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「ああああああ……っ」

目が覚めた僕が最初にしたことは頭を抱えることだった。別に酔ってるとかそういうのではないので全部覚えているわけで……僕は公爵様になんて態度を!それに初めて人を殴ってしまった。正直いっぱいいっぱいで……なんて言い訳にもならない。それにここは公爵家でもないから多分、王城だよね?

謁見場で寝る人なんて前代未聞すぎる……!

あの後どうなったのか予想もできない。僕が眠ってしまった後どうなったか聞きたいけど……まだ起きたばかりだからもう少し時間がほしい。公爵様どころか王族の前で本当僕は何をやっているんだろう……。

僕が一人で悶えていると急に扉が開く。

「あ、ごめん。起きてたんだね」

ノックもなく入ってきたのはリードだ。僕が起きていたとは思わず勝手に入ってきて悪いと思ったのか、すぐ謝ってくれるけど、言い方は軽い。でも謝りたいのは寧ろ僕の方なので、気になんてするわけがなく……

「リードごめん!僕寝ちゃうなんて……!」

「大丈夫大丈夫!まさか謁見の場で寝る人がいるとは思わなかったけど」

「うう……っ」

本当に気にしてないだろうリードはケラケラ笑いながら僕をからかう。しかし、それに対して僕は言い返す言葉もない。

「父上もお兄様も怒ってないから安心するといいよ。あの場にはわざわざそのことを漏らすような馬鹿はいないし、信用できない罪人たちは今城の牢屋だから、このことが広まることもないしね」

「本当にありがとう……」

こうは言ってるけど、リードがなんとかしてくれたような気がする。本当にいい親友を持ったと思うけど、頼ってばかりで申し訳ない。いつかお礼ができたらいいんだけど……。

「これくらい何でもないよお~!で、体調とかは大丈夫そう?」

「え?寝てただけだし別に……」

「あーもしかして覚えてないのか」

リードの言葉に僕は首を傾げる。なんで寝ていただけで体調を心配されるのかと。それに覚えてないことって何のことを言ってるのか全くわからない。

「僕なんか忘れてる?」

「もうごっそりと忘れてるねえ。これでも眠った後シャロンが高熱は出るし、意識不明の重体になるしで心配したんだよ?」

「え」

思ったより大事で驚きの声をあげる。身体もなんだかすっきりした感じだったから、起きた時はやらかしたことばかりが頭を駆け巡っていたし。

「だから今日も様子を見に来ただけなんだ。まだ起きてるとは思わなかったから勝手に入ったんだけど……」

「ごめん……全然覚えてない」

「まあ意識ない中で大分苦しそうだったし、覚えてなくてよかったかもね」

確かに心配させたのに覚えてないのはいいのかって感じはあるけど苦しい記憶はない方が……いい、のか?

「体調も悪くないなら、目を覚ました日に一日だけ安静して問題なければ動いてもいいみたいだからゆっくりしたらいいよ」

「そうなんだ……ありがとう」

「ゆっくりするなら今日も見舞客が来る予定だったけどキャンセルしとく?」

「見舞客?」

意識がない間僕のために王城まで来てくれた人がいたってことかな?さすがに来てくれるのに断るのは悪い気がするけど……。というか今日

「見舞客といってもシャロンの家族と、バンデージ公爵だね」

「家族……?お兄様だけでなく?それに公爵様まで?」

「ぼくもびっくりしたんだけど、王城に行く理由ができたから王族と繋がりでもできたら……なんて甘い考え丸出しだったからお兄さん以外入城は拒否したよ。あ、その時点で見舞客にはならないか。お兄さんはシャロンの容態が落ち着いたと聞いてちょうど今日来る予定だったんだよね。バンデージ公爵は今のところ毎日来てる」

「さすがに身内として恥ずかしいな……。文句とか言って迷惑かけてたらごめんね?さすがに王族に言う度胸はないと思うけど。でも公爵様が毎日……」

身内の恥やら公爵様が毎日来てくれた嬉しさやらもう頭の中がぐちゃぐちゃだ。正直もう起きた時から冷静になれてなかったけれど。





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