上 下
23 / 50

23

しおりを挟む
……とまあ、二人のバトルはさておき、何故こんな状況なのかを知りたい。離婚成立と王城に住むことが決定したことを伝えに来るにしてもとんでもない四人で来る必要はないし、これからの挨拶にしても僕から行くべき身分だし、公爵様に関しては、本当にわからない。

本当に僕に会いに毎日来るつもりなんだろうか?

「ってこんな話ばかりしてもシャロンが疲れるだけだよね。本当は僕だけでよかったんだけど、兄上と父上は一度時間があるからせっかくだしシャロンと話してみたかったから着いてきたのと、公爵は勝手に着いてきた」

「その、僕と話すためにご足労いただきありがとうございます」

「気に負う必要はないよ。リードの親友にずっと会いたかったんだよね。流石に学生時代に会うには気を使わせちゃうと勉強にも影響与えそうだし遠慮してたけど」

「そ、それはお気遣いいただきありが……」

「でも、もっと早く会えれば辛い想いさせずに済んだかな?」

「え、え?」

「王太子殿下!」

にっこりと笑う王太子殿下の顔が近づいて驚きはしたものの、すぐ王太子殿下の顔は身体ごと離れた。その理由は単純に公爵様が王太子殿下を後ろに引っ張ったからだ。

「おっと……乱暴だなあ」

「さすがに王太子殿下でもシャロンに手を出すなら……」

「離婚したなら問題ないと思うけど?」

「すぐ再婚するので!」

「それは君の願望じゃないか」

リードの次は王太子殿下VS公爵様……ってこれもうなんの闘いなんだろうか?リードちょっと楽しそうにしてるの気付いてるからね?公爵様が再婚を譲らない気持ちは嬉しいけど、王太子殿下は多分からかってるだけだからそこまで本気にしなくても……と思うけど、謁見の時から変わらぬ笑みだからわかりづらい感じはある。

からかってると判断したのはリードが楽しそうにしてるのと、王太子殿下がほぼ初対面の僕を本気で口説くはずがないと確信してるからだ。自分の平凡な容姿は一目惚れとかには向かないことは自覚している。それが同性相手なら尚更。

正直ここまで公爵様が僕に好意を持ってくれたことが奇跡なくらいだ。だからこそ逆にこの平凡顔の珍しさに好意を勘違いしている可能性もちょっと考えたり……。公爵様は人を避ける傾向にある人だから好みが自分でもよくわかってない可能性はあるしね。

たまたま好意を伝える機会が僕にあったから、それが公爵様にとっては物珍しさがあったのではと思わなくもない。つまり僕じゃなくてもきっかけさえあれば……と考えてしまう。いつか正気に戻って結婚直後の公爵様に戻るんじゃと。

こんなにも僕との再婚を望む公爵様を見ながらもどうしても自分に自信が持てないのは、信じることで傷つくのを怖がっているせいだとはわかっている。それが爆発して公爵様にも八つ当たりをしてしまったぐらいなのだから。

それでもだからだろうか、疑う反面あんなに僕に八つ当たりされながら、それでもまだ僕を想ってくれる様子からその想いを信じたいと思う自分がいるのは。

しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

【完結】別れ……ますよね?

325号室の住人
BL
☆全3話、完結済 僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。 ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。

美形な幼馴染のヤンデレ過ぎる執着愛

月夜の晩に
BL
愛が過ぎてヤンデレになった攻めくんの話。 ※ホラーです

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。

石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。 雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。 一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。 ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。 その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。 愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話

ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。 βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。 そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。 イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。 3部構成のうち、1部まで公開予定です。 イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。 最新はTwitterに掲載しています。

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました

ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。 「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」 ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m ・洸sideも投稿させて頂く予定です

処理中です...