前を呼んだことは正解だったのか分からなくなる。
だってその笑みはまるで僕を捕まえたくてしょうがないという捕食者のようなそんな表情だったから……。
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