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モブ恋愛年齢制限なし
側近番外編5~前編・南国の強制ラブの罠(スイレン視点)~
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私とリュカは陛下より、南国の長期休暇を得た。表面上は周りがうるさいので、護衛という形らしいが、陛下は誰より強い。正直護衛などいらない。
側近候補は誰もが陛下を守るための努力に力を注ぎすぎるからなれないと気づかないものか。まあ、私はたまたま他の面で優秀だったようで、リュカがこの包帯をくれたからこそ選ばれたわけだが。
まさか兄上様の瞳と似ているからなれずじまいとは思わなかった。リュカは陛下に聞いたわけではないそうだが、まあ、包帯で目を隠して間もなく選ばれたのだから正解としか思えない。
包帯をもらう前からリュカが気になっていて、見つかれば声をかけるのが幸を成したとも言える。今ではそのリュカを恋人にでき、私は幸福者と言えるだろう。リュカに恋をした理由はまたいつか・・・。
そんな愛しいリュカが私の隣でようやく目を覚ましたようだ。寝顔も、寝起きもリュカは可愛い。休暇はプライベートとして私とリュカはいつもと違い、目も顔もさらけ出している。
「ん・・・れん?」
「起きたか?」
「うーん・・・」
すりすりと私の胸で眠そうにすり寄るリュカ。こうも二人で起きてゆっくりは中々できない。何せ、休みがあまり被らないせいだ。
最近は影の側近非公式の弟様のおかげで、同じ日の休みをとりやすくなったわけだが。
「このままゆっくりもいいが、海はいいのか?」
「うみ・・・」
寝起きでうまく話せないのか、少し舌足らずになりながらも海に反応してくれたようだ。この南国の海は他と違うらしいと聞いているが、リュカは何か知っているのだろうか?
こういった情報に関してリュカは誰よりも優秀だろう。情報収集は陛下が誰から聞こうと必ずリュカに確認させるほどに信頼は厚い。時に調べ済みであったりと仕事は手を抜かず、暇さえあれば何かしら情報収集。実は趣味でもあるのでは?と思う時がある。
今回南国の件も休暇がもらえるとは思わなかっただろうが、南国についてのことはリュカから聞いたのではと思っている。そこに陛下が興味を抱いた何かがあるのでは、と。
南国で有名なのは海。どうやら特別な海というのは聞いているが・・・。
「観光名所にもなる特別な海なのだろう?」
「とくべつ・・・まあ、特別だ。海の色の光景も特別だけど、一部の人にとってはそれ以上に特別。」
どうやら覚醒してきたようだ。こちらを見ながら話始めてくれる。
「一部の人?」
「俺たちみたいな恋人とか夫婦かな?通称愛の海と言われてる。その海に入ると愛が深まるとか」
「それはぜひ、リュカと入りたいな」
「た、多分、陛下もそのつもりで俺たちを連れてきてくれたのかなって。俺もレンと入りたい」
頬を赤らめながら言うリュカを見て、入らずとも愛が深まってるななんて思いながらも、陛下の好意を無下にしないためにも支度をする。
「陛下たちの邪魔はしないような場所を探さなければ」
「実はよくここに訪れるという人が友人に話していた場所があるからそこに行こうと思うんだ。中々の隠れスポットみたいで」
「案内できそうか?」
「だいたいは話でわかってるから多分」
さすがは陛下の最初に選ばれた側近、どこまでも調べ尽くしているようだ。隠れスポットを陛下には伝えていないんだろう。まあ、俺たち用に調べた事柄なのかもしれない。
キョロキョロと辺りを見回しながら、迷うことなく向かうリュカ。しばらくすると見えてきたのはひとつ不自然に主張するような岩と共にある海。
なるほど、太陽がピンクの海に当たることで輝いて見え、岩はハートの形に見えなくもない。まさに隠れスポットか。にしても不自然な岩だが、光景としては愛の海に相応しい景色だろう。
「綺麗だな」
「うん・・・陛下たちも見えないし、ここで入ろうか」
「ああ」
更衣室もないので、バッサリとその場で服を脱いで水着に着替える。私たちの仲で今更恥ずかしがることはしない。人がいれば、水着の格好なんて許しもしないが。陛下も似たような考えをしたからこそ貸し切りなのだろう。つくづく陛下には感謝の言葉でいっぱいになることがある。
恥ずかしくなることはないが、リュカの身体には情事じゃなくても惹かれるな。
「あまり、ジロジロ見るな!入るぞ」
「すまない」
さすがに見すぎたようだ。リュカに手を引っ張られて浜から海へと入っていく。ピンクの海は確かに特別の海と言える。
「気持ちいい・・・」
「確かに」
暑い南国でのひんやりとした海は確かに気持ちがいい。互いに少し泳いでみるなどして海を堪能する。リュカが楽しそうなら何よりだ。
しかし、愛を深めるというなら遊ぶだけとも思えない。これなら恋人や夫婦にとって特に特別になるとは言いにくい。
動きすぎたのだろうか?身体が熱くなってきた。いつもならこれくらい問題ないはずなんだが、海だと知らない疲労でも蓄積するんだろうか?
「あっつい・・・」
「熱中症になれば大変だ。一旦出て・・・ん?」
リュカの肩を抱き出ようとすれば、不自然に出させないようにした流れにより戻れない。身体は次第に熱くなり始め、もしかしてと行き当たった仮説。
「愛の海・・・そういうことか」
「罠にでも嵌められた気分だな」
どうやら今から私たちは強制的に海で愛を深めることになりそうだ。私たちは見つめ合って始まりを告げるキスをした。
側近候補は誰もが陛下を守るための努力に力を注ぎすぎるからなれないと気づかないものか。まあ、私はたまたま他の面で優秀だったようで、リュカがこの包帯をくれたからこそ選ばれたわけだが。
まさか兄上様の瞳と似ているからなれずじまいとは思わなかった。リュカは陛下に聞いたわけではないそうだが、まあ、包帯で目を隠して間もなく選ばれたのだから正解としか思えない。
包帯をもらう前からリュカが気になっていて、見つかれば声をかけるのが幸を成したとも言える。今ではそのリュカを恋人にでき、私は幸福者と言えるだろう。リュカに恋をした理由はまたいつか・・・。
そんな愛しいリュカが私の隣でようやく目を覚ましたようだ。寝顔も、寝起きもリュカは可愛い。休暇はプライベートとして私とリュカはいつもと違い、目も顔もさらけ出している。
「ん・・・れん?」
「起きたか?」
「うーん・・・」
すりすりと私の胸で眠そうにすり寄るリュカ。こうも二人で起きてゆっくりは中々できない。何せ、休みがあまり被らないせいだ。
最近は影の側近非公式の弟様のおかげで、同じ日の休みをとりやすくなったわけだが。
「このままゆっくりもいいが、海はいいのか?」
「うみ・・・」
寝起きでうまく話せないのか、少し舌足らずになりながらも海に反応してくれたようだ。この南国の海は他と違うらしいと聞いているが、リュカは何か知っているのだろうか?
こういった情報に関してリュカは誰よりも優秀だろう。情報収集は陛下が誰から聞こうと必ずリュカに確認させるほどに信頼は厚い。時に調べ済みであったりと仕事は手を抜かず、暇さえあれば何かしら情報収集。実は趣味でもあるのでは?と思う時がある。
今回南国の件も休暇がもらえるとは思わなかっただろうが、南国についてのことはリュカから聞いたのではと思っている。そこに陛下が興味を抱いた何かがあるのでは、と。
南国で有名なのは海。どうやら特別な海というのは聞いているが・・・。
「観光名所にもなる特別な海なのだろう?」
「とくべつ・・・まあ、特別だ。海の色の光景も特別だけど、一部の人にとってはそれ以上に特別。」
どうやら覚醒してきたようだ。こちらを見ながら話始めてくれる。
「一部の人?」
「俺たちみたいな恋人とか夫婦かな?通称愛の海と言われてる。その海に入ると愛が深まるとか」
「それはぜひ、リュカと入りたいな」
「た、多分、陛下もそのつもりで俺たちを連れてきてくれたのかなって。俺もレンと入りたい」
頬を赤らめながら言うリュカを見て、入らずとも愛が深まってるななんて思いながらも、陛下の好意を無下にしないためにも支度をする。
「陛下たちの邪魔はしないような場所を探さなければ」
「実はよくここに訪れるという人が友人に話していた場所があるからそこに行こうと思うんだ。中々の隠れスポットみたいで」
「案内できそうか?」
「だいたいは話でわかってるから多分」
さすがは陛下の最初に選ばれた側近、どこまでも調べ尽くしているようだ。隠れスポットを陛下には伝えていないんだろう。まあ、俺たち用に調べた事柄なのかもしれない。
キョロキョロと辺りを見回しながら、迷うことなく向かうリュカ。しばらくすると見えてきたのはひとつ不自然に主張するような岩と共にある海。
なるほど、太陽がピンクの海に当たることで輝いて見え、岩はハートの形に見えなくもない。まさに隠れスポットか。にしても不自然な岩だが、光景としては愛の海に相応しい景色だろう。
「綺麗だな」
「うん・・・陛下たちも見えないし、ここで入ろうか」
「ああ」
更衣室もないので、バッサリとその場で服を脱いで水着に着替える。私たちの仲で今更恥ずかしがることはしない。人がいれば、水着の格好なんて許しもしないが。陛下も似たような考えをしたからこそ貸し切りなのだろう。つくづく陛下には感謝の言葉でいっぱいになることがある。
恥ずかしくなることはないが、リュカの身体には情事じゃなくても惹かれるな。
「あまり、ジロジロ見るな!入るぞ」
「すまない」
さすがに見すぎたようだ。リュカに手を引っ張られて浜から海へと入っていく。ピンクの海は確かに特別の海と言える。
「気持ちいい・・・」
「確かに」
暑い南国でのひんやりとした海は確かに気持ちがいい。互いに少し泳いでみるなどして海を堪能する。リュカが楽しそうなら何よりだ。
しかし、愛を深めるというなら遊ぶだけとも思えない。これなら恋人や夫婦にとって特に特別になるとは言いにくい。
動きすぎたのだろうか?身体が熱くなってきた。いつもならこれくらい問題ないはずなんだが、海だと知らない疲労でも蓄積するんだろうか?
「あっつい・・・」
「熱中症になれば大変だ。一旦出て・・・ん?」
リュカの肩を抱き出ようとすれば、不自然に出させないようにした流れにより戻れない。身体は次第に熱くなり始め、もしかしてと行き当たった仮説。
「愛の海・・・そういうことか」
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