人間嫌いの公爵様との契約期間が終了したので離婚手続きをしたら夫の執着と溺愛がとんでもないことになりました

荷居人(にいと)

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お見舞い……どうしようかなと悩む。お兄様は別にいいんだけど、公爵様に会う気持ちがそれまでに整うかが問題である。いや、ただでさえ迷惑掛けっぱなしなのに断る方が気になりすぎて逆に駄目な気さえしてきた。

「ちなみに二人はいつ頃来る予定かな?」

「……実を言うと後1時間もしないうちに来る予定だね」

流石にあっという間すぎて情報を処理しきれない可能性が高すぎる。断らないにしてももう少し間はほしい……。

「もう少し気持ちを整理する時間だけ欲しいかな……?」

「ならすぐ伝言を伝えるように手配するよ。どちらにしても起きたばかりだし、負担にならないよう面会時間は減らすようにしとくから無理はしないようにね」

「リード、ありがとう。忙しいだろうにごめんね」

「大丈夫。兄上がぼくの分も受け持ってくれてるから。ぼくの大事な親友が大変なときに無理するんじゃないって」

どことなく嬉しそうなリードを見て兄弟の仲がいい様子が伺える。ちなみにリードが兄に対して禁断の愛があるというわけではない。リードの好きな人は全くの別問題だから。

王太子殿下は実際会ってずっと笑ってるだけの、何を考えているかわからない印象が強いけど、こういうときに気遣ってくれる人ならリードを大切に想っている家族なのがわかる。

「僕も王太子殿下にお礼を言わないとだね」

「ぼくも改めてお礼を言いたいし、元気になったら一緒に言おう!」

「う、うん、そうだね」

よくよく考えたらこれじゃあ一人はリードとしても王族二人との時間をとることになりそうで、これはこれで緊張することに気がついた。王太子殿下とは謁見の場で対面しただけだし……。まあ悪い人ではないのは承知の上なんだけど、それでも立場的に緊張するのは仕方ないと思う。

一人でお礼を言いにいくことにならなかっただけ良かったのかもしれないけど……。

「さて、これ以上ぼくがいても休まらないだろうし、伝言も伝えなきゃだからゆっくりしてて。着替えもそのままでいいからとにかく安静第一だよ!」

「うん、ありがとう」

リードを気遣わせちゃった気もするけど、一人になりたい気分もあったからタイミングとしては良かったように思う。公爵様も来るのに寝巻きのままかとは思うもののリードの目は真剣だったから従うことにする。

どちらにしてもここじゃどこに着替えがあるのか、着替えがあっても勝手に着るのは場所的に怖すぎるよね……値段が。

だって自分の服ならともかく王城の服って
絶対安いのはないだろうし……あ、この寝巻きって……見覚えないけど考えないでおこう、うん。

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