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モブ恋愛年齢制限なし
凹凸番外編1~新たな恋は博士の手で(???視点)~
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私は博士に作られた人造人間。笑うことも泣くことも驚くことだってできる。だけど、それは人がどのときどう反応すべきかというパターンに沿ってする顔の動きでしかなく、ココロがあるからできるわけじゃない。
どうも私はそのパターンすら、ズレているという。本で読んだ人の子は、捨てられた小さな生き物を見て可哀想に思い、勝手に家に連れては飼っていい?とお願いする。その時になぜか親の顔を不安そうに伺うらしい。
やればわかるだろうか?私の親は私を作った博士か、私の元にされた血の持ち主だ。だけど、会ったことはないがすごい人らしい。その人と同じようにドアを壊すこともでき、獣を投げ倒すことも簡単で、研究所の壁を渡り屋根の上にだって行ける私にはよくわからないけれど。
まあそんなわけで実行した。捨てられたかどうかわからないし小さくもない狼だったけど、まあいいかと暴れるのを無視しながら連れ帰り、ついドアを破壊してしまいながらその事実を博士に告げ、飼っていいか聞くも、やはり顔色を伺う気にはならない。
だって博士、また私が何かしてしまった時の遠くを見る目をしているから。
結局だめだと言われたので殺した。後で本の続きを読めば、その子も、だめと言われたらしく、泣きながら元の場所へ返すと書いてあった。けど、私は、狼が私に殺意を向けてきたし、戻してもその様子じゃ襲ってくるだろうからどうせ殺すことになるならとその場で殺した。
この本に書かれた人の子は、小さいとはいえ、殺意を向ける獣を泣く余裕すら見せて簡単に元に戻せたのだから獣の躾がうまいのかもしれない。私もまだまだ未熟だななんて博士に伝えたら微妙な顔をし、また遠くを見る目になった。
とりあえずこれがズレている一例。私にはよくわからない。『よくある泣ける物語』を読んで、ココロを知れるかと、少し違いはあれど同じことをしたつもりなのに。獣を従えたらわかるのだろうか。
本の続きを言えば、必死にその場に通うその子のがんばりに、親が仕方ないと飼うのを許すのだそうだ。喜びを見せたその子は獣と仲良く一緒に年をとり、ある日、その子を襲い来る暴走した魔法から守るため、その子に頭突きをして魔法から逃れさせ、代わりにその魔法に当たって命を落とす。最後はその子が感謝と悲しみにくれてこの命大事にするよと言って終わる話だ。
感想は、どうせ死ぬなら私が殺したのは正解じゃ?泣ける意味もわからなかった。何よりその子より小さい獣が人間を頭突き程度で逃がせるほど飛ばせる気がしない。
私は人造人間だけど元は人間で、血を分け与えてくれ『人間』に限りなく近い存在だと言われているから、自分より大きい猪すら頭突きで私を動かせないのに、自分より小さい存在にそんな力あるはずがない。
それを博士に話すと、『君の血は人間で、元の血の持ち主に近いのだから確かに人間に近いけれど、その本人が、人間を超越した人間だけど人間じゃない存在なんだから、比べちゃだめなんだな、多分』と言われた。よくわからない。
ココロとは難しい日々で、博士としばらく暮らしたある日、王宮という場所に博士が呼ばれ、私も着いていった。そこには私の元となった人の息子の王様という人がいて、私を見ては冷めた無の表情なのに、嫌そうにしているように見えた。
『この、母に似た生物はなに?』
『ま、まさか正夢!?妹!?〔番外編~あれは恐ろしいものだった~参照〕』
『兄上、落ち着いてください』
妹?兄上?という言葉に疑問を抱いては、博士が、あの二人は兄弟で、同じ血を持つ私は人造人間とはいえ、妹のような存在であると教えてくれた。気のせいか博士は王様に向けてキラキラとした目を向けている。
その博士は私を起動した時の目にそっくりで、暮らす内に私は博士の遠い目ばかりしか見なくなったなと思うと同時に、不思議と何かよく分からない嫌な感覚を感じて、膝を曲げ、立とうとしない博士の裾を掴んだ。
『? ミーシャどうしたんだな?多分』
『・・・よくわからないです』
小さいシャルラッテ、ミニのシャルラッテ、ミーシャといつしか名付けてくれた博士に作られたのもあるのか、時々口癖のように出るよくわからないというその言葉に、本当にわからないのかさえも、私にはよくわからない。
だっていくら人間に近くても私にはココロがないから。
そんな私が進化を遂げる日がやってきた。もしかしたらココロを知れるかもしれない。博士もキラキラと嬉しそうで、なんだか私もぽかぽか温まるようなそんな感覚を得る。
そうなったのも私が小さいだけでシャルラッテ様そっくりな顔で、王様のお兄さんと言う存在が私を怖がったことが博士にとっていい状況だったみたいだ。博士は私があの人たちの妹のような存在とは言ったけど、あの人たちはそれをよしとしないと雰囲気が言っているのがわかる。
ココロがない私でもわかった。
『陛下、陛下の血を分けてくだされば、そちらを元にすることで、シャルラッテ様の血が薄まり、顔つきも変わるでしょう!多分!ココロが形成されればこのままだと第二のシャルラッテ様になりかねませんが、どうしますか?多分』
『二人目の母そのものよりはマシか、血を与える』
私の元になっている血の人物は嫌われているのだろうか。だから博士も私じゃなく、王様にキラキラの目を向けるの?
この嫌な感覚が何かわからなくて気持ちが悪い。王様の血を使えば博士に・・・よくわからない感覚だ。
そして完成したのがその一ヶ月後。進化の日。博士は王様の血を持ってして血の記憶を魔法で凝縮し、ココロを作ったらしい。王様の血は、私の身体作りにも貢献した元の血の人物とは違い、消えぬ魔力で抜いた血すらも魔力を宿していてありえないと言いながら嬉しそうにするから、また嫌な感覚を得た。
時に強い魔力は記憶を宿すことがあるようで、正しく王様の魔力がそれだった。
ココロを知るにはこんな時こう思うことはこういう感情であるという知識ではなく、感じることで記憶するのがココロの近道なのだという。
記憶を持つ魔力をココロの発信元ととし、王様が感じて記憶してきた感情を私にインプットするのだとか。起動に必要な魔力とは別に断ち切る魔力を入れ込むことで身体に変化を与えてもおかしくないらしい。
元は魔法構成で出来た人造人間は、血の元の人間と同等、それ以上の魔力の影響を受けやすいらしい。だからこそ、低い魔力持ちを人造人間にしてしまえば、魔法ひとつ放たれるだけで、他人の魔力に影響されすぎて、何が起こるか予想できないから危険と博士は言っていた。
その点私は身体形成の血も、今から成されるココロ形成の血も、誰もその上にはいない人物と言ってもいいくらいらしいので、進化後も今まで通り問題はないみたいだ。
あるとすれば、進化するまでの経緯。身体形成の
血とココロの血が断ち切られているとはいえ、あくまで起動用に使われないようにするだけで混じることは可能みたいだ。だからこそ、顔も変われば、身体が大きくなることも、不便にはなるが、これより小さくなることもありえる。
でも、ココロを私は知りたい。博士も私で試したいと考えているのだから期待に応えたい。この感覚はなんなんだろう?ココロをしればわかるかな?
「始めるんだな、多分」
魔方陣が展開され、凝縮された魔力が宿った血の塊が私の中へ入っていく。瞬間、王様の幼い頃から私が見た王様の姿になるまでの強い記憶や感じてきた気持ち、感情のそのココロが流れ込んでくる。
私はどうも王様と大分相性がいいんだろう。王様の持つ暗い気持ちと幸せな気持ちは、王様が自らの兄を想う気持ちにどれも繋がっていて、私にとっての博士に感じている『気持ち』と類似し、理解ができた。
それでもまだ一部で、さらに辿る記憶で愛を繋げる二人の記憶は、博士の持つ本には乗っていない男同士のアレで、衝撃的だった。男同士のそれを見ながら、私は、お風呂の時に見た博士のモノを思い出し、大きさは気にしないから、お揃いのアレがほしいと思ってしまった。
だからだろうか。ココロ形成の血とわかる魔力ある血を感じて、次第に何か生えるような変な感覚がした。身体はただそこだけを作り替えられた、否、増やされたとすぐに気がついた。
王様のココロは私のありたい姿の道しるべのようで、少し違う。それでも次第に博士が愛しくて愛しくてたまらなくなり、愛されて犯されたいと、王様とは別のやり方で博士の私にしてほしいと『ぼく』は思った。これこそが感じて記憶する僕だけのココロ。
愛されたいと願ったためか、身体形成の血を感じ、次は胸がひそかに膨らんだ気がした。幼さから考えれば大きいかもしれない胸は、分かりづらい変化だ。別にわざわざいらないのに。
「博士」
「成功にしては変わりがなさすぎるんだな、多分」
「十分変わったよ、胸膨らんで、なんか生えた」
「生えたってまさかなんだな、多分」
「ぼく、主体的にもココロが王様だからか、男になった気が強いんだけど、身体は女のままな感じも消えないんだ」
「見た目は相変わらず幼女なんだな、多分。髪切っても顔だけ見たらボーイッシュな幼女でしかないんだな、多分」
「身体も調べて?博士」
幼女姿。これだけは変わらなかった。王様の兄、いや、早くルー兄様のように博士をぼくだけに余裕がなくなり必死になるそれに変えてしまいたいのに、これでは苦労しそうだ。
ゆっくりと脱いで誘ってみるも、ぼくからの思わぬ行動に何を思ったのか、博士の目はキラキラで、ぼくを研究材料としてしか見ない。
道のりは長そうだけど、逃がさないからね?博士。
博士への愛でできたココロに、博士はいつ気づくのか。僕の身体を研究の意味で見て記録するのに必死な博士に、熱の篭る視線を向け、僕は自然と笑みを浮かべる自分にはまだ気づけない。
気づけるのはココロが博士を欲し、王様、セト兄様の魔力の記憶で感じたように、兄上(博士)と離れるものかと同じ執着がココロの中に渦巻くそれだけ。
後日また王宮に呼ばれたことで、博士から話を聞く王様に目を向け、ぼくを見ない博士にムッとしてしていれば、ルー兄様がそれに気づき、セト兄様にこっそりと伝えたことで、二人からは前と違い、怯えや嫌な視線は感じられなくなっていた。
「僕の記憶で、そのココロが兄上に執着をもたらしたならすぐ破壊を命令していたけど必要なさそうだね」
「うん。ぼくにはぼくのココロを埋める存在がいるから。ルー兄様、セト兄様これからもよろしくお願いします。」
今なら人造人間で生まれ方は違うけど、同じ血を持つ兄弟として見てくれる?と、それらしく遠回しの言葉を言うことで別の緊張をするぼくがいた。
あの始めの日、嫉妬と知った感情と共に、この人たちに自分の存在を否定されたこと、知らず知らずのうちに傷つき、家族に否定されたようで悲しいという感情を知り、気になってしまっていたようだ。
それで気づいた。どうやらぼくはこの人たちに妹でも、弟でもいいから家族と認められたかったのだと。既にぼくは家族として見ていることに。博士の視線もぼくに驚いて釘付けだし、もやもやとした気持ちも消え、決定件のあるセト兄様の判断を仰いで、ただただ緊張を高める短く長い時間。
二人のお兄様は驚いて目を合わせ、笑った。ぼくを見る頃にはセト兄様は冷めた表情に戻っていたけど、雰囲気は優しい。
「いいよ、家族として非公式的にだけど認めよう。僕、兄になるなんて初めてだから、初めての兄からプレゼントを弟にあげよう。弟でいいんだよね?」
「家族と認められるならどちらでも。でも、僕はお兄様たちと同じでありたいから望むなら弟で」
「なら僕が認めた弟を多分博士にしか扱えないと判断し、互いに離れることを許さないという王命を与えよう」
「え?お、王命なんだな、多分。家族に認めたんじゃないのかな、多分。」
「認めたからこそ、トアの初めての弟への褒美王命だよ、多分博士」
「ありがとう!セト兄様、ルー兄様!」
「様はいらない。僕の弟なんだから」
「俺は何もしてないよ」
「セト兄!ルー兄!」
「「何?」」
「頑張って博士と、二人の関係みたいになれるよう頑張るね!」
「兄上と僕の情事の記憶もやっぱあるよね・・・。まあ弟だから応援するだけで罰は与えないであげるよ」
「できたばかりの母似の弟に知られてるってなんか恥ずかしいというかなんというか複雑だな。まあ見た目はともかく、夢〔番外編~あれは恐ろしいものだった~参照〕とは違う結果だし、いっか」
「何の話をしてるんだな!?多分!?」
ひとり、話のついていけない慌てて可愛い博士を余所に、非公式の家族でも会いやすいように影の側近とは名ばかりの地位がぼくに与えられた。
そして時々王命のため離れられない博士を引っ張り、セト兄様の命の元、犯罪者を蹴散し、捕獲する。何故かそのとき引っ張ってきた博士はボロボロで、慌てて魔法で治療を施すのが毎回のようにあった。
影であることで、表でセト兄様の側に付きっきりということはなく、影であるのにぼくの暴れようは目立ち、いつしか『悪魔の幼女ゴーレム』と長い二つ名を得た。
何故そんな名が?と言えば、博士が調べて話してくれる。銃というものを発砲されても、身体のどこに当たろうが、はじき返すことがゴーレムの由来らしい。身体はちゃんと子供肌で柔らかいからゴーレムみたいに固いとか思われるのはなんだか納得いかない。あんな魔法で包まれた鉛で穴が空く人間なんて軟弱すぎるだけじゃ?と思うだけだ。
ちなみに博士は心臓にあれを撃たれたら死ぬというので、絶対にあれからは守ろうと誓う。博士は博士だから軟弱でも仕方ない。
悪魔はセト兄様とルー兄様からプレゼントされた鎖のついた鎌で、鎖に贄(博士)を巻きながら、瀕死寸前で全員を生け捕りにした後、笑みを浮かべる姿が悪魔のようだ。らしい。博士は贄でないし、鎖に巻き付けて引っ張る方が闘いやすいだけだし、捕獲が終われば博士と二人の時間に戻れるのだから笑って何が悪い?
博士には鎖で巻いても、手足自由にしているのに何故毎回ボロボロなのか。ぼくの動きに合わせれば大丈夫なはずなのに。軟弱でも動きくらいはその内博士ならできるよね。
結局できず、博士自らぼくの速度に合わせた乗り物を開発し、遅れることなくついてくるので、鎖は闘いに使われることになる未来をぼくは知らない。早すぎて毎回のことがボロボロになるから嘔吐することに変わることももちろん知らない。
今日もぼくは博士と愛を育む。
どうも私はそのパターンすら、ズレているという。本で読んだ人の子は、捨てられた小さな生き物を見て可哀想に思い、勝手に家に連れては飼っていい?とお願いする。その時になぜか親の顔を不安そうに伺うらしい。
やればわかるだろうか?私の親は私を作った博士か、私の元にされた血の持ち主だ。だけど、会ったことはないがすごい人らしい。その人と同じようにドアを壊すこともでき、獣を投げ倒すことも簡単で、研究所の壁を渡り屋根の上にだって行ける私にはよくわからないけれど。
まあそんなわけで実行した。捨てられたかどうかわからないし小さくもない狼だったけど、まあいいかと暴れるのを無視しながら連れ帰り、ついドアを破壊してしまいながらその事実を博士に告げ、飼っていいか聞くも、やはり顔色を伺う気にはならない。
だって博士、また私が何かしてしまった時の遠くを見る目をしているから。
結局だめだと言われたので殺した。後で本の続きを読めば、その子も、だめと言われたらしく、泣きながら元の場所へ返すと書いてあった。けど、私は、狼が私に殺意を向けてきたし、戻してもその様子じゃ襲ってくるだろうからどうせ殺すことになるならとその場で殺した。
この本に書かれた人の子は、小さいとはいえ、殺意を向ける獣を泣く余裕すら見せて簡単に元に戻せたのだから獣の躾がうまいのかもしれない。私もまだまだ未熟だななんて博士に伝えたら微妙な顔をし、また遠くを見る目になった。
とりあえずこれがズレている一例。私にはよくわからない。『よくある泣ける物語』を読んで、ココロを知れるかと、少し違いはあれど同じことをしたつもりなのに。獣を従えたらわかるのだろうか。
本の続きを言えば、必死にその場に通うその子のがんばりに、親が仕方ないと飼うのを許すのだそうだ。喜びを見せたその子は獣と仲良く一緒に年をとり、ある日、その子を襲い来る暴走した魔法から守るため、その子に頭突きをして魔法から逃れさせ、代わりにその魔法に当たって命を落とす。最後はその子が感謝と悲しみにくれてこの命大事にするよと言って終わる話だ。
感想は、どうせ死ぬなら私が殺したのは正解じゃ?泣ける意味もわからなかった。何よりその子より小さい獣が人間を頭突き程度で逃がせるほど飛ばせる気がしない。
私は人造人間だけど元は人間で、血を分け与えてくれ『人間』に限りなく近い存在だと言われているから、自分より大きい猪すら頭突きで私を動かせないのに、自分より小さい存在にそんな力あるはずがない。
それを博士に話すと、『君の血は人間で、元の血の持ち主に近いのだから確かに人間に近いけれど、その本人が、人間を超越した人間だけど人間じゃない存在なんだから、比べちゃだめなんだな、多分』と言われた。よくわからない。
ココロとは難しい日々で、博士としばらく暮らしたある日、王宮という場所に博士が呼ばれ、私も着いていった。そこには私の元となった人の息子の王様という人がいて、私を見ては冷めた無の表情なのに、嫌そうにしているように見えた。
『この、母に似た生物はなに?』
『ま、まさか正夢!?妹!?〔番外編~あれは恐ろしいものだった~参照〕』
『兄上、落ち着いてください』
妹?兄上?という言葉に疑問を抱いては、博士が、あの二人は兄弟で、同じ血を持つ私は人造人間とはいえ、妹のような存在であると教えてくれた。気のせいか博士は王様に向けてキラキラとした目を向けている。
その博士は私を起動した時の目にそっくりで、暮らす内に私は博士の遠い目ばかりしか見なくなったなと思うと同時に、不思議と何かよく分からない嫌な感覚を感じて、膝を曲げ、立とうとしない博士の裾を掴んだ。
『? ミーシャどうしたんだな?多分』
『・・・よくわからないです』
小さいシャルラッテ、ミニのシャルラッテ、ミーシャといつしか名付けてくれた博士に作られたのもあるのか、時々口癖のように出るよくわからないというその言葉に、本当にわからないのかさえも、私にはよくわからない。
だっていくら人間に近くても私にはココロがないから。
そんな私が進化を遂げる日がやってきた。もしかしたらココロを知れるかもしれない。博士もキラキラと嬉しそうで、なんだか私もぽかぽか温まるようなそんな感覚を得る。
そうなったのも私が小さいだけでシャルラッテ様そっくりな顔で、王様のお兄さんと言う存在が私を怖がったことが博士にとっていい状況だったみたいだ。博士は私があの人たちの妹のような存在とは言ったけど、あの人たちはそれをよしとしないと雰囲気が言っているのがわかる。
ココロがない私でもわかった。
『陛下、陛下の血を分けてくだされば、そちらを元にすることで、シャルラッテ様の血が薄まり、顔つきも変わるでしょう!多分!ココロが形成されればこのままだと第二のシャルラッテ様になりかねませんが、どうしますか?多分』
『二人目の母そのものよりはマシか、血を与える』
私の元になっている血の人物は嫌われているのだろうか。だから博士も私じゃなく、王様にキラキラの目を向けるの?
この嫌な感覚が何かわからなくて気持ちが悪い。王様の血を使えば博士に・・・よくわからない感覚だ。
そして完成したのがその一ヶ月後。進化の日。博士は王様の血を持ってして血の記憶を魔法で凝縮し、ココロを作ったらしい。王様の血は、私の身体作りにも貢献した元の血の人物とは違い、消えぬ魔力で抜いた血すらも魔力を宿していてありえないと言いながら嬉しそうにするから、また嫌な感覚を得た。
時に強い魔力は記憶を宿すことがあるようで、正しく王様の魔力がそれだった。
ココロを知るにはこんな時こう思うことはこういう感情であるという知識ではなく、感じることで記憶するのがココロの近道なのだという。
記憶を持つ魔力をココロの発信元ととし、王様が感じて記憶してきた感情を私にインプットするのだとか。起動に必要な魔力とは別に断ち切る魔力を入れ込むことで身体に変化を与えてもおかしくないらしい。
元は魔法構成で出来た人造人間は、血の元の人間と同等、それ以上の魔力の影響を受けやすいらしい。だからこそ、低い魔力持ちを人造人間にしてしまえば、魔法ひとつ放たれるだけで、他人の魔力に影響されすぎて、何が起こるか予想できないから危険と博士は言っていた。
その点私は身体形成の血も、今から成されるココロ形成の血も、誰もその上にはいない人物と言ってもいいくらいらしいので、進化後も今まで通り問題はないみたいだ。
あるとすれば、進化するまでの経緯。身体形成の
血とココロの血が断ち切られているとはいえ、あくまで起動用に使われないようにするだけで混じることは可能みたいだ。だからこそ、顔も変われば、身体が大きくなることも、不便にはなるが、これより小さくなることもありえる。
でも、ココロを私は知りたい。博士も私で試したいと考えているのだから期待に応えたい。この感覚はなんなんだろう?ココロをしればわかるかな?
「始めるんだな、多分」
魔方陣が展開され、凝縮された魔力が宿った血の塊が私の中へ入っていく。瞬間、王様の幼い頃から私が見た王様の姿になるまでの強い記憶や感じてきた気持ち、感情のそのココロが流れ込んでくる。
私はどうも王様と大分相性がいいんだろう。王様の持つ暗い気持ちと幸せな気持ちは、王様が自らの兄を想う気持ちにどれも繋がっていて、私にとっての博士に感じている『気持ち』と類似し、理解ができた。
それでもまだ一部で、さらに辿る記憶で愛を繋げる二人の記憶は、博士の持つ本には乗っていない男同士のアレで、衝撃的だった。男同士のそれを見ながら、私は、お風呂の時に見た博士のモノを思い出し、大きさは気にしないから、お揃いのアレがほしいと思ってしまった。
だからだろうか。ココロ形成の血とわかる魔力ある血を感じて、次第に何か生えるような変な感覚がした。身体はただそこだけを作り替えられた、否、増やされたとすぐに気がついた。
王様のココロは私のありたい姿の道しるべのようで、少し違う。それでも次第に博士が愛しくて愛しくてたまらなくなり、愛されて犯されたいと、王様とは別のやり方で博士の私にしてほしいと『ぼく』は思った。これこそが感じて記憶する僕だけのココロ。
愛されたいと願ったためか、身体形成の血を感じ、次は胸がひそかに膨らんだ気がした。幼さから考えれば大きいかもしれない胸は、分かりづらい変化だ。別にわざわざいらないのに。
「博士」
「成功にしては変わりがなさすぎるんだな、多分」
「十分変わったよ、胸膨らんで、なんか生えた」
「生えたってまさかなんだな、多分」
「ぼく、主体的にもココロが王様だからか、男になった気が強いんだけど、身体は女のままな感じも消えないんだ」
「見た目は相変わらず幼女なんだな、多分。髪切っても顔だけ見たらボーイッシュな幼女でしかないんだな、多分」
「身体も調べて?博士」
幼女姿。これだけは変わらなかった。王様の兄、いや、早くルー兄様のように博士をぼくだけに余裕がなくなり必死になるそれに変えてしまいたいのに、これでは苦労しそうだ。
ゆっくりと脱いで誘ってみるも、ぼくからの思わぬ行動に何を思ったのか、博士の目はキラキラで、ぼくを研究材料としてしか見ない。
道のりは長そうだけど、逃がさないからね?博士。
博士への愛でできたココロに、博士はいつ気づくのか。僕の身体を研究の意味で見て記録するのに必死な博士に、熱の篭る視線を向け、僕は自然と笑みを浮かべる自分にはまだ気づけない。
気づけるのはココロが博士を欲し、王様、セト兄様の魔力の記憶で感じたように、兄上(博士)と離れるものかと同じ執着がココロの中に渦巻くそれだけ。
後日また王宮に呼ばれたことで、博士から話を聞く王様に目を向け、ぼくを見ない博士にムッとしてしていれば、ルー兄様がそれに気づき、セト兄様にこっそりと伝えたことで、二人からは前と違い、怯えや嫌な視線は感じられなくなっていた。
「僕の記憶で、そのココロが兄上に執着をもたらしたならすぐ破壊を命令していたけど必要なさそうだね」
「うん。ぼくにはぼくのココロを埋める存在がいるから。ルー兄様、セト兄様これからもよろしくお願いします。」
今なら人造人間で生まれ方は違うけど、同じ血を持つ兄弟として見てくれる?と、それらしく遠回しの言葉を言うことで別の緊張をするぼくがいた。
あの始めの日、嫉妬と知った感情と共に、この人たちに自分の存在を否定されたこと、知らず知らずのうちに傷つき、家族に否定されたようで悲しいという感情を知り、気になってしまっていたようだ。
それで気づいた。どうやらぼくはこの人たちに妹でも、弟でもいいから家族と認められたかったのだと。既にぼくは家族として見ていることに。博士の視線もぼくに驚いて釘付けだし、もやもやとした気持ちも消え、決定件のあるセト兄様の判断を仰いで、ただただ緊張を高める短く長い時間。
二人のお兄様は驚いて目を合わせ、笑った。ぼくを見る頃にはセト兄様は冷めた表情に戻っていたけど、雰囲気は優しい。
「いいよ、家族として非公式的にだけど認めよう。僕、兄になるなんて初めてだから、初めての兄からプレゼントを弟にあげよう。弟でいいんだよね?」
「家族と認められるならどちらでも。でも、僕はお兄様たちと同じでありたいから望むなら弟で」
「なら僕が認めた弟を多分博士にしか扱えないと判断し、互いに離れることを許さないという王命を与えよう」
「え?お、王命なんだな、多分。家族に認めたんじゃないのかな、多分。」
「認めたからこそ、トアの初めての弟への褒美王命だよ、多分博士」
「ありがとう!セト兄様、ルー兄様!」
「様はいらない。僕の弟なんだから」
「俺は何もしてないよ」
「セト兄!ルー兄!」
「「何?」」
「頑張って博士と、二人の関係みたいになれるよう頑張るね!」
「兄上と僕の情事の記憶もやっぱあるよね・・・。まあ弟だから応援するだけで罰は与えないであげるよ」
「できたばかりの母似の弟に知られてるってなんか恥ずかしいというかなんというか複雑だな。まあ見た目はともかく、夢〔番外編~あれは恐ろしいものだった~参照〕とは違う結果だし、いっか」
「何の話をしてるんだな!?多分!?」
ひとり、話のついていけない慌てて可愛い博士を余所に、非公式の家族でも会いやすいように影の側近とは名ばかりの地位がぼくに与えられた。
そして時々王命のため離れられない博士を引っ張り、セト兄様の命の元、犯罪者を蹴散し、捕獲する。何故かそのとき引っ張ってきた博士はボロボロで、慌てて魔法で治療を施すのが毎回のようにあった。
影であることで、表でセト兄様の側に付きっきりということはなく、影であるのにぼくの暴れようは目立ち、いつしか『悪魔の幼女ゴーレム』と長い二つ名を得た。
何故そんな名が?と言えば、博士が調べて話してくれる。銃というものを発砲されても、身体のどこに当たろうが、はじき返すことがゴーレムの由来らしい。身体はちゃんと子供肌で柔らかいからゴーレムみたいに固いとか思われるのはなんだか納得いかない。あんな魔法で包まれた鉛で穴が空く人間なんて軟弱すぎるだけじゃ?と思うだけだ。
ちなみに博士は心臓にあれを撃たれたら死ぬというので、絶対にあれからは守ろうと誓う。博士は博士だから軟弱でも仕方ない。
悪魔はセト兄様とルー兄様からプレゼントされた鎖のついた鎌で、鎖に贄(博士)を巻きながら、瀕死寸前で全員を生け捕りにした後、笑みを浮かべる姿が悪魔のようだ。らしい。博士は贄でないし、鎖に巻き付けて引っ張る方が闘いやすいだけだし、捕獲が終われば博士と二人の時間に戻れるのだから笑って何が悪い?
博士には鎖で巻いても、手足自由にしているのに何故毎回ボロボロなのか。ぼくの動きに合わせれば大丈夫なはずなのに。軟弱でも動きくらいはその内博士ならできるよね。
結局できず、博士自らぼくの速度に合わせた乗り物を開発し、遅れることなくついてくるので、鎖は闘いに使われることになる未来をぼくは知らない。早すぎて毎回のことがボロボロになるから嘔吐することに変わることももちろん知らない。
今日もぼくは博士と愛を育む。
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推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
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【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。
天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。
成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。
まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。
黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。
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性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
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